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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬
第一部

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93*冒険者ギルドの仕事を受けてみる

 やっと金曜だ。今週から週休二日制にするので、今日頑張れば2日休みだと思うとやる気も出来てくる。その代わり月曜が辛いのはどこの世界も同じだ。


 土日休みと云っても屋台がお休みなだけで、色々予定が詰まっている。


 今回は、ジェマをボートに慣れさせると云う目的がある。

 出港準備を手伝って貰ったり、天気が良ければ少し運転を教えてもいいだろう。ゆくゆくは交替で操船できるようになると嬉しい。


 アリッチェを出て泊まりの行程なので、どこへ行こうかと考える。


 甲田さんが、ジェマを魔素に早く馴れさせるためにエルゼダンテの森に行こうと言うので、ガン無視しておいた。殺す気か。


 エルゼダンテの森の反対にあるアールレイの森だったら、魔素もそれ程では無いようだからいいかもしれない。

 車で近くを通っただけで行ったことはないが、小動物の魔獣が出るらしく、アリッチェの若いハンターがたまに行くそうだ。


 南口側で遠いのであまり人気が無いらしく、村1~5の人々も討伐に来てくれないと文句を言っていた。

 ジェマを森の入口の小屋に残して、私は魔石拾いに行こうかな。


 その話をしたら、ジェマも賛成してくれたので、海と山に行こうと云う適当な計画になった。


 泊まる小屋を持ち運べるのが一番の優位だろう。テントと違って魔獣に襲われる心配も無いので、見張りを立てる必要もなく朝までゆっくり眠れる。


 ジェマは町の外に出られることが嬉しくて何でも良いようだ。


 でも魔素が濃いと頭痛くて吐きそうになるんだよと注意して、私の呼吸法を伝授しておいた。地球人と違い元々魔素のあるところで生まれた第7人なので、私ほどは辛くならないとは思うが。


 ウベールに行って住居探しもしたかったけれど、まだ帰還魔法陣も調整中なので、今度にしよう。



 冒険者ギルドに行っておっちゃんに毎度の買取を依頼してから、ついでに求人票を見に行った。

 魔獣の討伐依頼は受けなくても買取に出すとポイントを付けてくれるが、それ以外の依頼は無いかなと思ったまでだ。


・村を周る行商人の護衛。

 ボートや車に乗せる訳にはいかないので却下。でも行商人が早速村を訪問してくれるようだ、良かった。


・森の生態調査。

 定期的に行われているらしい。

 魔獣の食べ物が無くなって来ると森を出て村を襲う可能性があるので、調査場所ごとに魔獣や動物の数を数えて報告する仕事。他に変わったことを報告する。所要時間はおよそ1日なので、足が速くなった私なら問題なさそうだ。


