表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピクシーズ 第25戦略偵察飛行中隊   作者: 名無しの戦闘機性愛者
第1章 ラーシャ空軍ボルスニー基地飛行隊
13/37

思い出話

ラーシャ共和国 ボルスニー空軍基地

基地司令官室 0130時



「どういうことですか、これは!」


決して広くはない司令室に、グレイズの怒鳴り声が響く。


「ここまで来てまだ戦争状態ではないと⁈」


「私に言わないでくれ、大尉。私がどうこうできる問題ではないのだよ」


「ですが...!」


「カトリア側からの正式な宣戦布告はまだだ。つまり我々は、まだ自分の身を守ることしかできない」


「ウチにはまだ新入りがいるんです。このまま味方の援護も得られず敵が攻めてきたら...」


「それは私も分かっている、大尉。だがな、先の攻撃で近隣の味方基地は相当な被害を受けた。被撃墜ゼロはここだけだ。そんな状況で我々が増援を求めることはできん」


「...西部軍からの部隊移動は......」


「無理だ。我々は厳密には戦時下ではない。戦略レベルでの部隊移動はできない。悪いが、もうしばらくはこのまま耐え凌いでくれ」


「...了解しました。失礼します」


グレイズは、肩を落としながら司令室を出る。


先の攻撃で、グレイズたちのボルスニー基地に向かった敵編隊は、護衛機を失ったことで引き返した。


結果的に、ボルスニー基地は守られた訳だが、他基地の部隊は基地施設、航空機ともに損害を受けた。


ほとんどの作戦目標を完了したなら、次に狙われるのは確実にここだ。


だが、この基地とて保有戦力は2個小隊ほどしかない。


「腹を括るか...」


「何がです?」


「ぬぉ⁈」


突然視界の隅から出てきた真っ白な頭に、グレイズは飛び上がりかける。


「って、エリシャか...何してるんだ、こんな時間に」


「すみません、ちょっと眠れなくて」


「はぁ...来い、なんかスープでも奢ってやる」


「いいんですか?」


「あぁ、一度お前とはゆっくり話しておきたくてな」


「へ?」


戸惑うエリシャを連れ、グレイズはカフェテリアに向かう。


この時間だから、たいしたものは無いだろうが、自販機くらいは動いているだろう。



「大尉、どうしたんですか?貴方が私に奢ってくださるなんて、随分珍しいじゃないですか」


「お前それどういう意味だ?」


「え、あ...」


「まったく、変わらんなお前は」


「あはは...」


予想通り、カフェテリアは閉まっていて、電気も消えているが、入り口手前のスープサーバーだけは動いていた。


窪みにマグカップを置き、ボタンを押す。


注がれてくるコーンスープの香りに落ち着きながら、グレイズはエリシャに問う。


「お前、今日が初めての撃墜だったよな?」


「...はい」


「その、大丈夫か。誰だって初めて敵を墜としたときはなんかしらあるもんだ」


「大丈夫ですよ、私は。ちょっと眠りが浅いくらいです」


「そうか、いや、お前が機から降りるとき、随分思い悩んでいるように見えてな」


「......」


「なあ、何か悩みがあるなら言ってくれ。怒鳴るだけが、俺の仕事じゃないからな」


「大尉...... その、私...アチッ!」


と、何か言いかけたエリシャはスープに口からを付けた途端、悲鳴をあげる。


「おい、大丈夫か?」


「わはひ、へほひははふへふ〜!」


「なんて?」


「猫舌なんですよ〜、私」


「それは知らなかったな...で、なんだって?」


「......」


妙に間を置くエリシャに、グレイズは身構える。


「私、5年前家族を亡くしたこと、大尉に言いましたよね?」


「あぁ...」


その話ならエリシャが着任してすぐのころ聞いた。


彼女の両親は、5年前、彼女とはぐれ仕方なくシェルターに向かっていたところを、墜落機に押し潰された。


発見された遺体は、原型も分からぬほど損傷していたそうだ。


「そのときは、私、実感がなかったんです。両親だと言われた棺も、釘を打ってありましたし」


「......」


「それに......もう一人、亡くしたんです。私の大切な人」


「もう一人?」


「はい。......私の親友だった女の子です。セラって言うんですけど、昔は本当に仲が良くて。私は一人っ子だったから、彼女のこと、本当の姉みたいに思ってたんです。だけど......」


「目の前で、亡くしたのか?」


問うグレイズに、エリシャは頷いて返す。


「私の盾になって死にました。向かってきた流れ弾の爆風と破片から、私に覆い被さって守ってくれたんです」


「......」


「でもそのせいで彼女は死にました。下半身を吹き飛ばされて」


「......今ここで聞いていいものか分からんが、ならどうしてお前はこの仕事を選んだんだ?

お前にとってはその、友人の仇みたいなものだろう?」


「......約束なんです」


「?」


「セラとの...」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