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ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
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異動命令

異動命令が出た。


ここからずっと離れた、ラーシャ奥地の基地への異動だ。


それだけならまだ分かる。問題は、これが基地全体の引越しだという点だ。


要員、機材、機体。


ボルスニーにあったものの全てを引越し先に移すらしい。


つまりは事実上の撤退指令だ。


今日もまた、物資を積んだ輸送機が飛び立っていった。




宣戦布告無きまま始まった戦争の、初めて受けた大ダメージ。


カトリアが宣戦布告を済ませていないことはもはや公然の秘密と言っても過言ではない程、兵士たちに知れ渡っていた。


カトリア軍は当初、宣戦布告の前に制空権を奪取するつもりだったらしい。


それが予想外に泥沼化し、あんな決戦兵器級のモノを出さざるを得なかった。



エリシャたちを襲ったのは、カトリア軍では重巡航管制機と呼ばれるモノらしい。


大量の無人戦闘機の母機でありながら、自らも対空仕様の巡航ミサイルで重武装を施した巨鳥。



対空衝撃波弾頭。



それが彼らの切り札らしい。


核融合のエネルギーを使った、クリーンな核兵器。


熱核弾頭が発する強力無比な熱線の代わりに、破壊的な衝撃波をオマケの弾丸と一緒にばら撒く。


有効射程の外にいたグレイズすら、イジェクト寸前のダメージを受けた。


エリシャが帰れたのは奇跡だろう。




そんなものを喰らったボルスニー基地飛行隊は、文字通り全滅。


レーダーサイト奪還どころではない。


一刻も早く、脱出する必要があった。



「騒がしいですね、当然ですけど」


と、いつのまにか隣に居たエリシャが言った。


まだ怪我は治りきっていないらしく、頭に巻いた包帯が痛々しい。


「大丈夫なのか、歩き回って」


「大丈夫ですよ。それに、ずっとベッドの上じゃ、体が鈍っちゃいますから」


「そうか」


その目の前で、C-130が離陸していく。


カーゴの中は荷物で一杯だからか、その動きは随分のろい。



「自分の荷物はまとめたか?」


「えぇ、もともと数はありませんから。すぐに済みましたよ」


「へぇ、意外だな。お前のことだから相当な量があるかと思ったんだが」


「軍に入る前は孤児院で育ちましたから。入ってからも、私物を買う機会もありませんでしたし」


「そうか... あ、そうだ。エリシャ、今度の基地はパイロット全員に個室があるってよ」


「本当ですか⁈」


「ああ。喜べ、フカフカのベッドだ」


「オフトゥン‼︎」


突然子供のように喜ぶエリシャに、グレイズは思わず微笑む。


「こんな奴ばっかりだったら、戦争なんて起きなかったんだろうな...」


「ふぇ?何か言いました?」


「いや、なんでもないよ」

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