第10章 2話 名古屋
依頼主がやってきた。
「お待たせしました。私は鑑定士をしております。最近新しい機材を手に入れました。それは鑑定するにあたって、さらに精度を上げる品物です」ここで依頼人が僕たちを見る。
そして「スタッフと話をしていて、ある昔の鑑定が気になりました。1度だけ鑑定に迷ったことがあるのです。それほど高額な品ではなかったため、精査が甘くなってしまったのかもしれません」と言う。
僕らを見て「結論を言うと、誤鑑定をしてしまったのです。そこでその茶碗なのですが、出来れば私が買い戻すか理由を言って納得してもらうか、二度と本物として流通しないようにしたいのです。今どこにあるかわかりません。どうか一緒に探しだして下さい」そう言うと依頼主は頭を下げる。
「でも、それを持ってきた人ははっきりしているんでしょ?ならば電話なり、直接行くなりで済むのでは~↑」とミュージカルコンビの志木と言う人。
「すでに行いました。その人から別の人に移っています。そしてさらに別の人に」
「それは困りましたね~↑」とミュージカルコンビの宝田さん。
「どこまで判明しているんですか?」と僕が聞く。
「最初持ってきたのは、京都の骨董店です。なんでも知り合いの蔵の箱の中から見つかったということで。その後大阪の収集家に渡り、名古屋の古美術商へ。ここまでです」
「名古屋の古美術商には連絡をしたのですよね~↑」と志木さん
「はい。それが数年前に閉店してしまって、その人と連絡がとれないんです」
「では、どうします~↑」と宝田さん。
「名古屋に行ってみようと思います。みなさんもよろしいですか?」
僕たち4人は頷いた。
その日のうちに新幹線で名古屋に向かった。
名古屋に着くと古美術商のところへ向かう。
ここは店も経営していたが閉店してしまっている。
「さてどうしますか」と依頼主が僕たちを見る。
「聞き込みですね~↑」と志木さんが踊りながら言う。
依頼主には店の前で待っていてもらい、4人で手分けして聞き込みを始めた。
僕は向かいの金物屋に入った。
「すいません。向かいのお店のこと聞きたいのですが」と僕が言う。
「なんだい?」と店主が言う。
「閉店されてるようですが、住まいか行方を知っていますか?」
「向かいの人なら2年前に亡くなったよ。だから閉店。娘がいるけど、それ以上は知らない」
僕は礼を言って店を出た。
依頼主の元へ行き報告をする。
志木さんと宝田さんも戻って来て報告。
三人とも「店主は亡くなり、娘がいる」という情報しか得られなかった。
遅れて泉が戻ってきた。
娘の家まで聞き出している。
みんなで娘の家に向かった。
玄関のチャイムを鳴らす。
娘と思われる人が顔を出した。
「突然すいません。僕たちは東京からお父様を訪ねてきたのですが。商品のことを聞きたいのですが」と僕が言う。
娘が怪訝な目で僕たちを見る。
「あの。決して怪しいものではありま……」と僕が言いかけたところで娘が僕の後ろを指さす。
ミュージカルコンビが道端で踊って歌っていた。
何故か道行く人から拍手が起きている。
「あれは……無視してください。以前、大阪の収集家から買われた茶碗を探しています」と僕が言う。
「茶碗ですか」と娘。
「こういうものです」と依頼主が画像を出す。
「う~ん。わからないですね。なにせ大量の物がありましたので」
「ありました?」と泉。
「ほとんど売って処分してしまったので」
「帳簿はありますか?」と僕が聞く。
「店に行けば。今から行きますか?」
「お願いします」と僕と泉と依頼主が頭を下げる。
「では行きましょう」と店に向かった。
ミュージカルコンビも加わりみんなで店に入った。
娘が帳簿を渡してくれたので、僕は帳簿をめくっていく。
しかし茶碗の売買記録だけが無かった。




