第10章 3話 次の土地
「茶碗の売買記録が無いのですが」と僕が言う。
「それなら、店のどこかに残っているのかな」と娘が言う。
「どう見ても無いでしょう~↑」とガラガラの店内を見て言う宝田さん。
「どうしましょう」と心配そうな依頼主。
「分担して探しましょう」と僕が言う。
「誰がどこ~↑」と志木さん。
「泉は、宅急便の送り状の控えをチェック。志木さんは、帳簿の再チェック。僕が見落としたのかもしれない。宝田さんは、一応店内を探して下さい。僕は娘さんと雑務のノートを見ます」
4人が分担して探していく。
最初に宝田さんが「やっぱり、店内には無いわ~↑」
「帳簿にもなし~↑」と志木さん。
泉も「送り状にもないよ」と言う。
僕は雑務ノートの端に、茶碗。50万円。金沢。とだけ書かれたメモを見つけた。
「金沢の人へ売ったようですね」と僕が言う。
「なんで帳簿からもれたんだろう」と娘さん。
「金沢に住む尾関さんですね。収集家です」と依頼主。
そこで5人で名古屋から金沢に向かった。
金沢に着くとさっそく収集家の家に向かう。
ドアのチャイムを鳴らすと男の人が出てきた。
「こんばんは尾関さんですよね」と僕が聞く。
「そうですが、あなたたちは?」
依頼主が代わって「あれ?あなたは息子さんですか?お父様は?」
「父は去年亡くなりました」
「そうですか。実は名古屋の古美術商から茶碗を買ったとわかったので、お願いに来たのですが」
「茶碗ですか?知りませんが」と息子さん。
「でも名古屋では確かに」と僕が言う。
「ちょっと待ってて下さい」と家の奥に行ってしまう。
5分後あるノートを持って戻ってきた。
「遺品目録です。やっぱり載っていません」と息子さん。
「見てもよろしいでしょうか」と僕が聞く。
「どうぞ」
「あのお父様の仏壇に手を合わせに行ってもよろしいでしょうか?」と依頼主。
「どうぞ」と言って依頼主を案内する。
「あっ」と声が聞こえた。
その後謝る声も。
依頼主が戻って来たので、なにかあったのかと聞くと、「仏壇の横にお茶会らしき写真があって、そこに茶碗が写っていました」
「それでは確かにここにあったということですか」と僕が聞くと、
「そういうことになりますね」と依頼主。
息子さんも写真に写っていたため、その茶碗が家にあったことを認めた。
では何故遺品目録に載っていないのだろうか。
僕は泉と、ミュージカルコンビを見る。
みんな「分からない」という顔をした。
そして夜も遅いので一旦ホテルに向かう。
そこで各自別れて部屋を取った。
いつものように泉は一人部屋を選び、僕は依頼主と同室になった。
僕と依頼主。
ミュージカルコンビ。
泉の1人部屋に。
僕は依頼主と、何故遺品目録に載っていないか話し合ったが答えは出なかった。




