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100日後にNTRれる幼馴染  作者: 12月24日午後9時
62/107

あと39日

NTR進捗状況

正が輝の代わりに駿の漫才に協力して、成功する。


田中 ただし :主人公、

橘  すず  :幼馴染、寝取られる。

金谷 駿しゅん :イケメン、クラスでは人気者、幼馴染とフラグ建築中。漫才をやりたい。友達の彼女に手は出さない。


学園祭の熱気が大量のごみとともに片づけられていく。あれだけ飾り付けられた掲示も、いくら注意してもなくならないポイ捨てのごみも大勢の生徒の手で跡形もなく消えていく。非日常が日常に変わっていくこの瞬間は外の夕日も相まって少し寂しくなる。学園祭の光景などつい数日前にできたばかりで思い入れなど大してないのはずなのに。いや、思い出ならあったか、時間にすれば10分もない、だけれど代え難い思い出が。


ただしが学園祭の実行委員として校舎を回っていると後ろから声をかけられた。

「漫才見たぞ、マジで笑った。」

思わず振り返るが正が知らない顔だった。いや、もしかしたら何かの委員会で顔を合わせていたのかもしれない。正は周りに注目されないように過ごしてきたせいで人の顔を面と向かって見てこなかった。そのせいでもしかしたらどこかで話したことがある彼も誰だか分からない。

「あ、ああ、ありがとう。」

申し訳なくて、言葉少なに返事をする。だが、その生徒は気にした風もなく正に手を挙げてるとまた作業に戻っていく。

同じようなことは何度も続いた。学校中の人間が学園祭の真ん中で行われていた駿しゅんと正の漫才を見ていた。途中まであれだけぐだぐだだったが、何とか持ち直した後半は評判がいいようだ。その立役者として認識されている正は特に話題になったようだ。

これだけ褒められているといつもはネガティブな正でもだんだん鼻が高くなっていく。そうして見回りの最後にステージの撤去作業を行う現場に着く。そこでは駿が他の生徒に混ざってステージのパイプをまとめている。

「駿、どう、終わりそう?」

「ああ、正か。大丈夫だ、すっげー手伝ってくれる奴らが集まってくれてさ。」

そう言うと駿は周りで働く生徒たちを見回す。これが全員、駿の知り合いなんだから顔が広いというかカリスマ性というやつなんだろう。羨ましいが駿みたいになりたいかと言えばかぶりを振る。さっきから駿の隣を通り過ぎる度にあいさつしていくのを見ればどれだけしんどいかが分かる。正は無関係でよかったと思いながらそれを見ていると駿から肘で合図された。

「おい、あいさつされてるんだから、返事くらいしてやれよ。」

「え?」

正は駿が言っていることが分からなかった。なるべく目が合わないように下げていた視線を上げる。たくさんの目が正を見ていた。正が見慣れた見下すような目ではない。まるで眩しいものを見るような、そう、いつも正が駿に対して向けている視線がそこにあった。

正はまだ理解していなかった。正を取り巻く世界が昨日から変わってしまったことに。そして、その変化がいつかは正の内面にまで及ぶことに。



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