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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


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35*商業ギルドで市場の話を聞く

 初めての町の、固いベッドの狭い宿で、寝付けるかよと思ったのは誰だったでしょうか。

 根性が図太いのか、爆睡していました。布団はBOXの中から地球産を出したけどね。


 この町では朝の鐘5時に起きて支度をして6時には出掛けるのが、生活スタイルのようだ。昨日早く寝た筈なのに、全然目が開かない。

 時計は庶民には普及していないので、時間は鐘頼みだ。

 鐘は1時間置きに鳴り、19時に最後の鐘が鳴る。あまり遅くまで鳴るのはうるさいからで、みんな19時に寝る訳ではない。


 でも夜の娯楽も無いので21時頃には寝るらしい。5時起きなら丁度8時間睡眠だからそんなものだね。


 裏の井戸の隣にある流し場で顔などを洗うように言われたが、そこまで行くのは面倒なので、BOXから洗面器を出して水魔法で水を出して、顔を洗い歯を磨く。水の入った洗面器はそのままBOXに入れると、次に洗面器を出したときは、再生魔法で水も消えている。


 浄化魔法で体や髪をキレイにして、昨日の服をBOXに押し込み、今日の服を出して着込む。服も再生魔法で洗濯要らずだ。


 掃除洗濯が要らないのは本当魔法バンザイだよ。


 宿に朝食はついていないので、北海道BOXからサンドイッチとコーヒーを出して朝食にした。おっと、牧場のヨーグルトも付けよう。


 さて今日は商業ギルドだ。ギルドはどこも6時から開いているらしい。みんな早いねー。

 市場で屋台が出来ないか相談をしようと思っている。


 魔石は集めなきゃいけないらしいけど、ガチで冒険者になる気はないので、希望としては商人寄りだ。

 いつか魔シロナガスクジラを狩りに行かないといけないらしいけど、商人寄りだ。

 動物愛護団体の皆さーん、“魔”がついてますからねー。

 定番でいうと、クラーケンとかいそうじゃない? いや、地球のコピーだからいないか。


 この町に長く定住しない予定なので大きな商売をする気はないが、一応商人登録して商業ギルドに詳しくなっておかないとならない。

 魔法ギルドも冒険者ギルドも怖かったけど、商人はもっと怖い。

 若い馬鹿な小娘なんて、身ぐるみ剥がされてさっさと売り飛ばされそうだもんな。


 ひゃー怖いよー。体に保護膜張っておこう。

 あれ? 昨日、魔法ギルドでギルド長に腕バンバン叩かれて痛かったけど、保護膜張ってたよね。

 ん、痛くはなかった気もする。触られて鬱陶しかっただけか。

 冒険者ギルドでイレーネさんに放り投げられたのは? うん、痛くはなかった。

 崖から落ちても平気らしいので、きっと大丈夫だろう。




 商業ギルドは町のど真ん中にあった。

 他のギルドと比べるとかなり大きく、荷車の往来も多い。

 真ん中のドアから入っていいのかな。ドキドキしちゃうな。

 朝も早くから沢山の人がいた。大声で説明している人や喚いている人もいて、かなり怖い。

 目を合わさないようにして、空いているカウンターを探す。


 あった。一番奥の女性の前には、誰もいなかった。40代位に見える細身の女性だ。


「すみません」

 私の声に、彼女が顔を上げる。

「ギルドに登録したいんですが」

 すると彼女はニッコリ笑って、紙を取り出した。


「いらっしゃいませ。登録申請書にご記入お願いします」

 紙質は魔法ギルドより上だ。さすが商業ギルド。ペンも何だか書き心地がいい。やはり物を扱っているだけありますね。


 取扱品目、うーん、何て書けばいいんだろう。

「これって後で増えたときに、毎回変更しないといけないんでしょうか?」


「商売ですから急に増えることもありますよね。基本的には変更都度来て頂くのが規則ですが、主に扱うものを書いて頂ければいいです。後は年に一度更新のときに仰って頂ければ大丈夫です」


 きちんとしているのに融通が利く、大人の出来る女性ですね。


「雑貨、とかでもいいんでしょうか?」

「どんな雑貨ですか?」


「今のところは日用雑貨ですね。女性向けのヘアグッズを考えています」

「まあ素敵ですね。お店を出したら私も行きたいですね」


 きっとこの人は、元商人かな。商人としての実績を買われてギルドに来たとか。仲良くなっておかねば。


「ではその様に追加しておきますね。日用雑貨とまるきり異なる商品を扱う場合には、ご相談ください」

「はい、解りました」


「商売方法はどうしましょう。村などに行商に行きます? この町でお店を出されますか? 他の町で仕入れた商品をこのギルドで販売されますか?」


「市場で屋台とかやりたいと思ったのですが」

「いいですね。市場の仕組みはご存知ですか?」

「いいえ、昨日この町に来たばかりで、まだ市場も殆ど見ていないんです」


「市場は毎日6時~19時まで開いています。毎週日曜はお休みです。現在は約2割位屋台スペースの空きがあるので、申込次第出店可能です。但し、良い場所はもう取られてしまっていますね。出店料は一ヶ月単位で一区画5~15万デナリ。場所によって異なります」


「結構しますねー」

 物価を考えると、もう少し安いと思っていた。


「これには税金も入っています。どれだけ儲けてもこれ以上税金を取られることは無いということです」


 ほうほう。どうやって税金を払うのか気になっていたが、そういう仕組みになっているんだ。

 帳簿とか提出しなくていいのは楽だよね。売れないと大変だけど。


 通貨単位のデナリは古代ローマのデナリウス銀貨から名付けました。

 日本の物価と比較しようとしても、物に依って高い低いがあるので、一概に何とも言えません。

 1デナリ=1円と思って読んで下さい。その方が読みやすいですよね。


 明日からは7:10、12:10、19:10の3回更新予定です。

 お暇なときまた遊びに来てください。


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