 どうせ森の奥まで魔石を取りに行くのだ。

 面倒なのは種類と頭数を数えることだが、それはユイが監視がてらメモしてくれることになった。

 メモを取りながらだと背後から他の魔獣に襲われる可能性があるのでとても助かる。いくつまで数えたのか忘れちゃうんだよね。


 イレーネさんのところまで求人票を持って行ったら「はあ?」と言われた。


「何その対応。ここはそういう場所でしょう?」


「カノンが求人請けに来たの初めてじゃない」

「魔獣沢山納品してるから、討伐依頼沢山受けてるよね」

「それは勝手に付いてるだけでしょう」

「村にも薪持って行ってあげたじゃん」

「あれもついでじゃない」


「求人には違いないじゃん!」

 全くもう。沢山ギルドに貢献していると云うのに。


「あ、そうだ。ポイント交換できる商品ってどこにあるの?」

 ウベールには商品が飾られていたが、ここにはそれっぽい物が全くない。


「ここのギルドは小さいから、カタログで取り寄せるのよ。ほらあそこにカタログ置いてあるから」

 カウンターの端を指差す。


 おお、カタログギフトか! 葉書やネットで注文すると、後で届くんだよね。

 友達の結婚式で沢山貰ったな。あんまり欲しい物がいつも無かったけど。

 いつか自分の結婚式でご祝儀とか取り返す予定だったのに、先に死んでしまった。


 嫌なことを思い出したので、頭を振って吹き飛ばした。


 嫌なこととは、早く死んでしまったことではない。取り返せなかったことだ。


 しかし第7の適齢期はもっと早いのだ。大体10代のうちに結婚するようで、20過ぎると親族にあれこれ言われる。25過ぎたらもう行き遅れ確定だ。

 私は現在15歳、人生は意外と短い。


「魔道具ってある?」

「魔道具? 少ししか無いと思うけど。カタログ見てみなよ」

 カタログギフトを捲ったら、もっと色んなことを思い出して気落ちしそうな気がする。


「うん、今度見てみる。注文したら魔法の箱に送られてくるの?」


「魔法の箱? いや、あれは書類用だから。ウベールにあるならウベールの人が持って来てくれる。無かったら本部に発注だから、ローマからの他の荷物と一緒に持って来て貰う」

 それは時間がかかりそうだ。もっとポイントが溜まってからウベールで交換する方が早そうだ。


「この求人ってパーティで受注するのが普通なんだけど、カノンなら一人でも大丈夫か。心配するだけ無駄か」

 何だか失礼な言われようだ。

 私だって一人じゃ数を数えるのが不安だから、実はもう一人ヘルプを頼んでるんだけどね!


「それじゃあ期限は20日。終わり次第報告してね」

「うん、明日明後日で行ってくる」


 異世界モノっぽくなってきた感じじゃない? ちょっとワクワクするね。

 でも盛り上げるためのドラゴン演出とか不要ですからね。




 屋台の仕事はいつもと変わらず。

 昨日商業ギルド長に呼ばれた件で、皆さん代わる代わる大丈夫だったかいと様子を見に来てくれた。

 大丈夫だよと答えるも、別な意味で大丈夫じゃなかったな。


 今日もピアスを全部買い占めようと因縁つけてきた奴らがしつこくて、他のお客さんにも手を出そうとしたので、保護膜でグルンと撒いて檻に閉じ込めておいた。


 例の窃盗団捕縛で身に着けた技だ。巡回に来た警備兵に突き出した。大き目のキャスターにバージョンアップしたので、石畳でもあまり引っかからずに引っ張れたようで、警備兵にも好評だった。


「カノンさん凄いですね、小さな車付けて動かすの凄く便利です。私も魔法勉強したらあんなことが出来るようになるんですね」


 ジェマは天真爛漫な笑顔で感想を述べるが、こんな変わった魔法使いになられちゃ困る。ジェマには真っ当な道を歩んで貰いたい。



 営業を終えて、土日休みの立札をかけて市場を後にした。

 やったー、休みだー。仕事だけどね。

 それと、運営から楽しみなメッセージが届いていた。夕食の後で検証してみよう。


 今日は久々にクリームシチューだ。野菜たっぷりで優しい味がする。成長期のジェマにはせっせと牛乳を与えている。


 最近のジェマのお気に入りは何故かおにぎりだ。

 米よりはパン派だったジェマに、無理かもとおにぎりを渡してみたら、「こんなに美味しいものが世の中にあったんですか? 私一生おにぎりでいいです!」と言われ、ランチはほぼおにぎりになってしまった。

 おにぎりだけだと栄養が偏りそうなので、惣菜も一緒に食べさせる。


 普通の白米だけだと味がしないので微妙みたいだが、おにぎりは塩がついて中に具が入っているから美味しいそうだ。成程。

 日本米のモチモチした食感もおにぎりにマッチしていて腹持ちも良く、具も沢山種類があって興味が尽きることが無い。と、おにぎり評論家の様なことをジェマさんは仰っていた。


 BOXには大量のおにぎりが入っているので、数年はジェマも楽しめると思うが、おにぎり続きじゃ飽きる方が早いかもしれない。でも待て、自分も子供の頃から食べているが、飽きたことは無いな。まだ塩分過多とか心配する年でもなかろう。


 折角なのでジェマに、おにぎり日記を付けてみたらと提案したら、はっとした顔をして何度も何度も頷いた。

 文字の練習に渡したノートは紙が勿体ないからと、小さな字でびっしり埋めているので、あまりページが使われていないが、おにぎり日記に使えば大分捗るだろう。


 楽しんで文字練習も出来るので、我ながらナイスアイディアだ。


 エンジーナで別れても、ジェマにはアイテムバッグを持たせて、時々おにぎりの差し入れをしてあげたい。


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