↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/113

83*2階建てになった

 さてお楽しみの二階だ。うきうきした足取りで二階へ進む。


 今までは広いワンルームで、トイレに行くのも冷蔵庫に行くのも便利だったが、今度は階段の昇り降りが必要になるので面倒だ。


 でも部屋の中に階段があることの方がテンションが上がる。一軒家やメゾネットタイプマンションじゃないと階段は無いので、長年マンション住まいにとってはロマンなのだ。


 階段を昇ると左右にドアがあり、丁寧に名札がついていた。右が私の部屋のようだ。

 部屋に入ると、家具の構図は変わっているが、今までの部屋と遜色無かった。1階の部屋がそのまま上に上がって来たみたいだ。自分の部屋は嬉しいけど、普通である。


 ジェマの部屋を覗くと、ほぼ変わらず。私の部屋が赤系だったのが、ジェマは青系と云う違いだけだ。確かにジェマは青がよく似合う。男装のときは青の服ばかり着ているし。


「こんなのダメです!」

 急にジェマが言うので慌てる。


「実は青嫌いだった? 他の色に変えて貰う? 他に気に入らない物あった?」

「違います。青は大丈夫です。そうじゃなくて、カノンさんの部屋と同じなのがダメです。私なんてどこでも寝れますから部屋は要らないです。下のソファで寝るので十分です」


「下のソファで寝られたら逆に迷惑だからダメ。お客さんとかも呼べないでしょう?」

 ここにお客さんを呼ぶことは一生無い気がするが。

 まーでも、ジェマと同じ位気を許す人も出て来ないとも限らないよな。

 いつの間にか旅の仲間が増えているのも、物語のあるあるだしね。


「そうですね、邪魔ですね。じゃあ、そこの廊下でいいです」

「いや、余計に邪魔だわっ。ジェマを踏まないと部屋に入れないじゃん」

「踏んで構わないです」

「そんな趣味ないわっ!」


 居候の自分が家主と同じ大きさの部屋を貰うことがあり得ないとジェマは頑なに固持するので、仕方ないので、部屋を少し狭くして余った場所を物置にすることで妥協して貰った。


『と云うことで、今度リフォームお願いします』

 ユイに業務連絡をする。

 イヤーカフから舌打ちが聞こえた気がするが気のせいだよね。


 私が急に聞き覚えの無い言葉を話したので、ジェマが不思議そうな顔をした。


 とりあえず1階に戻ったら、もう昼過ぎだった。意外に時間を食ってしまったようだ。

 ジェマも初ウォシュレットチャレンジをしたが、「途中解らなくなったのですが、何とか思い出して出来ました!」と報告を貰った。トイレタイムの詳しい説明と感想を話し出したので、そこまではいいよと笑って断る。


 いつも屋台の昼食は客の合間に急いで食べるのでサンドイッチが多い。

 ジェマに持たせている朝と晩の食事も常温で翌朝まで大丈夫な物ばかりで、最近は温かい食事を渡すことが出来ずにいた。


 だから今日はサンドイッチ以外の温かい物がいいな。どんな物でも喜んで食べてくれそうだが、あまり日本すぎる食材は体が受け付けない可能性があるだろうから、徐々に出していこう。


