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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


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4*地球人類は滅亡するらしい

 とりあえず親の問題は『孫多め』で片が付いたので、もう前世に思い残すことは無い。


「仕事というのは、この会社の仕事なんですか?」


 坂口さんの闇属性が薄れ、仕事モードの顔に戻る。


「所属は私と同じ対策委員会になりますが、勤務地はここではありません」

 そっか、坂口さんとは勤務地が違うのか。それはちょっと寂しいな。


「勤務地は第7惑星といって、地球よりは文明が遅れた地です。異世界転生ってご存じですか?」

「は? えーとアニメとかの?」


「そうです。異世界モノが流行っていますよね。まあ似た感じです。実は第7惑星というのは、2000年前の地球をコピペして作った惑星なんですが、その後の歴史や自然活動などが異なるため、地球とは大分違った状態になっています。地球では科学が発達して産業革命が起きて人類が増えましたが、第7惑星では科学の代わりに魔法が発達しました」


「ちょっちょっと待ってください!」

 え? 全然ついていけない。


「コピペ? 地球ってコピペできるものなんですか?」


「ええ、人族が誕生した20万年前頃から定期的にコピーを取っています。正確には地球じゃなくて太陽系全体のコピペですね。地球だけコピペしても、環境が伴わないと生物が生きていけないので」


 驚きすぎて声も出ない。

 20万年前からここの会社があるの?

 それってもう神ってことでいいんじゃないの?


「最近は文明の動きが激しいので、こまめにコピーしているそうです」


「あの、魔法って?」

「映画や本に出てくる魔法ですよ」


「どうして地球をコピペしたのに魔法が使えるんですか? 新しい技術か何か?」


「魔法には魔素という成分が必要で、北極の氷山の下や氷河湖の地下に埋まってます。地球でも微量漏れてはいるのですが、魔法が発現する程は発生していません。第7惑星は早くに氷河湖の火山大噴火があり、魔素が大量に噴出されました。それが湖に溶け、山に降り注ぎ、少しずつ人里にも風で飛ばされました。人体が新たな元素を体外から排出しようと抗ったところ、魔素が火や水になって吐き出されたのが、魔法の始まりです」


「へー」


「今では人間も魔素を使いこなし火魔法を発動したり、魔素が固まり蓄積した魔石で魔道具を動かしたりして、生活に役立てています。まだ大規模な魔法は殆ど使われていないので、文明進歩としては遅いです」


「ということは、地球でも北極の氷が溶けたら魔法が使えるようになるんですか?」


「そうです。ちょうど良い流れになりましたので、そろそろ本題に入らせて頂きます」

「はい」


「地球は500年後に人類が滅亡します」




「え?」

 冗談を言っているのかと思ったが、真顔の坂口さんがいた。


「正確に言うと、少しずつ自然災害が増えていって、住む場所を無くした難民が増え人的災害が増えていき、500年後には現在の80%程の人が亡くなると思われます。その後細々と暮らしていくでしょうが、困難を極めるでしょうね」


「え……地球滅亡?」


「いいえ、人類滅亡です。一部の動物は生き残って、新しい生態系を作るでしょう。かつて恐竜が絶滅したときのように」


「でも人類はみんないなくなるんですね」

「ご安心を。500年後ですから、知り合いはみんなとっくに死んでますよ」


「でも輪廻転生で生まれ変わっている可能性がありますよね」

「向こうも記憶も無いので心配することも無いですが、そこで対策委員会の出番です」


 対策委員会というと、坂口さんの部署で、これから私も所属する予定の部署だ。


「対策委員会は、地球から人類を救おうというプロジェクトです」


「そうなんですね! 良かったです」


「他の動物と比べて、人類は新しいものを沢山生み出しました。今後もきっと想像もつかないことをするに違いないと考え、地球の人類を救うことになりました。但し、人類滅亡のきっかけを生んだのも、その人類です。産業革命以来、急速に文明が発展しましたが、ついでに地球資源も減っていきました」


「地球温暖化ですか?」


「温暖化ではありませんが、地底を掘りすぎた、木を伐採しすぎた、海を埋めすぎた、そういう自然への干渉が大きすぎて、色々なところに影響が出てきたんですよ。まぁ、人類が増えすぎましたね。便利になって危険もなくなって、医療が進化し平均寿命も延び、戦争も減って、50年前より人口が倍以上になっているんですよ。この惑星に80億人はちょっと多すぎます」


「まあ確かに支えられませんね」


「今の地球で人類が生きる道を検討してきましたが、このままでは無理だろうという結論になりました。そのため、地球人類を他の惑星に移住させます」


「え?! 80億人ですか?」


「移住時点で大分減っているとは思いますが、80億人出来るだけ救おうと思っているのが、このプロジェクトです」


「それが第7惑星なんですね」


「そうです。第7だけではなく、10個の惑星に分けます。いずれも3000〜1000年前頃に地球をコピペした惑星で、その後現在までに、地球と異なった歴史を歩んでいます。80億人を一つの惑星にまとめるとまた同じ羽目になりますから、10個の惑星にできるだけ等分に分ける予定です」


「なるほど。人数が少なくなるのは良いことですね」


「惑星も個々に特徴があります。魔法が使えるのも使えない惑星も。既に現地の人類が滅亡しかけている星もあります」


「それマズいじゃないですか。第7惑星はどんな特徴ですか?」


「魔法が使えるけれどまだ日常レベルで、文明発展には至っていません。産業革命前の地球といったところですね。そこに500年後、地球から日本人を送ります。人数的に日本人だけではなく、アジアの国もいくつか入る予定ですが、まだ組み合わせははっきり決まってません。色々面倒くさいんです」


「そうですよねー。国っていうのは近ければ近いほど仲が悪いものですし」


「過去のしがらみがありますからね。500年もたったら既に忘れていると思いたいですが、きっと新たな問題が出ていることでしょう」


 坂口さんが大きなため息をついた。


「そこで須藤さんにお願いしたいのは、先行移住です」


「先行移住? え? 私一人で?」


「一人ではないです。適任者が見つかり次第、他にも派遣します。第7惑星には原住民が既に5億人位います」


「そんなに住んでるんですか?」


「全世界でですよ。地球の80億人に対して5億人です」

「あ、そっか」


「地球からは最大人数で8億人位送る予定です」


 現地の人脅かすな。民族大移動で迫害とか起きないだろうか。

 まぁ分散して住んでもらえばいいよね。生活圏も分けるとか。


「須藤さんには先行移住して、8億人の受け入れ準備をして頂きたいのです」


「ええっ?! そんなの無理です。私一人じゃ絶対無理です」


 ははは、と坂口さんが大笑いする。クール眼鏡男子の破顔、ヤバすぎます。


「当たり前ですよ。500年後と言ったじゃないですか。早くて300年後あたりから少しずつの移住ですが、300年後でも須藤さん死んでますって」


「ああ、そっかー、そうですよねー、びっくりしたー。だったら私は何をすれば良いのでしょう?」


「現地調査ですね。とはいえ、飛行機も高速船も無いので、徒歩や馬などで行ける距離は限られています。今現在一番栄えていて魔法が発達している地域で、今の最先端の技術を視察してきて欲しいのです。まぁ、リアル魔法と剣の世界へ異世界転生だと思ってください」



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