第9章 5話 "お"の真相
イタリアンコンビとなぞなぞコンビは金庫の近くで待機している。
犯人を待っているのだ。
一方僕たちは別の場所で待機している。
薄暗くなってくると、僕たちのいる部屋に人が現れた。
手に持っている懐中電灯で部屋の中を照らす。
目的の場所に着くと、その物を手に取った。
泉が部屋の明かりをつける。
家庭教師が1冊の本を手に取っていた。
「犯人はあなたしかいないとわかってたんですけどね」と僕が言う。
「どうして?」
「だって絵葉書はあちこちから送られて来たじゃないですか。住み込みの人が千葉や埼玉だの決まった日に毎週行ける訳がない。投函日は同じなのだから。つまり通いで来ている人。あなたか料理人だ」と僕が言う。
「ではなんで私なの?」と家庭教師は言う。
「だって料理人は足が悪いんだもの」
「でもこれは借りに来ただけです」
「そんな訳あるかい。文豪Oのオリジナル短編だよ。今日の日に"お"で始まるもの。そしてこれが本命だったんですよね」
家庭教師は観念した。
泉が依頼主を呼んできた。
依頼主にこれまでのことを話す。
「どうしてその本を」と依頼主。
「Oは私の祖父だから。一族の物を取り返しにきただけ」と家庭教師
「なんで絵葉書を送ったんだ?」と依頼主が問い詰める。
「わたしなりのフェアな予告」
それだけ言うと膝をついて崩れ落ちた。
「片山碧と泉、盗難事件の依頼完了しました」と連絡を入れた。
「オパールじゃないじゃん」とイタリアンコンビ。
「そうです。家宝みたいな言い方に引っかかってしまいました。こんなの出来の悪い問題です」となぞなぞコンビ。
「お嬢さん。今度ローマ式のカルボナーラ食べに行こう。生クリームとか入っていない本場のをね」とイタリアンコンビ老馬さん。
「ごめんなさい。私、生クリームが入っている方が好きなの」と泉。
「あちゃーふられてやんの。まあ気が向いたら本場のティラミス食べに行こう。皿に乗っていて大きいんだよ」とイタリアンコンビの美羅野さん。
「ごめんなさい。私、パンナコッタの方が好きで」
イタリアンコンビは玉砕して、トボトボと帰って行った。
「ジャジャン!では問題!くりはくりでも、さよならする時に出すくりはな~んだ?チッチッチッチ、ブーブー時間切れ。答えはおみおくりなんてね」となぞなぞコンビ。
なぞなぞコンビも帰って行った。
「君たちありがとう」と依頼主。
「家庭教師の人はどうするんですか?」と泉が聞く。
「暇をだした。文豪Oのオリジナル短編を持たせてな」と依頼主。
「ええ~。なんでですか」と僕が聞く。
「彼女は息子の為に色々頑張って来てくれた。そして盗んだものも返してくれた。もしも私が没落して、息子が私の物を取り返そうと努力をしてくれると思ったらね。まあ盗みはいけないことだけどね」
「それで息子さんには?」と僕が聞く。
「言っていない。でもいずれ知るだろう。人の物を盗むとこうなる。彼女の最後の教えをどう感じるだろうね」
そう言って依頼主は息子の部屋の方を見つめていた。




