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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬
第一部

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103*知恵の輪ブーム来る?

「でも折角便利そうな物が出来たので、使わないのも勿体ないじゃないですか。国の繁栄のために、世界の文明開化のために。これは上手く使えれば、物流と通信の大いなる発展となります。各ギルドの上の人たちを集めて話し合って下さいよ」


「そのためには製作者が来て貰わないとならないな」

「いーやー。製作者は半分魔法ギルドですし。偉い人アレルギーなんですよ、私。貴族とか政治家とか関わりたくないので、魔法研究したいだけの人なんで」

 本当は魔法開発しているのも分析部だが。私はしがない現地の営業マンです。


「俺も一応貴族なんだが。貴族の末端だけどな」

「うわあ、そうなんですか? じゃあ明日から口利かないようにします」

「おい、こら。舐めてるだろう、お前」


「そういうところです。貴族に余計な口利いたら投獄されて斬首刑になっちゃうんでしょう?」

「ならんわ! どんな噂聞いて来た」


「そういう貴族もいるじゃないですか。だから出来るだけ関わりたくないんです。方針決まったら商品開発頑張りますんで」


「こんな厄介な物持ってこられた俺の立場はどうなるんだ。関係ねーぞ、俺は。ウベールの支部長呼んで頼んでみるか、本部の幹部だし侯爵家だから話早いだろう」


「えー、ウベールのギルド長ですかー、私苦手なんですよね、あの人。試験のときもいっぱい話し掛けられて困りました」


 ん? ウベールのギルド長?

「もしかしてチャラ男? 25歳位の?」


「あ、カノンさんも口説かれました? あの人3人も奥さんいるんですよ。ダメですからね」


「マジー? こないだウベールに行ったときに会って、めっちゃ馴れ馴れしくて手を離してくれなくて困ったんだけど、そういう奴だったか」


「まあ女に対してはだらしないところもあるが、あれで仕事は出来る男だから」


「えー」と、アルマさんとハモる。


「本部のギルド長の血縁だから、味方にすれば話は早いぞ。新しい物に目が無いから俺よりはずっと適任だ」


「えー」


「来月本部のお偉いさん来るから、それまでに話詰めておこう。とりあえずカノン、これ借りておいていいか」

「あー、いいですけど、今箱をここに固定してあるので、場所動かせませんよ。このまま置いといて大丈夫ですか?」


「ああ、そうか。他の場所に置いたら保管場所にならないってことか。解った、そのままでいいわ」

「いいんですか?」


「置いときゃいいんだろう? どうしてもずらしたいときはまた連絡するからお願いできるか」

「えー」


「それと、使い方の説明書みたいなの作ってくれると助かるんだが」

「はい、あります」


 取説20ページを渡す。勿論運営作だ。

 とりあえず手の内を全て明かす訳にはいかないので、魔法陣の記述とかはボカした書き方をしている。セキュリティがかかっているので、同じように作っても動作はしないだろう。


 こちらの手柄を全て横取りしようとした場合のセキュリティロックだが、私自身はそれほど利益は望まない。

 これで魔法ギルドの後ろ盾が出来るならその代金と思えば良い。でも後ろ盾は欲しいけど、ギルドに掴まるのは勘弁だ。お役所勤めなんてしたくないよ。


 しかし、実際の開発者の運営としては、タダで渡す気にはならないのだろう、その気持ちも解る。


 第7と同じく魔素のある第2にもこのアイテムバッグを売り込むらしい。

 第2には古代のアイテムバッグも存在していなかったので、運営に依る独占である。こっちより第2の方が莫大な利益を生むことだろう。

「いい?」と聞かれたが、私の物じゃないので「いんじゃないの」と答えておいた。


 元カナダの人もアイテムバッグ嬉しいだろう。どちらも文明が進むといいですね。

 向こうもカナダの島とか貰ったんだろうか。カナダはものすごい資源埋まってそうだな。

 もしそうならめっちゃ羨ましいけど、北海道でも全然使い切れないからいいや。


「じゃあ、今日は帰ります。何か決まったら教えてください」

「同席しないつもりか、カノン」

「宜しくお願いしまーす」



 ジェマを大分待たせてしまったので、早く帰ろう。勉強は進んだかな。


 ロビーに戻ると、奇妙な光景が広がっていた。

 多くの大人たちがジェマを囲んで、銀色の物を掲げている。

「うわー、全然取れない、ちっくしょー」

「早く私にも貸してー」

「ダメだー、何でジェマちゃんに外せて俺たちに出来ないんだよー」

 みんなで知恵の輪大会をやっているらしい。

 ジェマは温かい目で大人たちを見ていた。


「ジェマ、ただいま。退屈してないみたいで良かったけど、凄いことになってるね。ジェマは全部外せたの?」

「いいえ、2個だけです」

「2個でも凄いじゃん。私多分さっきのだけで終わりだと思う。じゃあ、帰ろうか」

「あーでも、みんなやりたいみたいで」


「もう一つあるから大丈夫。皆さん、それプレゼントしますので、喧嘩しないこと」

「わーい、ありがとう」


「もう一組ないの? 買って帰って子供にもやらせたい」

 職員の男性が聞いて来た。

「ああ、10個セットで2,000デナリだけど欲しい人いますか?」

 3人の手が上がった。


 後ろからギルド長が来て、

「2つくれ。俺用のと、今のギルド用のは俺が出すわ」

 ギルド長から4,000デナリ、他の3人から2,000デナリずつ貰った。

 ジェマ用の新しい分を、ジェマのアイテムバッグに仕舞った。


 思わぬところで、知恵の輪ブームになってしまった。

 これは頑張れば地元の鍛冶師でも作れそうだからいいよね。同じ太さ同じ角度で作らないとならないから、結構難しいと思うが、見たこともない素材の物よりは全然いい。


「じゃ、帰ろうね」

 ジェマを連れてギルドを出た。




 帰ったら運営からジェマ宛に仕事が来た。


 前に聞いた日本語とローマ語の翻訳アプリの試作品が出来たので、実際に使ってみてレポートをすると云う仕事だった。

 提供された商材は、DVDプレイヤーと、船舶のDVD。


 翻訳アプリのチェックにかこつけて、船の勉強させるのが目的らしいけど、仕事に飢えているジェマは嬉々として早速今晩からDVDを見始めた。


 屋台の仕事はあるもの家では仕事が殆ど無く、土曜の屋台も無くなったので、食事付きなのに給料を貰っていると云う現実にジェマが耐えられないらしい。何故そんなに仕事人間なのだろう。


 少し一緒にDVDを見ていたが、船舶免許のDVDではなく、楽しく学ぼう的な内容だったので安心する。私が最初に見せられたのは、完全に船舶免許対策用としか思えなかったからな。


 先週ボートに乗ったとき、行きは微動だにしなかったジェマだったが、帰りは教えられるうちに楽しくなっていたようで、ほんの少しだけだが一人で操縦桿も握ってみた。

 波を盛大に被ってしまったときは、普段あまり見ない満面の笑みのジェマを見ることが出来た。良い傾向だ。


 仕事はあまり熱中せずに、9時には必ず寝ることを約束させる。


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