第12章 7話 関係者たち
「3枚目だと。どこだ?」と依頼主がSNSコンビに聞く。
「北陸だよ」とSNSコンビ。
「みなさま大変申し訳ない。また一週間不在になります」と依頼主が頭を下げる。
「流石にこう何度も中断されては」と芸術家コンビが言う。
「それは、わかってる。しかし不測の事態で」
「私たちは、この件から降りる」そう言うと、芸術家コンビは退出してしまった。
確かに報酬は魅力的だが、途中二度の中断をされると、意欲が削がれるのも事実。
だがあの2人はSNSコンビに敵わないと思ったのが本音だろう。
「私たちは別にかまわないです。その間、また別の事件を捜査しますから」とSNSコンビ。
「我々は意地でも解決してみせる。時代に取り残されたとは思いたくない」とオールドスタイルコンビ。
「僕たちも残りますよ。この事件の真相を知りたい。そして出来れば解決したいしね」と僕が言う。
泉も頷いてくれた。
「みなさん、ありがとう。ではさっそく、3枚目を確かめに行ってくる」と依頼主。
今度は出発前に美術館と鑑定士に話をしてから出発したようだ。
一週間後、再び依頼主の元へ集まった。
「鑑定の結果、またもや本物と認定された」と依頼主。
「同じ物が3枚あるとは」とオールドスタイルコンビの丸尾さんが言う。
すべての来歴が完全に正しいという結果だ。
全員が無言になる。
「そこで関係者にあたってくれないだろうか」と依頼主。
「了解しました」とオールドスタイルコンビ。
「わかりました」と僕と泉も言う。
「私たちは自分たちのやりかたでやりますので」とSNSコンビ。
こうして再び捜査が再開したのである。
僕たちはまず画家の子孫に会いに行った。
東京の郊外にいるというのを調べた。
住所を調べ、子孫を訪ねた。
その家には1人の老人が住んでいた。
「こんにちは。僕たちは黄昏ゆく牧場について調査をしています。お話を聞かせて下さい」
「黄昏ゆく牧場か」
「黄昏ゆく牧場が3枚出てきました。どういうことでしょうか?」
「さあねえ。私にはわからない。メモなら残っておるけどな」
「そのメモ、ぜひ見せてください」と僕がお願いをする。
老人がメモを見せてくれた。
そこには「黄昏ゆく牧場を完成させた」と書かれていた。
他に書いてあることを見る。
そしてまた、「黄昏ゆく牧場を完成させた」。
さらに「黄昏ゆく牧場を完成させた」と書かれていた。
しかし3か所に書かれていた完成したの後には、日付がみな違って書かれていた。
もしこのメモ通りなら、黄昏ゆく牧場は3枚描かれたことになる。
次は弟子に会いに行った。
しかし弟子はすでに亡くなっていた。
家族に来訪目的を話すと、日記ならあるとのこと。
日記を読んでいくと、黄昏ゆく牧場に関することも書いてあった。
制作に取り掛かった話や、描きながらの想いや、舞台選びについてなど。
そして最後にこう書かれていた。
先生は3枚同時に描いていたと。
次はオークション会社に行った。
過去の落札履歴に、同じタイトルが別の年に複数落札されていた。
価格も購入者も違う。
聞いてみると「別の作品として扱っていました」
「おかしいと思わなかったんですか?」と僕が聞くと、
「思いませんでした」との返事だった。
最後に保険会社へ。
保険契約も査定額も正常だった。
しかし同じ作品を三件、別々に契約していた。
このことを聞くと、「記録上は別物です」
これで一つの事実が確定した。
黄昏ゆく牧場は3つある。




