親鳥の叱咤
ボルスニー空軍基地 第5バンカー
「だからな、エリシャ。お前はもっとチームワークってものを学ぶ必要があるんだ。いくらコブラができたって、周りに敵がいる状況でそんなことやったら、運動エネルギーを失って別の敵に喰われる。だからこそな...(略)...それでさっきも...(略)...って聞いてんのか! エリシャ‼︎」
「ふぇっ⁈ ね、寝てません、寝てませんヨォ!」
「それ、寝てたって言ってるようなもんだ」
「お前は...ッ!」
「ヒエェ... キース中尉ィ...」
「悪いなエリシャ、今回ばかりは俺も援護してやれん」
ボルスニー基地の第5バンカーに、整備兵の面々はもう聞き慣れたやりとりが響く。
対Gスーツを着込んだままエリシャを叱りつけているのはマイク=グレイズ大尉。
この基地一番の腕を持つベテランで、訓練中のコールサインはフレッチャ1。
いつも新人の教育係という貧乏くじを引くパイロットだ。
そしてそのグレイズ大尉に叱られてるエリシャを呆れて眺めているのがキース=ノーシャ中尉。
隊の二番手で、普段はワイバーン1として訓練生のエリシャをサポートし、エリシャが怒られている時はこっそりカバーしてやるのも彼の仕事だ。
...もっとも、今回は例外だが。
バンカーの隅で黙って機材の整理をしているのがサム=フィッシャー大尉。
彼はグレイズ大尉と同じフレッチャの2番機で、空でも陸でも彼のサポート役だ。
ちなみに彼は、2番機という彼の立ち位置を大変気に入っており、フレッチャ、ワイバーンの2隊が創設されて以来、決してそのポジションを譲ったことはない。
技術的にはグレイズのサポートとしては十分な腕前を持っているが、なにぶん無口なこともあり、他の隊員とのコミュニケーションが苦手らしい。
「まったく、お前というやつは...!」
「ごごごごめんなさい〜!」
「ははは...微笑ましい限りですね...」
「...軍とは思えんな」
「そういうことは言っちゃいけないお約束ですよ大尉。もうちょっと寛容的にならなきゃ」
「こういうことは苦手だ」
「はは...大尉らしい」
と、その時
『スクランブル、スクランブル。不明機2、防空識別圏に侵入。待機要員は直ちに離陸、ワイバーンフレッチャは誘導路にて待機』
スピーカーから、緊急離陸指示のサイレンと命令が下った。




