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ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
23/37

レーダーサイト奪還

ラーシャ共和国 ボルスニー空軍基地


オーム湾防空戦から数日後、新たに増援としてやって来た1個中隊と飛行訓練をしていたエリシャたちは、管制塔からの帰還命令に急遽訓練を中断して基地に着陸した。


飛行服を脱ぐ間もなくブリーフィングルームに集められたエリシャたちは、そこで司令官に告げられた。



「全員集まったな。よし、ブリーフィングを始める。


明日の早朝、我々はカトリア軍の先制攻撃で破壊された対空防衛網の復旧作業を開始する。

皆知っているように、ラーシャの防空網は沖合にある複数の岩礁に、レーダーサイトとSAMを配置する事で機能している。

先の攻撃でこの防空網は激しい損傷を受けたが、現在復旧作業が滞っている。

カトリア軍に航空優勢を確保されているからだ。

よって、我々は明日、ラーシャ陸軍工兵隊を支援するべく、AAS-64に向かう。

すでに、この動きを察知したカトリア軍が防空部隊を出したという情報がある。

現場到着と同時に戦闘になる可能性が高い。心してかかれ。


各員、最大の健闘を」





その夜...


「はぁ、また作戦飛行ですか〜」


兵舎の娯楽室で、官給品のソファに倒れこんだエリシャは、ため息とともにそう言った。


「文句言うなエリシャ。防空網が復旧しなきゃ、俺たちはそろってあの世行きだ」


そんなエリシャを見て、グレイズが疲れた顔で言う。


彼もまた、明日の作戦に不安を抱いていた。


「分かってますが...オウル中隊さんが来てからまだ3日ですよ?」


「連携に関して心配してるなら、問題ない。アイツらと俺らは担当空域が違う」


「そうですけど...なんか、不安なんです。嫌な予感というか......」


言われ、グレイズは目を丸くして続ける。


「奇遇だな、俺もそんな感じだった」


「大尉もですか?」


「あぁ、はっきりとは言えないが、空で敵機に見られているのと似た感じがする。何と言うべきか...」


「私も同じです。なんか、変な感じなんですよね」


2人とも同じ感覚を抱いていた。


空戦の最中、敵機に背後に着かれた時の本能的な恐怖。


実戦を経験すれば必ず感じることになるそれをしかし、なぜ今ここで感じているのかが分からない。



「用心する事に越したことはないな、気を付けとけ。さぁ、作戦は早朝だ。今夜はゆっくり寝よう」


言われ、エリシャは悪寒を紛らわすように、いつもの調子で言った。


「そうですね、おやすみなさい」







カトリア連邦上空



成層圏と宇宙の狭間の空、今まで航空機と呼ばれるものがたどり着いたこともないその高空を、巨大な黒い影が滑るように飛ぶ。


全体的にアルファベットのX字のような形をしたソレは、主翼、と言うよりは機体全体に装備される大量のフラップやエルロンをワラワラと機動させてゆっくり旋回する。


『戦術判断システム オンライン』


『GPS電波航法装置 オンライン』


『ウェポンシステム チェック...グリーン』


『広域ネットワーク接続 チェック...グリーン』


『命令受信 認証』


『命令:コードAAA-3上空の航空優勢確保』


『TacAI起動 種別コード:サプレッション』


『作戦空域への降下開始』


ソレに、人間は誰一人として搭乗していない。


ソレの操作も、戦闘も、全てがAIに委ねられている。


だからソレは、人間には出来ない程冷徹で無機質な電気信号の声を広域ネットワークに告げる。




『作戦行動 開始』





翌日 ボルスニー空軍基地


「Control tower to Wybern. You are clear to take off.」


「Copy that, tower. I’m going to take off.」


基地の滑走路に、最早聞き慣れた爆音が響く。


滑走路に待機しているのはワイバーン隊の2機。


そしてすぐ後ろには、ワイバーン隊の残り3機と、誘導路に新設されたオウル中隊。


オウル隊の機体は全員F-16だ。


単発ながらパワフルなエンジンから高温の排気を噴出し、タキシング中である。


「Wybern 3,4,5 take off.」


「Copy.」


ワイバーン隊の後発隊が離陸する。


エンジン排気で空気を歪ませ、機体がふわりと空中に浮かんだ瞬間、3機は脚をしまい、戦術上昇速度で急激に上昇した。








『ボギー15 接近を探知。作戦規定に従いバンディットと判断』


ボルスニー空軍基地から戦意旺盛に飛び立った航空隊。


そんな彼らをあくまで冷徹にレーダーの凍った目で見つめる、銀色の巨鳥。


『バンディット増速。戦闘態勢への移行と判断。MQ-109投下 レディー ナウ』


X字の巨大な主翼には、魚の鱗のように爆弾倉の扉がある。


その全てが開かれ、中から何かが投下された。


投下直後はただの菱形だったソレ。


が、爆弾倉から投下されしばらく経つと、ソレの主翼を展開させた。


主翼を展開させたその形状は、さながらB-2戦略爆撃機を想い浮かばせる。


或いは機首のエアインテークから、口を広げたマンタのように見ることもできるだろう。


後部のジェットエンジンを点火した何十、何百というソレらは、エリシャたちのいる空域に向け、飛翔していった。

エスコン7はイイぞ

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