第12章 3話 20年
ネットで調べても、黄昏ゆく牧場に関する情報は盗難されて戻って来た概要のみだった。
詳細な記事は出てこない。
20年前。
今とはネット環境が大きく違う。
20年前のネット事情を見ると、個人日記サイトと巨大掲示板の2つが非常に目立つ。
個人日記サイトは細かく見ていくしかない。
問題は巨大掲示板の方だ。
どんぴしゃで当時のニュー速板などを見られればいいのだが……
後はディープなコメントの多い専門板。
できれば当時の美術板の書き込みが見たい。
しかしなにせ20年前。
いまから漁っても出てくるかどうか。
泉にそのことを話すが、彼女も同じことを思っていたのか、「そうだね」と気の無い返事。
そこへ、元探偵の依頼主が。
「最近の捜査はネットが中心なのかな。あちこち回って集めるのはもう古いのかな」
「そういうのは人それぞれだと思います。僕らは効率重視といいたいですけど、先ほど打ちのめされたので」と僕が言う。
「Sランクにか」
「ちょっと世界観が変わる衝撃的な捜査方法でした。あれを見せられると」
「でも君たちも注目の探偵なんだろ?私はこの事件に失敗をした。新しい切り口から答えが出るかもしれないな。まだここにしばらくいてもいい。邪魔して悪かった」そういうと依頼主は部屋を出ていった。
「ようやくしっかりとした記事を見つけた」と泉が言う。
・夜間侵入なし
・密室
・防犯装置正常
・警備員異常なし
・朝には絵だけ消えていた
書かれていたのはこういう感じだった。
そして時効成立、迷宮入りでしめられていた。
「なんだこれ、盗難方法が書かれていないじゃないか」と僕が言う。
「そうね。当時何もわからなかったってことでしょ」と泉が言う。
「これは相当難解な事件だね」
「それで、これからどうする?」
「う~ん。もう少し情報が欲しい。当時の個人日記サイトを漁るしかないんじゃないか。巨大掲示板の方は難しそうだから」
「わかった」
そう言って2人で再びネットを調べ始めた。
古いページまでさかのぼって見ていくが、欲しい情報が出てこない。
招待制サイトも見れないのも辛い。
泉が再び個人日記サイトで、事件を解説している人を発見した。
この人は、黄昏ゆく牧場の事件を追ってくれていた。
当時の事件概要は先ほどみた記事とかわらない。
しかし事件のことが出るたびに記事を載せてくれている(当然リンク切れだが)。
泉が首を傾げる。
「あれ?展示位置や盗難時刻がさっきの記事と違うよ」
「本当だ。さっきと違う」と僕は思った。
どういうことだ。
だって掲載された記事なんだろ?
何もかもが不思議なことばかりだ。
泉と目が合うと、お互いため息をついた。
そして他の3組は今頃どうしてるんだろうか。




