第7章 3話 山
今度は泉と一緒に資料集めをすることにした。
「泉、古い地図を探してくれ。道東の海沿いのだ」と僕が言う。
「わかった」と泉が言う。
古地図を集める。
候補の山はすべて昔の海岸測量区域だった。
「測量ってなんだ?」と僕が聞く。
「あんたそんなことも知らないの?ざっくりいうと、土地や地形の形状を記録していく作業」と泉が言う。
「ふうん。山とどう関係があるんだ?」
「私が知るわけないでしょ」
僕は古地図のコピーが欲しいと思い、念のため職員に聞いてみると「コピーは劣化防止で禁止されています」とのこと。
「ですよねえ」と僕が言うと、
「コピーはできませんが、デジタル画像ならご用意できます」と職員。
そこでデジタル画像をたくさんもらった。
すると、泉がやってきて、「新しいの見つけた」
「何を?」
「人知を超えた宝は、ロシア軍の財宝だ。だって」と泉。
「ほんとかなあ」
「お宝かもだよ」
「どうだろうな。デマっぽいけど」と僕が言う。
次に北海道開拓以前の測量という資料を見つける。
測量隊は海岸、地形、街道、河川、山まで記録していた。
それらの資料ももらった。
「じゃあ道東に行こうか」と僕が言う。
「道東のどこ?根室?釧路?網走?」と泉が聞く。
まだ山は絞れていない。
でも山が多いのは網走だ。
「網走に行こう」と僕が言う。
こうしてようやく僕たちも出発をした。
移動中、ネットでアイヌ語の地名を見てみた。
現在の山名と江戸時代の山名が一致しない。
さらに一つだけ名前が意図的に変えられた山がある。
めちゃくちゃ怪しい。
たぶんこの山だと思った。
その山は網走から近かった。
網走を選んでおいて良かったと思い、あとは着くまで寝ることにした。
網走に着くと宿を取った。
その宿の付近に見慣れた人たちがいた。
女王様と下僕コンビだ。
女王様が指示を出している。
男がダッシュで走って行った。
僕らを見つけると、僕の方へやってきた。
「あなたには素養がありそうね」
「何を言っているんですか?」と僕が言う。
「これ見てどう思う?」とハイヒールをみせる。
それはかかと部分が尖ったタイプのハイヒールだった。
僕は思わず見入ってしまった。
そしてなぜか口が勝手に「踏まれたい」と言ってしまった。
「やはり、思った通りね。踏んで欲しかったら、今持ってる情報をよこしなさい」
そこへ泉が割って入る。
「何言ってんのこの変態」と僕を責める。
僕は我にかえり、「情報は渡せません」とはっきり断った。
「ちっ。踏まれたくなったらいつでも来なさい」そう言うと、女王様は去って行った。
「あんたがこんな変態だったとは」と泉。
「違うんだ。これは」と言い訳をする。
そしてもう時間が遅いのでこのまま宿泊をすることに。
明日は朝から出発だ。




