第9章 4話 リベンジ
完全にやられた。
なんでエメラルドが思いつかなかったんだろう。
探偵6人は見当違いな推理をして、しかもまんまと盗まれるという大失態をしてしまった。
僕と泉も、ここ最近成功ばかりだったので、調子に乗っていたのかもしれない。
依頼主の妻が落ち込んでいるのを見ると心が痛む。
「来週、もう1度チャンスを下さい」と僕が言う。
「君は来週もあると思うのかい?」と依頼主。
「まだ"お"が残っていますからね。どこまでやるかはわかりませんが、"え"で終わるとは思いません」
「"お"で始まる物で、エメラルドの指輪より高価なものってあるんですか?」とイタリアンコンビ。
依頼主は「ある」とだけ言った。
「それは?」と泉が聞く。
「オパールのネックレス」と依頼主。
「エメラルドの指輪よりも?」とイタリアンコンビが聞く。
「ブラックオパールの大きいものだからね。エメラルドの指輪の比ではないよ」
「金庫に入れましょう」と僕が言う。
「すでに入れてある。あれは私でなければ開けられない。だから大丈夫だ」
「なら安心ですね」と僕が言う。
「それよりも、犯人の目星はついているのかい?」
僕らみんな目を伏せた。
「来週までに頑張ります」と僕はそれだけを言った。
家に戻ると、泉と話をする。
「犯人は誰だと思う?」
「あの家には、依頼主・妻・息子・男女使用人・家庭教師・料理人か」
「そうだね。依頼主は除外してもいいのでは?」と僕が言うと、
「一応。自作自演の可能性もあるから」
「では候補は7人か」
「さてここからどう絞る?」
「泉は7人っていうけど、僕は候補は1人だと思っている」
「へえ。理由は?」
翌週、3組の探偵は依頼主の屋敷に戻ってきた。
「ボンジョルノ!事件が解決したらアクアパッツァを僕たちと食べよう」とイタリアンコンビが泉に向かって言っている。
「ジャジャン!では問題!指輪を2つ付けた人が出かけていきました。何しに行った?チッチッチッチ、ブーブー時間切れ。答えは指輪2つだからツーリングなんてね」となぞなぞコンビ。
しばらくは各自で捜査をした。
僕は"お"で始まる高価そうなものを聞いてまわった。
男性使用人は「オメガの時計」
女性使用人は「オートマ車」
息子は「オズの魔法使いの海外本」
男性使用人に「誰かオメガの時計持っているのか」と聞くと「誰も持っていません」と言った。
女性使用人に「この家の車はオートマ車か」と聞くと「マニュアル車」だと言った。
息子に「オズの魔法使いの海外本」ってこの家にあるのと聞くと書庫にあるよと言ったので、見に行くことになった。
たしかに海外本だ。
しかし初版本ではなさそうだ。
その時僕と泉はある本を見つけた。
そして2人で頷きあう。
そこへ男性使用人が、依頼主へ手紙の束を持ってきた。
依頼主は真っ先に絵葉書を探して、みんなに見せる。
「大宮からだ」
これで"お"で始まるものが標的なのが確定した。




