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ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
9/37

WARFARE

カトリア連邦 ラリィバレー空軍基地

0000時


耳をつんざくジェットエンジンの轟音が、この辺境の地に響く。


滑走路に待機しているのは、3機のSu-30。


その後方、誘導路では、まだSu-30の2個小隊がタキシング中だ。


「Tower to Garm squadron, you are clear to takeoff.」


「Copy that tower. Taking off.」


3機はスロットルをフルにすると、海を越えた隣国に向け飛び立った。



ラーシャ共和国 ボルスニー空軍基地

0030時


宿舎の兵士が連日の猛特訓の疲れで泥のように眠るなか、貧乏くじを引いたレーダーサイトの当直員は、充血した目を見開いていた。


眼前には、観測結果を伝える液晶パネル。


そしてそこには、紛れもなくIFFに応答のない、「Unknown」と表示された光点が10個、映し出されていた。


眠気と衝撃のせいで、しばらく呆然としていた兵士は、遅れて発せられた警告音に現実に引き戻され、慌ててスクランブルの警報スイッチに手を伸ばした。





.........

......

...


彼女、エリシャ=グランデは、真っ白な街に佇んでいた。


彼女はそこが夢の中だと分かっていたが、なぜかだからなんだという感じでその状況があくまで当たり前のような感覚でいた。


そして、この純白の街に対する懐かしさも。


ここは、彼女が生まれ育った街だ。


真っ白で景色はだいぶ変わって見えるが、確かにここは、エリシャが生まれた場所で、放課後には友人たちとちっぽけな公園で遊ぶ場所で、そして、エリシャがこの仕事に就くと決意した場所だ。



「おーい、こっちこっちー!」


遠くから、声が聞こえた。


懐かしい声。


自然と歩き出した。団地の奥、かつて遊んだあの公園へ。



たどり着いた。あの公園。


声の主もはっきりした。


「遅かったね」


「セラ...」


そこにいたのは、 5年前、死んだ親友。


自分に覆い被さって爆風の盾になり、下半身を吹き飛ばされて死んだ、セラ=ミリティアそのものだった。


「セラ、どうして...?」


「ごめんねエリシャ、あまり長いこといられないんだ。手短に言うよ」


「え、ちょっと!どういうこと?長くいられないって?」


「戦争が始まる」



「...え?」


「ごめんねエリシャ、まだこれしか言えないんだ。でも覚えておいて。戦争はもうすぐ、始まるから」


それだけ言うと、夢の中の親友は、踵を返して団地の奥に歩いていく。


そしてエリシャは、だんだん、意識が遠のいていく。


「いや...だ。まだ... セラ...... 待って!」


「それとエリシャ」


唐突に、セラが話題を変えた。


「夢、叶えてね。あなたはまだ、あなたの目指した戦闘機乗りじゃない」


「...!」


「じゃあね。大丈夫、きっとまた会える」


セラがそう言うと、エリシャの意識は、現実に引き戻された。




.........

......

...


Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!


さっきまで寝ていた耳には、お世辞にも優しいとは言えない轟音に、目が醒める。


『緊急!緊急!不明機10、急速に接近!

方位0-1-4、ハイスピード、ホット!

離陸可能な全機はスクランブル!

これは演習ではない。繰り返す、これは演習ではない!』


緊急警報のサイレンと、アナウンス。


ボギー10、0-1-4、ハイ、ホット。



『戦争はもうすぐ、始まるから』



「警告が遅いよ...セラ!」


フライトジャケットに着替え、航空ハーネスを掴んだエリシャは、もういない夢の中の親友にぼやいた。


その時、廊下をバタバタと騒がしく走る音が聞こえたと思うと...


「エリシャ!起きてるか⁈ スクランブル...」


そこまで言ったところで、もう準備を始めているエリシャを見たグレイズは、その先の言葉を飲み込み、


「準備が良くて助かった。今回は俺たちが先発隊だ。臨時に、フレッチャも統合してのワイバーンとなる。お前は実戦は始めてだろう?ワイバーン4としてキースとエレメントを組め。絶対に離れるなよ」


そう、格納庫に走りながら説明した。


「実戦って...戦闘になるんですか⁈」


「防空司令部はその可能性が高いと判断した。現に防空に上がる機体はスパローとサイドワインダー、フルで積ませてる。離陸直後から、マスターアームは入れておけ」


「...了解」


「無理はするなよ、侵犯警告は無人機が行う。それ程の徹底ぶりだ。下手して死ぬんじゃないぞ」


「分かっていますよ、まだ死ぬ気はありません」


「その調子だ。さぁ、空に上がろう」


2人はそれぞれ、バンカーの愛機を見上げた。

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