31*冒険者ランクは無いんだって
魔法ギルドのギルド長は、いかつい大きなおじさんだった。
冒険者ギルドの方が似合いそうだと思っていたのに、人は見掛けによらない。そうすると、冒険者ギルドのギルド長はたおやかな女性だったりするかも。
縮尺が解りづらい地図(どんどん色んな要素を追加したからだけど)を見て、てくてく歩くこと10分、冒険者ギルドに辿り着いた。
魔法ギルドより少し大きな建物だ。
でもやっぱりアイボリー。この町は殆どアイボリーで出来ている。
中に入って見渡すと、魔法ギルドよりガタイの大きな人が多い。やっぱり力仕事や傭兵など筋肉が必要だよね。
魔法使いは筋肉関係なかったもんな。持久力と肺活量は必要だけどね。
金属鎧とか着ているのかと思ったけど、そんな人はいなかった。みんな動きやすい格好をしている。
カウンターがあったので近付く。どの窓口が何なのだろう。
「いらっしゃいませ」
左側から声がしたので、微笑んでいる女性の元に行った。
「どうされました?」
「初めてなので登録したいのですが。あと、森で倒した魔獣があって、こちらで買い取りしてもらえますか?」
「お嬢さんが倒したんですか?」
「あ、はい」
「買取は出来ますよ。先に冒険者登録を済ませてしまいましょう。その方が、買取金額も上がります」
「冒険者かそうじゃないかで変わるんですね」
「それもありますし、討伐報酬が出る場合もあります」
「なるほど。この用紙に記入すればいいですか?」
「はい、必要事項をご記入ください」
紙質は門より上、魔法より下だ。やっぱり魔法ギルドは金持ってるな。
年会費だろう。一年に30万デナリって高すぎない? 毎年取られるってことでしょう? やっぱり登録するのやめようかな。
冒険者ギルドのペンは魔法ギルドより書きやすかった。やっぱりゴテゴテ彫刻していない方がいいよ。
記入内容は先程と殆ど変わらない。魔法使いに〇を付ける。
冒険者ギルドは職業仲介所みたいなところで、依頼人と個人との契約で仕事を行う。冒険者ギルドは地方自治体が運営している。森などの魔獣討伐は領主や州から依頼になるので、報酬はそこから支払われる。
魔法ギルドと異なり、級の規定は無かった。てっきりF級から始まって、S級まであるものだと思っていたのに、何だか残念。
仕事の内容が色々ありすぎるので、一つの基準でランク分けすることは出来ないそうだ。
確かに日本だって、国会議員とカフェ店員と個人事業主を全部まとめてランク付けしますって言われても無理だよね。
あと、何かあってもギルドには責任は無いということを何度も言われた。そりゃね、言っておかないと訴えられるもんね。
「魔法使いだと、登録にあたり魔法の試験があります」
「あ、これ魔法使いの認定書です。今日貰ったばかりなので仮ですが。これで試験免除になると聞いたんですが」
「はい、大丈夫です。上級? 上級魔法使いなんですか?! 初めて見ました。凄いですね」
「ああーなんか流れで」
「じゃあ、これで登録は完了です。こちら登録証とバッジです、バッジは見えるところに付けておいてください」
「はい、ありがとうございます。それと、冒険者ギルドのギルド長に渡してくれって頼まれました」
さっき貰った書類を、お姉さんに渡す。
ほー、魔法ギルドよりだいぶ簡単に終わった。良かった。
とにかく年会費が掛からないのが素晴らしい。
登録するなら冒険者ギルドがお勧めです。
「あと買取ですね。案内します」
買取所に行く前に、壁一面に貼られている求人票の説明を聞いた。
気になった求人があれば、求人票を持って受付に行くと、応募できるらしい。その場で受諾できるケースと、依頼者に確認してからになるケースがあるようだ。
日本のハローワークにも同じようなものがいっぱいあったよ。内容も大して変わらない感じだ。販売員募集、調理師募集、橋の作業員募集、単発の仕事、遠方からの住み込みの仕事、魔獣の討伐もある。
あれ? 異世界モノ定番のアレがないな。薬草採取しないのかな。
「薬草採取の仕事って無いんですか?」
「薬草?」
お姉さんが首を傾げる。
「薬師ギルドならあるかもしれないけど、ここではそういう仕事は聞いたことないですね」
無いんだー。薬草取りたかった訳じゃないけど、異世界モノとは結構違って寂しい。
迷子のネコ探しも無いな。
一通り見たけれど、気になる仕事はあまり無かった。
ジョージのごはんがあれば食にも困らないし、小屋を建てる場所があれば住む場所も小屋でいいし、北海道の物を売れば第7のお金も何とかなりそうだし、売れる魔獣もBOXにいっぱい入ってるし、仕事探すほど切羽詰まっていないんだよねー。
前世の私が聞いたら何て言われることやら。
「魔獣の討伐は州からの依頼なので、これは受付を通す必要は無いです。討伐したら魔獣をそのまま買取所に持って行って下さい。今後も魔獣討伐されるならアイテムバッグはお持ちですか?」
「アイテムバッグ?」
「小さい袋なんですが、見掛けの何十倍も物が入って軽いんです。魔獣は大きいから持ってくるのが大変なので、ハンターはみんな持ってますよ」
「ああ! 持ってます。名前が違うので解らなかった。それって日にち経っても腐らない奴ですか?」
「いえ、それは腐ると思いますけど?」
「それはそうですよね。多分同じものです!」
やった、私もアイテムバッグを持っていることにすれば、沢山魔獣を持って来れる。時間経過にだけ注意しておこう。
BOXの中の大量の魔獣をどうやって買取に出せばいいのか悩んでたんだ。
今持っているこの大きなバッグでも殆ど入らないしね。
若い娘が魔熊背負っているのは、さすがにあり得ないでしょ。
買取所に着いたが、並んでいる人が多い。
みんな大きいものを出すから時間がかかるようだ。
「ここでバッジを見せてお名前を言ってから魔獣を出してください。料金を計算して報酬をお支払いします。魔獣の損傷具合に依って買い取り額が前後しますので、ご了承ください。あまりに酷い状態だと買取不可の場合もありますから」
「中の魔石が欲しいんですが」
「解体作業に時間が掛かるのですぐにお渡しは出来ません。引換券を渡すので、後日取りに来て頂くことになります。ちょっと時間かかりそうですね」
「大丈夫ですよ。戻ってください」
「解りました。何か解らないことがあればいつでも聞いてください。私イレーネです」
「ありがとうございました。またよろしくお願いします」
優しいお姉さんで良かったなぁ。




