第12章 5話 小さな美術館
そこにいた誰もが驚いた。
僕を含めた6人の探偵はもちろん、依頼主の元探偵も。
「どこにあるんだ?」と依頼主が聞く。
「九州のすっごく小さな美術館です」と明るい声でいうSNSコンビの守田さんが言った。
そして「これお土産」と言いながらカステラを配っていく。
「場所を教えてくれ」と依頼主。
SNSコンビが場所を教えると「確かめてくる。明日には戻る」と依頼主は言った。
その場で一旦解散となった。
僕はSNSコンビを見る。
2人はファッションやアニメの話をしている。
10万人のフォロワーの力はこんなにもすごいのかと思い知らされた。
事件が起きれば、フォロワーに聞く。
ただの10万人ではなく、こういう事件を解くのに興味がある人たちが多いと思われる。
その人たちが調べて教えてくれる。
まさに探偵という概念そのものを壊すやり方だ。
オールドスタイルコンビの丸尾さんは頭を抱えている。
芸術家コンビは2人とも不満そうな顔をしていた。
泉も流石にショックを受けたようだ。
カステラを手に持ったまま呆然としている。
黄昏ゆく牧場がもう1枚ある。
どちらかが偽物なんだろう。
もし、こちらで展示されてる"戻って来た"黄昏ゆく牧場が偽物だったとしたら。
事件はまるごとひっくり返る。
◆◆◆
私は教えられた小さな美術館を目指す。
飛行機に乗り、電車を乗り継ぎ目的の場所へ。
その日にはさすがにに間に合わないので、ホテルで休み、朝の開館とともに美術館へ訪れた。
館内に入ると、私は驚きのあまり体が動かなかった。
少し経ってからようやく、絵に近づく。
飾られている絵に名前は書かれていない。
しかし間違いなく黄昏ゆく牧場だ。
百年前のひび割れ。
経年変化。
古いキャンバス。
複製ではない。
これも間違いなく、本物の黄昏ゆく牧場だった。




