第9章 1話 消印
東京都下。
ある富豪の屋敷にて。
「旦那様、本日のお手紙です」と男性の使用人が手紙の束を渡す。
基本的には仕事関係が多い。
中には大きめの書類と思われるものもある。
「うん?これはなんだ?」と主人は眉をひそめる。
なんの変哲もない絵葉書である。
差出人は書かれていない。
宛名には、この屋敷の住所と主人である私の名前しか書かれていない。
消印は昭島になっている。
「いたずらかな」と思った。
翌朝、妻が女性使用人に文句を言っている声が聞こえた。
「どうした?」と私が聞くと、
「アイシャドウが無いの」という。
「どこかに置き忘れでもしているんだろう」
「そんなはずはないわ。昨日までここにあったんですから」
妻はずっと文句を言っている。
仕方がないので女性使用人にアイシャドウを買ってくるよう頼んだ。
一週間後、男性使用人が手紙の束を持ってきた。
そして見てみると、また絵葉書がある。
前と一緒で住所と名前だけ書かれている。
ただ消印は板橋に変わっていた。
翌朝、また妻が女性使用人に文句を言っている。
「どうしたんだ?」と聞くと、
「イヤリングが見当たらないの」と妻が言う。
「たくさんあるんだから他のをつければいいじゃないか」と私が言う。
「あれお気に入りなのよ」と妻。
なんとかご機嫌をなだめる。
さらに一週間後、男性使用人が手紙を持ってくる。
まさかと思いながら手紙を見ていくと、やはり絵葉書が入っていた。
消印は浦安である。
翌朝私は起床すると身だしなみを整えた。
服を着替え、朝食に向かう準備をする。
腕時計を着けようとするが、どこにも見当たらない。
男性使用人を呼んで聞いてみるが、自分は知らないと言う。
ここで私は気づいた。
絵葉書が来ると物が無くなる。
妻を呼んで以前無くなったものを聞く。
アイシャドウとイヤリングという。
昭島の消印の絵葉書の後はアイシャドウ。
板橋の消印の後はイヤリング。
浦安の消印の後は腕時計。
あ・い・うという順番だ。
となると来週は"え"の番なのだろうか。
私は探偵俱楽部に依頼を出した。
◆◆◆
「しーすーうめえ」と僕が言う。
ただいま昼食中。
僕は寿司を、泉はキッシュロレーヌを食べている。
最近依頼を達成し続けてるので、食事が豪華なのだ。
「日本人は寿司でしょ」と僕が言う。
「せっかくなら世界中の料理を食べたいじゃない」と泉。
そして食後に抹茶とダージリンのファーストフラッシュを飲んだ。
「夜は何食べようかな」と僕が言う。
「でもこのペースでいくとお金なくなるわよ」
「やだやだ。ごはんにふりかけだけの生活に戻りたくない」
「じゃあ仕事探そうか」
「そうだね」
そういって2人で探偵俱楽部の依頼を見ていく。
「楽なのないかな」と僕が言う。
「そんなの探偵に依頼しないでしょ」
「そりゃそうか。じゃあ近場」
「ここ近いんじゃない」
依頼内容 絵葉書がくると、家の中から物が無くなる 犯人の特定
報奨金 成功報酬20万円
場所 東京都○○
注意事項 絵葉書は1週間に1度来ています
「うん近いね。これにしようか」と僕が言う。
「依頼内容が興味あるわ。絵葉書とどういう関係なのかしら。気になる」と泉。
探偵倶楽部に依頼を申し込んだ。
少し経って受理され、時間と場所が知らされた。