 温かいイタリアンがいいね。トマトも入ってるからラザニアがいいかも。ジョージの食堂から、温野菜のサラダも一緒に注文する。


「お昼にしよう」

 そう言って、BOXから出してそのままダイニングのテーブルに並べる。


 アイテムバッグから食べ物を出すのはいつものことだが、今は小屋なのでアイテムバッグは他の荷物と一緒にリビングのソファに置いたままだ。

 それなのに皿に載った状態の湯気が上がった料理が、空中から飛び出したので、ジェマもまん丸の眼をしたまま固まっている。


「これが私の秘密。いつでも美味しい食べ物を取り出せる」

 笑いながらそう言うと、真剣な声で返事が戻って来た。

「凄く羨ましいです! 絶対に言いません」

 真剣な顔で小刻みに頷くジェマ。ウサギっぽいな。


「私の秘密は、この国のアイテムバッグより、ずーっと大きいバッグを持ってること」

「バッグ?」

 ジェマがキョロキョロする。


「これだよ」

 ポケットからタブレットを出して見せる。


「それって手帳ですよね。いっつも何か書いてますよね」

「うん、手帳みたいな物で、アイテムバッグも兼ねているの。故郷ホッカイドーの魔道具なんだ」

 魔石電池で動いているので、魔道具で間違いない。


「このアイテムバッグがホッカイドーの倉庫に繋がっているんだけど、とにかく大きくて、朝話した船も入ってる。あとこの小屋ごと入っちゃうよ」

「えー屋台だけでもびっくりしたのに、そんなに大きい物も入るんですね」


「そして温度管理もされてるから、こういう料理も温かいままで入れておけるんだよ。こっちのアイテムバッグだとすぐに冷めるし腐るらしいんだけど、これは長持ちする」

「そうなんですか。旅をするとき便利ですね」


「そう。だからこのことを知られちゃうと狙われると思うから、内緒にしてるの」

「絶対狙われますね。私カノンさんのこと守りますから!」

「ジェマーーー。守ってくれるのー? 優しいね。ありがとう」

「頑張ります!」

 ジェマがやる気だ。私もジェマを守れるように頑張るよ!


「それとさっきのトイレで解ったと思うけど、この国とホッカイドーじゃ文化が随分違って、珍しい物が沢山あるの。だから知られると、これも狙われると思う」


「そうですよ。食べ物を冷やす箱とか、火打ち石が無くても使える暖炉とか、聞いたこと無いですから。そっか、だからこの家も見えなくしているんですね?」


「そうなの! 他の人は私がテントに住んでいると思っている」

「私も最初はそう思いました。どうしてカノンさんみたいな人がテントに住んでるんだろうって」


「カモフラージュのつもりなんだけどね。宿屋にも一度泊まったんだけど、狭いしお風呂無いしスライムトイレだし、落ち着かなくてね」


「こんなに凄いところと比べると、宿には泊まれないですね」

「逆にジェマはここに住んで貰うわけだけど大丈夫かな?」


「慣れるまでは時間がかかると思いますが、あのベッドの柔らかさを知ってしまったらもう家には帰りたくないです。それより、この家を出て藁のベッドに戻るのがもう怖いです」


「もう引っ越して来ていいよ。イレーネさんに聞いたけど、ジェマのところすきま風酷いんでしょう? 隣に怖いおじさん住んでるって聞いたし。女の子一人で置いておくのも心配だから、もう引っ越しておいでよ。屋台行くのも一緒で出られるから便利になるよ。冒険者ギルドで着替える必要もなくなる。ああもう男の子のフリする必要ないね」


「カノンさんだって女の子なのに一人で住んでるじゃないですか」

「もう成人したからいいんだよー。魔法で守ってるから大丈夫なの。どうしても今の家にいるって言い続けるなら、私もついていって家に魔法かけるよ。どうせあとちょっとで旅に出るんだからね」


「はい……本当にいいんですか?」

「いいに決まってるじゃない。今日折角休みにしたから引っ越ししようか。荷物全部持って来よう」


「一人で大丈夫です。荷物は少しずつ持ってきます」

 隣の怖いおじさんに、私を会わせるのが余程怖いのかな。


「わかった。荷物ってどの位? アイテムバッグ貸してあげるからそれに入れておいで。屋台入る大きさだから、2回位で持って来れるかな?」

「全然少ないので1回で十分です。あと掃除したり、出て行くことを言わないとならないので」


「どこの不動産屋? 借りるとき誰か大人について貰ったのかな?」

「ギルド長が手続きしてくれて、鍵を貰いました」

 ジェマの言うギルド長とは、魔熊好きの冒険者ギルド長のことだ。


「じゃあギルド長に頼めば大丈夫だね。今日は荷物だけアイテムバッグに入れて持っておいでよ。掃除とか手続きとかは後でギルド長に聞いてからにしよう」

「はい、解りました」


 後は大人に任せよう。どうしても掃除が必要だと言われたら、浄化してやればいい。


 荷物はジェマにしか解らないお父さんの形見とか大切な物もあるだろうからね。私は手を出さない方がいいのだろう。

「じゃあ午後からは引っ越しだね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。