第8章 1話 結婚式
30年前、北大路家の屋敷にて。
老舗企業「北大路家」と政治家一族「西連寺家」。
使用人の前田(当時25歳)は、屋敷の廊下で現当主たちの密談を耳にする。
「あの子のことは誰にも話すな」
「血筋だけは守れ」
「戸籍は処理済みだ」
その直後、襖が開く音がして前田は逃げる。
会話は最後まで聞けなかった。
彼は確信する。
「子どもの取り違えがあった。」
「北大路家と西連寺家は血がつながってしまった。」
それ以来、秘密を胸に抱え続ける。
◆◆◆
「この人かわいいな。結婚したい。あ、この人もかわいい。結婚したい」と僕が言う。
「あんたねえ」と泉が言う。
「何か?」
「何かじゃないわよ。見境ないで、結婚結婚って」
「人間そんなものでしょ。あっこのアニメのヒロインと結婚したい」
「二次元相手にまで思うんかい。なら好きにしなさい」
「泉は結婚したくないの」
「まだ早いわ」
「でも実際、結婚ってどんなものなんだろうね」
「いいもんじゃないよ」
「夢がないなあ」
「あんたは夢見すぎ」
「じゃあ結婚の依頼受けてみない?あればだけど」
「そう都合よくはないわよ」
「あった」
「あるんかい」
依頼内容 結婚式場での異変(妨害かもと思われる) 犯人の特定
報奨金 捜査をしていただいた探偵には3万円支給 成功報酬は30万円
場所 東京都○○の結婚式場 新郎は東京都○○ 新婦は東京都○○
注意事項 一週間後の結婚式まで ランクB以上 秘密厳守
「穏やかじゃない内容だね」と僕が言う。
「人の幸せになんていうことを」と泉。
「あれ?さっき結婚なんていいもんじゃないって言ってたのに」
「これは、どちらかにふられた人の逆恨みだわ。きっと」
「じゃあ受ける?」
「もちろん」
探偵倶楽部へ申し込みをした。
しばらくして、待ち合わせ場所と時間の連絡が来た。
「正義の味方、泉が悪を成敗してあげる!」
「ボコボコにしない程度にね」と僕は言った。
◆◆◆
「誰にも言えない」
「もし本当に兄妹なら……」
――30年後。
北大路家 × 西連寺家の婚約成立。
「とうとうこの日が来てしまった」
「この結婚は成立させるわけにはいかない」
「絶対に阻止する」




