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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬


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34*どうしてこうなった?

 やっと解放されて冒険者ギルドを出た。

 空を見ると大分暮れてきている。


 商業ギルドに行こうと思っていたが、初日から魔法ギルドと冒険者ギルドでやらかしてしまったので、もうくたくただ。今日はもうおしまいにして、商業ギルドは明日にしよう。別に急ぐ用事じゃないしね。

 魔力を巡らせて体はシャキンとしたが、疲れたのは精神だ。


 おっかしいなー、あんなに準備してやっと来た異世界だというのに、何故初日からこんなことになった?


 上級魔法使いになったり、魔熊を沢山納めることを約束させられたり。


 大人しく目立たないようにするつもりだったのに、『あれ? 僕何かやっちゃいましたか?』系主人公みたいになってんじゃん!


 これって全部準備しすぎだったんじゃないの?

 魔素に慣れるためにエルゼダンテの森なんて特殊なところ選んじゃったばかりに、ヤバい奴になっちゃったんじゃないの?


 いきなり町で良かったんじゃない? 宿で一週間位寝ていれば、町程度の魔素なら体が慣れたよ。


 誰だよ、こんなヤバい奴にするために、エルゼダンテの森を選んだ奴は?

 エルゼダンテの森は普通の森だと思ってたのに、みんなの会話を聞く限りほぼ魔境だったらしい。駆け出しのハンターが選ぶ猟場じゃないやい。


「決定したのは坂口さん」

 またぶつぶつ言っていたようで、即座にユイから返答が帰ってきた。


「それに賛成して鍛えてくれたのは、ユイと甲田さんだよね」

「いやー、魔法と戦闘に関しては甲田さんが担当だったよね。だから坂口さんと甲田さんに文句言って」


「全部知ってて傍観していた女もいたよね。それを影の支配者っていうんだよ」

「いーやー支配者は、運営のえらい人たちでしょう」


「とゆーか、初日でこんなことになっちゃったら、普通に暮らせる気がしないんですが」

「猫被っているより、本性出せた方が楽でいいんじゃないの?」

「もうー明日からどうなるんだろう私」


「声大きいよー。独り言の大きな人だと思われるよ」

「普通にヤバい奴じゃん」

 ブツブツ言いながら通りを歩き、宿まで戻った。


 また急階段で4階まで昇るのしんどいわ。固いベッドも寝るの辛そうだな。

 お風呂も入れないし。和式ボットン(スライム付き)も嫌だ。


 もう晩ごはんが食べられるそうなので、そのまま1階の食堂でごはんを食べることにした。

 お昼の貝のパスタも美味しかったし、冒険ギルド長に魔熊煮込みの話を散々聞かされたので、ご飯は少し楽しみ。

 勿論ジョージのご飯には敵わないと思うけど、ローマ帝国は結構アタリではないだろうか。


 何が出てくるかな? と楽しみにしていたら、料理が運ばれてきた。

 魔兎のクリーム煮、フォカッチャ。


 ギルド長が言ってた魔兎のクリーム煮だよ。

 うさぎ食べるのは抵抗あるけど、あの可愛くない魔兎なら全く問題なし!


 おおー甲田さんは魔獣不味いって言ってたけど、意外といけるよ美味しいよ。

 やっぱりハーブの使い方が上手いのかな。肉は少しクセがあるけど、ハーブが臭みを消してくれている。


 フォカッチャも上にもオレガノが載っていて美味しい。


 異世界モノあるあるだと、固い黒パンと思ってたのに、柔らかいパンで嬉しいな。多分お国どころによるんだろうね。

 ドイツとか行くと黒パンなのかな。あっちはライ麦パンのイメージあるね。


 第7じゃドイツもローマ帝国の一部なので、いずれ行くこともあるのかもしれない。

 そのときはアルプス山脈越えが必要になるので、どうしたらいいか解らないけど。

 アルプス山脈越え、無理だな、無理無理。やっぱり一生イタリアでいいわ。


 あっと言う間にご飯を食べ切ってしまった。なんか物足りないから、部屋でデザートを食べよう。


「ごちそうさまでしたー美味しかった」


 頑張って4階まで昇る。

 開かない鍵とまた何度も格闘して、やっと開いたら真っ暗な部屋だった。


 そうだ、窓ガラスが無いんだった。


 ベッドサイドに蠟燭が置いてあるので、ここに火を灯すらしい。蠟燭の炎じゃ暗すぎるし、倒したら火事になりそうなので、魔法でライトを点けた。丸い光の玉にして天井にくっつける。

