領空侵犯
ラーシャ共和国 ボルスニー空軍基地 第1滑走路
「Control tower to Eagle1, you are clear to take off.」
スクランブル命令を受けた待機要員のイーグル隊が、滑走路で離陸待機の姿勢に入る。
2機のF-15はエレベーターやラダー、エルロンを細かく動かして飛行に際し問題がないか確認する。
その姿はさながら飛び立つ前の猛禽類が身震いをしているようだ。
「Copy tower, check elevator, rudder, aileron, flap, slat. All green. I’m ready to take off .」
「Eagle2, copy.」
「Eagle, you have a link with AWACS, call sign SkyEye.」
「Roger. Taking off」
2機はスロットルを離陸位置にまで上げた。
エアインテークが貪欲に空気を吸い込む。
排気ノズルからは甲高いジェットの咆哮とアフターバーナーの轟音が合わさり、凄まじい音を滑走路に響き渡らせた。
直後、2機は一瞬その機体を揺らすと、滑走を始める。
ランディングギアがしっかりと滑走路のアスファルトを捉えるが、十分な速度を得ると、主翼が空気を受け止め、揚力として薄灰色の鋼鉄の鳥を浮かび上がらせた。
ラーシャ共和国領空 30km手前
スクランブル命令を受けた2機は、所定の手順に従い、ゆっくりと高度を取ってから目標機と進路を合わせるコースをとる。
最近では、これらの指示やレーダー監視は全てAWACSが出してくれるので、パイロットは安心して操縦に専念できる。
「SkyEye to Eagle1. 2 bogeys inbound. Now rising. Hot. Angel 3. Eagle, turn to 2-7-3. Over.」
「Eagle copy. Turn to 2-7-3. Out. Eagle2, follow me.」
「2,copy.」
AWACSが目標に対する最終誘導を終える。
ここまで近づいたら、万が一の時はパイロット次第だ。
「Eagle2, tallyho.」
「1,copy. Contact.」
イーグル2が目標を視認し、隊長機であるイーグル1が接触する。
「I see the nationality mark. It’s Katrian.」
「SkyEye to Eagle squadron. Do not engage.」
「I know...」
イーグル隊の目の前には、2機の戦略爆撃機、Tu-95、国籍マークは、カトリア連邦。
戦争で独立を勝ち取ってからも未だに干渉し続ける、かつての宗主国の爆撃機だ。
イーグル1が目標機のすぐ横に機体を近づけ、警告姿勢を、イーグル2は目標後方に位置し、万が一の時はいつでも撃てる構えをとった。
「Attention attention! This is Rashan Air Force. Katrina unit. You are approaching Rashan airspace. Change course promptly.」
イーグル1のマニュアル通りの警告に、しかしカトリア機は応じない。
「SkyEye to Eagle squadron. Bogeys in our airspace. Do warning call now.」
「Willco.」
「Warning, warning! You are in our airspace. Change course now! Otherwise, I’ll shoot threats shooting.」
言いながら、イーグル1はマスターアームスイッチをオンにした。
これで、いつでも撃てる。願わくば、目標機が素直に引き返してくれればいいのだが。
だが、目標機からの応答は未だない。そこで、遂にAWACSから警告射撃の許可が下りた。
パイロットは操縦桿の武装選択パッドでM61バルカンを選択すると、目標には決して当たらないよう、慎重にトリガーを引いた。
6本の砲身が回転し、20mm弾の実包が毎分6000発という凄まじいレートで撃ち出される。
約1秒の射撃で発射された100発ほどの機関砲弾は、目標機のすぐ側、相手をビビらせるにはちょうどいい距離を掠め、明後日の方向に飛んで行った。
すると、2機のTu-95はようやくゆっくりと旋回を始め、カトリアへの帰路に引き返した。
「Eagle1 to SkyEye. Bogeys on way. Mission complete. RTB.」
「Copy that Eagle1. Area clear. Good job.」
そして役目を果たした2機のF-15もまた、祖国への帰還ルートに着いた。
スカイクロラ買ってやったぜ




