表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/13

8話 周回プレイの恩恵

「ステータスオープン! うわぁ……本当に出ちゃった」


 あれから二日経っていた。

 わたしは今、大きな街の近くにある廃墟に一人でいた。


 アッシュを殴ったから、わたしはどうも賞金首になってるみたい。

 それを警戒してたロイは、一人で街に行ってくれた。


 ドレスのままじゃ、目立って仕方がないからね。

 わたしの新しい服とか、旅に必要な物とかを買って来くるって。


 で、わたしは半壊した家に座って、こうして一人で暇してるところ。


 暇ついでに、ナオがやってたように、わたしにも同じ事が出来るかどうか試してる最中だったんだけど。


 意外にも簡単に出来ちゃったのだ。


 目の前にあるスマホサイズのウインドウに表示された、パラメータ画面を確認。


 *************


 CHARACTER:イザベル

 PLAYER:日高 ユキ


 運動:99

 学力:99

 容姿:99

 魅力:99

 芸術:99


 *************


 その下にも、いろいろパラメータがあるんだけど。

 この画面とパラメータ値、わたしにはすごく見憶えがある。


 これ、『ロイヤルプリンス』の周回プレイで獲得したパラメータ値だ。


 このゲームは、周回プレイを楽しめるような設定になってる。

 強くてニューゲームみたいな側面があって、周回プレイするたびに、パラメータ値は引き継いでいくのだ。


 この数値のおかげで、ゲーム内に通う学園生活を優位に進めたり、王子たちの好感度を上げる事もできる。


 そして、イザベルの名前の下には、わたしの本名がある。

 これでナオは、わたしを『イザベル』じゃなくて、『日高ユキ』だと知ったんだ。納得できたよ。


 あ……他の画面もあるんだ。

 フリックして、他の画面も確認、確認っと。


「えっと……水質、土壌の調整にって……あ、これあの植物園イベントでやったやつだ」


 街の植物園が枯れるってイベント。

 攻略する王子たちが奔走する中、プレイヤーキャラが錬金術師にやり方教わるイベントだ。


 今思うと、なんてゲームだ。

 完全にキャラメインのゲームだったから、イベントがおざなりすぎでしょ。


「これ数値を調整できるんだ。って、どこで使うのよ、こんなの?」


 水質も土壌も、使うところなんて限定されそうだし、今のわたしには必要ないよ。


 他の画面が無いか、さらにフリックしてみる。


『キャラクターパラメータ』の変更?


 なにこれ?

 ヘルプとかは見当たらないけど、なんだろう?


「……もしかして、ナオはこれを使って、アッシュたちのパラメータを弄ったのかなぁ?」


 でも、どうやって?

 う〜ん、画面には『忠誠度』『親密度』とだけあるよ。


 これ? このパラメータ値を変更したのかなぁ?


 あとは……なにこれ? 『称号』って…… ああ、トロフィーフルコンプした時にもあった。


 えっと、


『追放されし令嬢』


 んぐ……事実だけど、これ称号なんだ。まだ他にも称号があるよ。


『王子を殴りし愚か者』


 あははは……笑えないよ、これ。まだ、あるし。今度は何? どうせ変な称号でしょ。


『ドラゴン殺しの血脈』


 あ、なんかカッコいい称号が出てきた。

 ドラゴン殺しの血脈って事は、やっぱりご先祖様の影響なのかな。


 設定がちゃんと活かされてるんだ。ちょっと感心。


「待たせたな、イザベル」

「ロイ!」


 戻ってきたロイはフードを脱ぐと、手に持った袋をわたしの目の前に突き出した。


「ほらよ、お前の服と、武器だ」

「あ、ありがとう……って、短剣? こんなの貰っても……」


 正直、困るよ。

 剣なんて持ったことも、使った事も無いのに。


 せいぜい包丁くらいだよ。用途が全く違うけどさ。


「護身用だ。いざという時に使えばいい」


 素っ気ない言い方。だけど、どこか優しさも感じる事があるんだよね。


「ロイ、本当にありがとう。ちょっと着替えてくるね!」


 廃墟の影に隠れて、ロイが買ってきた服に着替えてみた。


「なにこれ!?」


 うわぁ……ショートパンツ。脚の露出度が半端ない。

 リアルで、こんなの履いた事がないんですけど!


 上着も、胸元開きすぎでしょ!?


 うぅ……ロイの趣味って、センスなさすぎだよ。


「どうだ? 俺の目測で買ってきたけど、ちゃんと着れたろ?」


 建物の反対側にいる、ロイがそう声をかけてきた。


 目測なの? 恥ずかしくてサイズを伝えて無いわたしも悪いよ。

 でも、どうしてこんなにピッタリ合うのよ……野生の勘?


 着替え終わったから、ロイにお披露目してみたけれど。

 なんで、そんに満足そうに微笑んでるのよ。


「お! なかなかいいじゃないか」


「あのね、なに考えてるの? こんな格好、恥ずかしいんだけど?」


 せっかく買った来たんだから、仕方がなく着るけどさ。


「いいじゃねーか。女盗賊のリーダーって感じで、似合ってると思うけどな?」


 そんなのを参考にした服装なんだ。

 やっぱりセンスに難ありだ、ロイは。


「……それと街はどうだったの?」


「ああ、思ったとおりだな。街には兵士がかなりいたな。多分だが、この国のギルドにも手配書が出回ってるだろな」


 うぅ。これで立派な犯罪者の仲間入り決定か。

 お母さん、ごめんなさい。わたしは親不孝者です……


 これから、どうしたらいいんだろう?


 ずっと追われる身になって、最終的にロイと暮らしながら盗賊になる……いや、それが一番ダメ。


 暮らすのは、百歩譲っていいとしても、盗賊はダメだよ。


「おい」


 ロイは優しいところもあるけど、そんな対象として見るわけでも無いしぃ。


「おい!」


 ううん、嫌じゃ無いけど。まだ知り合って日が浅いしって言うか。


「おい! イザベル!」

「ひゃ、ひゃい!?」


「さっきからなにモジモジしてんだ? 変だぞ、お前」


 変? わたし、そんなにモジモジしてた?

 ロイは怪訝そうな表情をしてるし。


「え、えーっと、ね?」


「……? おかしな奴だな。で、これからの事なんだがな。お前さえ良けりゃ、一緒に海の向こうにある大陸にいかないか?」


「……それって、婚前旅行!?」


 ちょっと待って。

 え、そそそそんなの、急に言われてもだよ。

 まだ付き合ってもないのに、いきなり婚前旅行とか。


「違うわっ! どうしたら、そうなるんだよ」


「え? そうよね。ち、違うよね……あははは」


 あ〜びっくりした。

 って言うか、わたし、なに考えてるんだろ。

 普通に考えたら、違うよね。


「海の向こうなら、お前の手配書が出回る事は無いだろうって考えたんだよ。ま、国が違えば、お前は犯罪者じゃなくなる可能性があるって事さ」


 そうなのかな。

 この世界の法律とかは知らないけど、ロイの言うとおりかもしれない。


 また、わたしのこと考えてくれてるんだ。


「……うん、わかった」


「一応、伝えておくがな。ここは内陸部だ。その街までたどり着くには、いくつもの山を超えなきゃいけないし、危険もかなりある。それでも行くか?」


「うん、わたしは行くよ」


 この国に残って、犯罪者として追われるよりもいい。

 ナオにまだ仕返しできて無いけど、この国に一生戻れないわけじゃないからね。


 必ず戻ってくるよ、わたしは!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