 持続していると魔力を使うので、普通は長持ちしないらしいが、私は魔力量が多いみたいなので10時間位は余裕だ。


 今日の魔法試験でも受験生たちが、途中でリタイアするから何だろうと思ってたけど、単純に受験生の魔力不足らしかった。

 あんなに大声で詠唱してたら魔力も切れるわ。


 きっと教え方が悪いんじゃないかなー。甲田先生に指導してもらってよ。エルゼダンテの森に行かされると思うけど。


 おかげで指導されすぎた私は、同年代男子にガクガク怯えられるような存在になってしまいました。


 チキショー私のモテ期返せよコラー。

 どうなの? この世界で恋愛なんて出来るの? 私。


 でも10代男子よりギルド長たちおっさんの方が喋りやすかったしなー。


 かなり年上じゃないと無理なのかもな。中の人基準で考えると、32歳以上か。

 殆ど独身者残っていないぞきっと。

 あ、それは日本も同じでした(泣)。


 起きてもいないこと考えても仕方ないので、BOXから最近のお気に入りの牧場アイスを取り出す。

 北海道は牧場が多いので、牛乳やヨーグルト、アイスも多い。

 飲食店の料理と違って、こっちは在庫が多いので食べ放題だ。どの牧場が美味しいかなと、牧場巡りをして楽しんでいる。


 さてまだ時間も早いしどうしよう。


 宿の部屋も狭いし壁も薄いので、あんまりバタバタしたことは出来ないな。やっぱり一人暮らしがいいねー。


 どっかに小屋建てられないかな。明日商業ギルドに行ったら、空地とか聞いてみようかな。

 見た目ログハウスだから、アイボリー色の町だと浮いちゃうかなぁ。小屋ってことで許して欲しい。

 でも土地借りて、空地にいきなり小屋が建ったらびっくりされるよね。プロジェクションマッピングしても、そこから私が出てきたらバレるね。町の中はやっぱり諦めかな。


「ユイ、いるー?」

 隣に聞こえたら困るので、部屋に防音の保護膜を掛けてから声を掛ける。


「なーに?」

「ねーねー転移魔法って無いの?」

「転移魔法なんて便利なものはありません」


「えー、ゲームだと割と初期に覚えるじゃん」

「それはゲームでしょ。ありません。……あー、ちょっと似ているのあった」


「どんなの?」

「帰還魔法。家に帰れる魔法。どこにいても家に帰れる」

「それすごいじゃん!」

 でも今は家無いんだった。


「帰るのは楽だけど、行きは使えないよ。あとかなり魔力使う」

「そりゃ使うよね。でも覚えたい。帰還魔法って家をどう設定するの?」

「今度調べておくよ」


 わくわくわく。

 前世で使えたら、楽だったな。


 終電まで残業しても、即家に帰ってすぐ寝れる。

 出張で遠方行っても、帰りは飛行機に乗らず帰って来れる。お土産いっぱい買っても、一瞬のことだし重くない。最高じゃないですか。


 でもそうなると、行きが面倒でならなくなるんだろうな。

 朝のラッシュは変わらないし、行きの飛行機代はかかるし。


「家が2つあったら、帰還場所2つ設定できないのかなー」


 家ならBOXに沢山入ってるぞ。他の人の家だけど。おまけに土地はないけどね。

 空き地に勝手に建てたら怒られるか。でもプロジェクションマッピングしちゃえば見付からないかも。


「出来る……かもしれない」

「え、本当?」

「調べてみるからちょっと時間ちょうだいよ」


「初めに行くのは仕方ないけど、行った町々に家を置いて行き来できるようにしたいなぁ」

「その家はどうするの? 買うのも借りるのも結構するよ。余所者には貸さないところも多いと思う」


「家じゃないとダメなの?」

「帰還場所は、壁や天井がしっかりあるような建物じゃないと設定できないんだよ。狭くてもいいけど、屋内じゃないとダメ」


「今までみたいに森の中でいいんじゃない? 保護膜とプロジェクションマッピングしといて」

「どんだけ維持費かかると思ってんの。めちゃくちゃ魔石食うよ」


「さっきの箱の魔石なら、どの位持つ?」

「あんなクズ魔石じゃ一日で無くなるよ」


「そうなんだー、じゃあ大きな魔石集めに行かないとやっぱりダメだね」

「そうだよ。カノンのタスクなんだから頑張って」


「魔熊より大きい魔獣って何?」

「地球の一番大きい動物はシロナガスクジラだから、魔獣化してくれていたら魔石はかなり大きい」

「いやいや動物愛護団体が黙ってないでしょう。それに海の中で魔獣狩りしなきゃならん」


「海ねー海の魔獣気になるねー。カノン水泳部で良かったね」

「プールと海は違うよ。海なんて溺れるからね」


「頑張ってー」

「他人事―」

「いい魔法ないか調べておくよー」

「ありがとー」

「んじゃ、おやすみー」

「おやすみー」


連投が続いておりましたが、10万文字を超えたので、1時間ごとの更新はこれにて終了します。

もし興味を持って頂けたらブックマークして、これからも足を運んで頂けると嬉しいです。


今後は(7:10、12:10、19:10)の3回更新予定です。


ということで次の更新は、本日の19:10です。


まだはじまりの町でギルド登録しただけなので、序盤も序盤です。

手元ストックが250万文字あるので、まだまだ更新続きますよー。

また来てね(*˘︶˘*)

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