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アイテムBOXに北海道丸ごと入っているので、異世界でも食べるものには困りません  作者: 柚木 冬
第一部

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102/119

100*魔キリン大きいわぁ

 あ、ギルド長たちが戻って来た。小走りで合流する。


「そんなに馬車が嫌いでしたか?」

「だって走った方が速い距離だったんだもん。でも途中から歩いてきましたよ。おっちゃん、さっきのどこに出せばいいの?」

「おお、じゃあ、奥に出してくれよ」


 おっちゃんについて行くと、後ろからギルド長に呼ばれた。

「終わったら部屋に来てください」


 ジェマが待ってるから早く帰りたいんだけどなー。


 買取所の脇を抜けて、奥の部屋に一緒についていく。

 うっ、血生臭い匂いがする。丁度、台の上で魔熊が捌かれていた。


「ぎゃー」

 夢に見そうだ。


「討ってきた本人が、可愛い子ぶってもダメだ」

「え、あれ私が納めた魔熊? 血生臭いのとかダメなんだよ。だからいつも血が出ないやり方してるでしょう」


「けっ、嘘つけっ」

「本当だもーん」


 魔熊の横を過ぎて、もっと奥に入っていく。

 うわぁ、魔熊に触るところだった。無理無理無理。

 毛皮着ている魔熊はいいけど、毛皮剥かれたのは無理ー。


 奥に行くと、ほぼ冷凍庫だった。寒い。


「えーこんな部屋があるんだ。氷の魔法か何かなの?」

「いや、壁に氷を沢山置いてるだけだぞ。氷屋から買っている」

「氷屋さんは、魔法使い?」

「いいや。冬に池で沢山氷を作って氷室で保存している。魔法は使っていないと思うな」


 アリッチェにはあんまり魔法使いいないんだっけ。

 日本だって、天然氷を作っている会社あるもんね。天然氷のかき氷美味しいよね。


 冬の間は森に引きこもってたから寒さを経験していないけど、この辺も結構冷えるのか。


「ここに載るかな? この台に出してくれ」

「うーん、ギリかな。出すね」

 魔キリンを出したが、やっぱり頭が台から落ちてしまった。


「めっちゃくちゃ大きいな」

「さっき見たじゃん」

「台をくっつけるから、首持ち上げてくれ」

「無理だよ、そんなの」

 一旦魔キリンを仕舞う。


「おーい、誰か来てくれ」

 おっさんが呼ぶと、若いのが2人やってきた。

「台を4つくっつけるから手伝え。2台×2台だ」


 私も手伝おうとするが邪魔になっているだけだったので、隅に移動した。

 机がくっついたので寄って行って、魔キリンを出した。今度はきちんと上に載った。


「ぎゃー!」

 若いのが叫んだので、他の人たちも寄って来て見ようとする。

 沢山来て部屋から出られなくなりそうなので、慌てて脱出した。


 おっちゃんには挨拶してないけど、どうせもう用事は無いだろう。そのまま魔熊の横を通って、ギルド長室に向かう。


 ちょっと自分が血生臭い気がしたので、浄化魔法を掛ける。


 コンコンとノックしてギルド長の部屋に入った。

「失礼しまーす」

 イレーネさんはいなかった。


「終わりましたか?」

「台に載らなかったので、4つくっつけてやっと載りました」


「ありがとう。確認できたので、依頼完了です、今、イレーネ君が報酬を持ってきます。魔キリンの代金は申し訳ありませんが、本部と確認次第で少し待ってください」


「はい。キリンは多分食べられませんよ」

 そう言うと、ギルド長は少し悲しそうな顔をした気がする。


「魔獣が沢山いたのがこの辺りですね。同じように魔獣のたまり場が無いか、討伐隊を編成する必要がありそうですね」


「一応、今回行った範囲は索敵済みですので、たまり場は無いと思います。北方面は今回通っていないので解りませんが、2ヶ月位前に歩いたところは、あれば気付いたと思うんですよね。3mもの地下に誰か人為的に埋めたとは思えないので、大昔から存在したか堆積した物と考えるのが妥当な気がします。少なくも掘り出した魔石は、ぎゅっと埋まってましたので、人が埋めたような形跡はありませんでした」


「近いうちに討伐隊を依頼したいと思います。それに参加して頂くことは出来ませんか?」


「来月の頭にアリッチェを発つので、残念ながら。それに私は集団の中で動けるハンターのタイプじゃないと思うんですよね。絶対輪を乱す動きをしてしまいます。今回も殆ど森の中を走ってましたから」


「確かに普通の人は一日でこの距離は動けませんよね」

 人間じゃないみたいなこと言われた。


「たまり場の52匹はどうやってお一人で倒したんですか?」


「52匹一度には無理なので、魔獣の足元を土と水で泥にして魔獣を沈めて動けなくしてから、一匹ずつ倒しました。1m沈めても魔キリンだけは全然沈まなかったので、土を足して固めましたけどーあはは」


 笑い話にしようとしたのに、伝わらなかった。ギルド長は真面目な顔をしてメモを取っている。


 これは困った、と思っていたら丁度イレーネさんが来た。

 今回2件の依頼分を精算してくれた。やっとお仕事完了だ。



「それとこれが手配犯の懸賞金ね」

「ん? この間貰ったよ。ヒス婆の用心棒のでしょう? ジェマを苛めてた奴の」


「それじゃない。一昨日市場で捕まえた方。4人捕まえて警備兵に突き出した分が、合計で150万デナリね。サインして」


「ああ! 一昨日のことなんてすっかり忘れてたわ。あんまりしつこいから檻に閉じ込めてた奴らか! 手配犯だったの? 150万って高額じゃない?」


「外国で殺人で手配されていて、かなり危険な奴らだったわよ。女子供掴まえては外国に奴隷として売り払っているグループらしくて、罪状が大分付いてた。掴まえてくれて助かったわ」


「うっわー、売られるところだったの、私? 全然気づかなかったよ。こわーい」


 めちゃくちゃ怖がっているのに、イレーネさんが冷めた目でこちらを見ていた。ギルド長を見たら同じ目をしていた。

 何故凶悪犯を掴まえたのに、こんな目で見られなきゃいけないんだろう。


 早く帰ってジェマに癒されたい。

 時計を見るともう18時半だった。


「ジェマがお腹を空かせてるかもしれないので、もう帰っていいですか?」

「それは早くしないと! ギルド長まだ何かありますか?」

「いや……話は終わりました。今日は大丈夫です。本部と話が出来たら、買取額も含めてまたご連絡します」


 さくっと報告して戻るつもりだったのに、やっぱり長くなってしまった。


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