第6章 7話 碧のひらめき
夕食は探偵6人で食べることになった。
「しかし1日中お酒飲んでるんですね2人とも」と僕はアル中コンビに言う。
「アルコール一桁は水と変わらないよ」と酒井さん。
「お金がよく持ちますね」と泉が言う。
「この事件を解決すればいいのさ」と酒田さん。
そんな話をしながら食事は終わった。
「じゃ、今日はこの辺で自由行動だな」と芸人コンビの笑二。
「自由行動って言うと売れてない感じするからやめて」と芸川。
「じゃあ解散で」
「それ、もっとダメやん」
「じゃあ引退で」
「もう食後、関係無くなってるやん」
「「しっつれいしやした~」」
そう言うと2人は、泉を見る。
「う~ん今まででは1番いいけど、転職を薦めます」と泉。
2人は涙を流した。
翌日朝食の席で、息子の大輔さんがやってきた。
借金の完済証明書と仕事による振り込みの通帳を持って。
「どうです。言った通り、仕事がうまくいったので借金は払い終わりました」と大輔さん。
「おめでとうございます」と僕が言う。
「これで僕への疑いが晴れましたね」
「まあそうですね」
大輔さんは帰って行った。
でも腕時計盗難の話は別。
今のところ全員が容疑者と言っても構わない。
泉が『今日はどうする?』と聞いてきた。
「ちょっと部屋で考えを整理したい」と僕が言う。
「じゃあ私も」と泉。
僕は改めて盗まれたものを考えた。
財布、ライター、カフス、万年筆、ネクタイピン、腕時計。
どれも男性が普段身につける物ばかりだ。
「ねえ、これってさ、女性から男性に贈るものって感じがしない?」と僕が言う。
「そう言われるとそうかもね」と泉。
もしかすると犯人は……
◆◆◆
20年前、奥様の奈穂さんは児童養護施設への寄付を始めた。
夫は「寄付とは愚か者のやること」という考えの持ち主だった。
だから秘密だった。
最近、施設は閉鎖寸前。
必要な寄付額は高額。
奈穂さんは、夫へ贈った品を売ろうと考える。
しかし売る決心ができなかった。
「私が贈った物だからこそ、最後まで手放せなかった。」
迷い続けるうちに盗難事件になってしまった。
「このまま売ってそのお金で寄付をしようか。それとも夫に返すべきか……」
そうこう考えているうちに、机に夫の腕時計があった。
また手を出してしまった。
そしてその日は1日中後悔。
私は何をやっているんだろう。
どうすればいいんだろうか。
家族とはいえ、寄付の為に犯罪を。
こんなことをして子供たちは喜ぶのだろうか。
それとも、もはやなりふり構っていられないのだろうか。




