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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


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6*転職が決定しました

「あとご質問は?」

「すみません、今まだ思いつきません。死んだことを聞いてからあっという間に、物凄い情報量だったので、処理能力が追い付いていません」


「そうですよね。いつでも聞いてください。では待遇面ですが、運営株式会社所属になり、福利厚生などは会社に準じます。追って詳細は書面にまとめますが、遠隔地手当もあるので今の収入よりは高くなると思います。日本円で支給されても困るでしょうから、現地通貨のレートでお支払いします」


「ありがとうございます」


「現地の物価は安いので、もっとお得感はあると思います。とは言え、無いものも多いので、良いか悪いかは難しいですが。生前に須藤さんが持っていたものはコピーしましたので、そのままお渡しします」


「え? 家にあった物もですか?」

「そうですね、会社の机やロッカーの中も」

「ゴミしか入っていないかもー」

「不要なものはまとめてもらえば処分しますよ」


「かたじけないです。え? 電化製品も? スマホが使えるってことは電気があるんですか?」


「電気は第7惑星には無いです。発電機を持っていくか、第2で作った魔石と電気の変換器を持っていくかになりますね。第2は5年位前からカナダの方が移住していて、電気が無いので変換器を作ったんですよ。第7も魔石が豊富なのでそれをお渡しできます」


「私が最初じゃないんですね。別な星で同じことしている人がいるんですね。ちょっとほっとしました」


「カナダの方は結構面白い人ですよ。タイミングが合えば、顔を合わせる機会もあるかもしれませんね」


「是非是非情報交換したいです!」


「今後そういう集まりが出来たら良いと思っています」


 坂口さんはニコッと笑って、PCを閉じた。


「それでは今日のところはこれで。必要な物資などを集めて手続きしておきます。次回までに聞きたいことありましたら、考えておいてください」


「はい。えっと、私はどこに泊まれば?」

「お部屋にご案内しますね。どうぞ」


 立ち上がって、坂口さんが開けてくれたドアから出る。

 この体では、自分でドアを開けることは不可能な気がする。


 あれ? 幽霊ならばすり抜けられる?

 廊下の壁にぶつかってみるが、痛くもないがすり抜けは出来そうにない。


 地球のみなさん、幽霊はほぼ透明でも、すり抜けは不可のようです。


 廊下の端っこをふよふよしている私を見て、坂口さんは不思議そうな顔をしている。


 白い廊下を過ぎて、窓のある大きな部屋に通された。

 窓の向こうには、色とりどりの花が咲く庭園が見える。


「わーキレイですね。小さな滝みたいなのもあって癒されますねー。これは夢に見た天国っぽいです」


「あはっ、そうですね天国っぽいです。当たり前ですが、亡くなられたばかりの方は情緒不安定なことが多くて、この部屋で寛いでいただくんですよ。輪廻転生までの間お過ごし頂くリラックスルームになっています。こちらに個室がありますので、どうぞ」


 個室の窓からも庭園が見渡せた。窓も少し開いていて風も感じられる。

 個室といってもホテルの部屋みたいなものじゃない。よく考えたら、寝ることも食べることもお風呂もトイレも不要の体になっているので、何もいらないのだ。


 ネットカフェのスペースよりも小さなテーブルと椅子。目の前にモニターが見える。


「タブレットみたいなものです。手で操作は出来ませんので、話しかけて質問してください」


 魂だから手は無いもんね。声もどこから出ているのか、甚だ疑問なんですけど。


「質問?」

「第7の気になることとか」


「勉強できるんですね。じゃあ、第7の地図を見せてください」

『第7惑星全体の地図を表示します』


 地球儀みたいなものが映し出された。クルクル回って、画面が西に移動していく。

 いや、地球儀みたいなものではなく、地球儀だ。

 地球をコピーしたなんて信じられないことを聞いたが、こうやって地図を見ると、本当なんだなと思わざるを得ない。


 私の知っている世界地図と多少の違和感はあるが、2,000年の間に起きた地殻変動や埋め立てのせいだろう。


「ローマ帝国の地図を見せてください」

 国の周りに境界線が引かれている。確かに大きい。


「えーと、人口は?」

「約5千万人です」


 ほぅ、多いのか少ないのか。

 第7全体で5億と言ってたから、十分の一がローマ帝国にいるってことね。


「一番栄えている都市は?」

「ローマです」

 やっぱりローマなんだね。


「では、私は別な部屋におりますので。色々とタブレットに質問してみてください」


 急に後ろから坂口さんに話しかけられて、びくっとしてしまう。

 今の私は白いモヤだしね、びくっとしても解らないだろうけど。


「はい、ありがとうございました」


 振り返って見送る。個室のドアがキュイーンと閉まった。

 普通の木や鉄のドアじゃないのね。SFっぽい音がしたよ。普通に見えて、建物も謎物質でできている気がする。



 ようやく一人になった。怒涛の一日で疲れてしまったが、食事や睡眠も無いので、一日なのかも解らない。

 凝る肩もないが、気持ち腕っぽいものを上げてみる。やっぱり上がってないね、もういいや。


 何だか流された気がするが、転職先も決まってしまった。


 日本人移民の第一号だよ。本当に私でいいの?


 話を盛ってしまったばかりに、とんでもないことになった気がするが、500年後のことだから大したことはしなくていいみたいだけど、本当かな。


 やっぱり給料貰っている分求められる水準は高いよね。


 そもそも一人で行って大丈夫なの?

 言葉も全然話せないし、魔獣に襲われてすぐ死んじゃうんじゃない?


 追加で人を送るって言ってたけど、適性あって前世評価が良い人じゃないとダメなんでしょう?

 見つからないんじゃないの? だから私が一人目なんじゃないの?


 大丈夫なのかなー心配だよー。


 でも地球に輪廻転生してまた生き返るのは、それはそれでしんどい。


 だったら魔法のある世界でゲームっぽく生きる方が楽しいのかも。

 魔王倒さなくていいって言ってたし。


 ああ、そのためには勉強しなくちゃ。

 異世界転移される前に、色々勉強しておかなきゃね。


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