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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬
第一部

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92/118

90*あんパンと牛乳

 行列再びである。

 朝市場に行くと、長い行列が出来ていた。


 ジェマと二人で慌てて準備を行う。客の目当ては勿論ピアスだ。やっぱりねー。

 この人数だと足りなくなりそうなので、早目にストックのタグ付けを魂さんたちに依頼する。

 魂さんの仕事は早いし、間違いも無くて検品も確かだ。いい部下が沢山いて幸せ者である。


 一息つけたのはもう2時過ぎで、慌ただしく二人で交代してトイレやランチを済ませる。


 でもジェマがいて助かる。

 前は一人だったからトイレにも行けずにいた。お客さんが並んでいるのに「トイレに行くので休憩です」とは言えなかったもんな。本気で大人用オムツを検討しようかと思ったよ。


 こんなに忙しいことが解るだろうに、色々脅しを掛けてくる商人たちに苛々して、ぶち切れてしまった。


「他のお客さんの迷惑になるからさっさと帰れ! お前らに渡す物は一つもない!」と、いつもよりちょっと温度の高い温熱魔法をお見舞いした。ギャーと昔のアニメの様に逃げていった。


 警備兵とか呼ばないよね、こんなんで捕まるの嫌だよ、と不安になっていたら、周りのお客さんたちからは拍手の嵐だった。ジェマまで後ろから称賛する。


 いや、大人は冷静に対応できなきゃダメだよ。こんなのSNSに晒されたら大変だからね。


 しばらく怯えていたが、警備兵はやって来なかった。良かったー。



 閉店時間の16時になっても客は引かず、30分の残業になった。

 寄って来ようとする人の前で、慌てて店を仕舞う。


「明日の営業は10時からです」

 にっこり微笑んで伝える。

 忘れがちだが、私も今は美少女だった。微笑みの効果があったようで快く帰ってくれた。


「ひゃー疲れたねージェマ」

「疲れましたー」

「明日旅に出ようか」

「ダメです。今のお客さん明日も来ますよ」

 今日もマジメなジェマだった。逃亡はダメらしい。


「疲れてるところ悪いんだけど、ちょっと付き合ってくれる?」

「はい」




 ちょっとアルマさんに聞きたいことがあったので、帰り道沿いなので魔法ギルドに寄る。

「私初めて魔法ギルド入りました」


 ロビーは昔の市役所の感じで全然魔法ギルドっぽくないんだけど、実は奥にギラギラしたとんでもない部屋がある。

 ジェマにも見せてあげたいけど、多分目を悪くするので止めておいた方がいいだろう。


 ロビーの端にジェマを座らせて、あんぱんと牛乳を渡しておいた。

 疲れてるから甘いおやつのつもりだったが、一気に魔法ギルドで張り込みっぽくなってしまった。


「アルマさん、今いい?」

 アルマさんの前に顔を出して聞くと、不機嫌そうな声が帰ってきた。

「ダメって言ってもいいんですか?」


「あれ、めちゃくちゃ忙しい?」

「いいえ、大丈夫ですよ。どうかしました?」

「ちょっと質問だけだったんだけど、本当に大丈夫?」

「大丈夫です。私も丁度気分転換したいところでした」


 アルマさんにもあんぱんを渡した。牛乳は張り込みっぽいのでやめておいた。

「はい、おやつ。気分転換して」

「やったー」

 その場であんぱんにパクっとかぶりつく。


「何ですかこれ。この黒いのがすっごく甘いですね」

「豆を甘く煮たものだよ」

「えーどこに売ってるんですか? 初めて食べました。外のもフワフワ」


「アリッチェには売ってない。外国の商人から買った」


 ボーナさん憶測の『私が毎週日曜に外国の商人と取引している』を採用させて頂いた。

 元々日本の店に並んでいた商品だから、外国の商人で嘘はついていないし。


「えー美味しいー。また見付けたら買ってきてくださーい」

「うん、また会えたらね」


「それで質問って?」

 機嫌が良くなって良かった。


「アイテムバッグって魔法ギルドで作ってるの? 冒険者ギルドや商業ギルドにもあるけど」

「そうですよ。ローマの本部で作ってます」

 もっと秘匿事項かと思ったら、軽く答えてくれた。あんぱんのせいか?


「ローマの本部以外の人がアイテムバッグ作ったら問題になる?」

「えー、作れないでしょう」


「実はこの間のギラギラの帰還魔法と仕組みが似ているみたいなんだよね。あとここにも本部と書類やり取りする箱みたいなのあるでしょう?」


「連絡箱ですよね」

「そう、あれも仕組みが似てて、アイテムバッグっぽい物が作れるかもしれない」


「魔法陣を解読したってことですか?!」


「全部じゃないけどね。それで書類より大きな物をやり取りする箱が作りたいと思ってるんだけど、勝手に作って捕まったりしたら嫌だから聞きに来たの」


「もし解読出来たなら歴史的発見ですよ! アイテムバッグも魔法陣の意味が解らずに、修復して使っているだけなんです。私の同期がそう言ってました。もし解読して便利な魔道具が作れたら、カノンさん本部に呼ばれますよ。本部のトップとかになっちゃうかもしれない」


「いやいやいや、それは勘弁。絶対嫌だわ」


「えーどうしてですか、凄いじゃないですか。やっぱり上級魔法使い、凄いですねー」


「えー、アルマさんがローマに呼ばれてトップにされたとしたらどう思う?」


 少し考えてアルマさんが答えた。

「絶対に嫌ですね。彼氏とも離れたくないし」


 彼氏いるんかい。

 もうあんぱんあげるのはやめよう。いや、嫉妬とかじゃないよ。


「まぁちょっとギルド長にも聞いといて。罪に問われたり、本部に呼ばれるの嫌だから」

「是非新しい魔道具作ったら、魔法ギルドに最初に見せに来て下さいね」


「うん、解ったー。じゃあ、ありがとう」

「お菓子もまた買ってきてくださーい」


 それは無視してジェマの元に戻った。

「お待たせー」

「お菓子美味しかったです」

 張り込みの成果は後で聞こう。



 アルマさんには申し訳ないが、私が帰還魔法を解読した訳でも、魔道具を作れる訳でもない。

 優秀な研究者と開発者がバックにいるので、私は営業担当のような役割である。


 アイディアと云うか欲しいものをまとめて運営に依頼した。


①ジェマ用のアイテムバッグ

 物の保管先はローマの魔法ギルドではなく、私のBOXの中にジェマ専用フォルダを作って保管する。

 BOX自体が時の流れが遅いので、ジェマのアイテムバッグも同様に食品類が腐る心配が無い。

 現行のアイテムバッグと同様の魔法陣でいける筈だ。


②私とジェマ共有のアイテムバッグ

 対になる別々のアイテムバッグを持つ。保管先は小屋の物置とする。両者のバッグから物置を介してやり取りしたい。


①はジェマ以外に、ボーナさん用も作りたい。遠方からの商品売買に役立ちそうだ。


②の仕組みが出来れば、ギルド支部間のやりとりや、大きな荷物の配送も可能になる。

 アイテムバッグをお互いに持って、保管先を同じ場所にすれば、双方向で物の移動が出来る。



 運営さん、急がないので、よろしくお願いします。


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