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ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
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緊急着陸

ラーシャ共和国 ボルスニー空軍基地



「着陸機をどけろ!エリシャが降りてくるぞ‼︎」


「消防隊待機!」


夕焼けの基地に、怒号が響く。


上空には、3機の戦闘機にエスコートされ、黒煙を噴きながらも着陸態勢に入る、ボロボロの機体。


エリシャのF-15だ。


「Wybern 4. Turn to 0-1-0. Are you copy?」


損傷が激しく、フラフラとして危なっかしいエリシャ機に、可能な限り楽なルートを管制塔が指示する。


「...Copy. Landing...... 30... 20... 10... touch down.」


「クソッ!機体が傾いてる、墜ちるぞ‼︎」


吹き飛んだ片翼のせいで、左右で釣り合わなくなった揚力が機体を傾かせる。


だが、立て直す余裕はなく、エリシャ機はそのままタッチダウン。


斜めに接地した機首のランディングギアが、負荷に耐えきれずちぎれ飛ぶ。


結果として、機首は滑走路を滑り、盛大な火花を散らしながら機体は停止した。



直後、航空消防隊が機体に消化剤を撒く。


「エリシャ‼︎」


先に帰還していたグレイズが、消防車と一緒に滑走路に駆け込む。


消化剤で泡まみれのキャノピーをバールでこじ開け、中からエリシャを引きずり出す。


「メディックを呼べ! 手当が必要だ‼︎」


エリシャの、血まみれの顔を見て、グレイズは叫んだ。




そんな彼らを、上空から見守る機影が3つ。


「彼女は助かったと思うか?」


『死んではいないみたいだよ、引き金さん。着陸の衝撃で気絶しただけみたい』


『珍しく心配するんだね、引き金さん。他人の心配なんて何年ぶり?』


「だから、その名前で呼ぶのはやめろと言ったろ。今はもう、その名前じゃない」


『ウィルコ。でもなんて呼べばいいの?』


『私も分からない』


「そうだな、考えとく。さあ帰ろう。RTB」


『フレイ、コピー』


『フレイヤ、コピー』


気まぐれな3羽は、眼下の騒ぎも気にせず、自分の巣に帰っていった。









「う......?」


目が覚めて初めて知覚したのは、消毒液の独特な香り。


次に真っ白な天井。


医務室だ、と感じてからすぐに、混乱する。


グリフィス1とその僚機にエスコートを始めてもらった所までは覚えているが、それから先の記憶がない。


果たして自分は無事に帰れたのか、不安になった。


が、部屋に入ってきた人物のお陰で、その不安は拭われる。


「...大尉?」


グレイズは、目を覚ましたエリシャを見て、急いで駆け寄った。


「エリシャ! 大丈夫なのか⁈」


「えぇ...まだ少し、目がよく見えませんけど」


「はぁ...良かった。無事なんだな?」


「大丈夫ですよ、大尉。それより、あれはなんだったんですか?あの、大きな爆発のような物は...」


「あぁ、それは後で全員に説明があるそうだ。お前はゆっくり休んでろ」


「大尉、もう一つだけ聞いてもいいですか?」


「なんだ?」


「...何人、帰って来ましたか?」


「......お前と俺を含めても、4人だ。...オウル隊は全滅、それに...キースも帰って来なかった」


エリシャの頭の中に、いつも優しく笑っていたキースの顔が浮かぶ。


「キース中尉が、帰って来なかったんですか」


「......あぁ」


思わず、顔を伏せる。


突然の喪失に、心が追いつけない。



「エリシャ、お前はゆっくり休んでるんだ。いいな」


「...はい」

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