第1章 3話 密室
僕たちは事務所に向かった。
事務の人に、最後に鍵を借りたのはいつで、誰なのかを聞いた。
「最後に借りたのは、大崎という営業部のものです。一週間前ですね。その時は専務も一緒に同行しています」
先ほど来た時、専務以上の許可がないと渡せないと言われた。
そしてその時は専務が同行している。
盗む機会は厳しいのではと思った。
「遅い」と鹿撃ち帽を被った人が言う。
「僕たちはとっくにそのことを聞いている」とステッキを持った人。
推理小説オタクコンビがいつの間にかこちらに来ていた。
「しかも専務は保管室で、ずっと大崎君を監視していたそうだよ」鹿撃ち帽を被った人が言う。
たしかにそれでは犯行は無理だ。
とっくに聞いていた、だと?この人たち、ただの色物ではないのかと僕は思った。
推理小説オタクコンビは、スペアキーを作った形跡がないか。無くしたことはないか。長時間借りた人はいないかを聞いていた。
流石Aランク。
僕たちのはるか先を行っている。
だが僕たちも負けるわけにはいかない。
僕も何か聞かないと、と思い「鍵って2つだけですよね?」と僕が聞く。
推理小説オタクコンビは失笑をした。
しかし「いえ、もともとは3つでした。3年前に折れて捨てましたが」
3年前か。
流石に昔すぎるかなと僕は思った。
「それは完全に使えなくなったのですかな?」とステッキを持った人が聞く。
「はい。絶対に使用は不可能です」と事務の人が言う。
推理小説オタクコンビは考え込んだ。
あれ?これ結構重要なの?
僕も考える事にした。
だが何も思いつかない。
泉がどこに捨てたかを聞く。
ゴミの日に不燃物として出したと言う。
「今回なくなった重要書類は、いつ作られたんだね?」と鹿撃ち帽を被った人が言う。
「詳しくは分かりませんが、昔からあったものではないでしょうか」と事務の人が言う。
「3年前か……」とステッキを持った人。
2人は喫煙室へ行ってしまった。
鹿撃ち帽を被った人はパイプを吸って考え込んでいる。
ステッキを持った人はチョコレートドリンクを飲んでいる。
チョコレートドリンクを持参しているだと!と僕は思った。
僕は気分転換も兼ねて色々と歩き回った。
保管室の外ではマッスルコンビが窓の下に梯子を立てて、外から外せないかを実験している。
「一般人には無理だな」
「そもそも目立つし」
横で見ていてそりゃそうだろうと思った。
食事スペースに行くと、料理人コンビがいた。
そこで聞き込みを行っている。
でも食べてるものの感想まで聞くのはなんでだろうと思った。
捜査は完全に行き詰ってしまった。
僕らも自動販売機で飲み物買い、休憩室で気分をリフレッシュ。
横にマッスルコンビが来て、プロテインを飲みながら話し合っている。
泉がなにかを思いついた。
僕たちはマッスルコンビから離れて、泉の話を聞く。
「もしも犯人が3つ目の折れた鍵を拾って、接着剤でくっつけたら?」
「いやそれは無理だ。接着剤はひねりに弱い。おそらく回してる途中でまた折れるだろう」と僕が答える。
「そっかあ。いいと思ったんだけどなあ」
「でも僕も3つ目の鍵はなんかひっかかるんだよな」
「他に考えある?」と泉
「ない!」
「じゃあ保管室へまた行ってみよう」
保管室に行くと、推理小説オタクコンビと料理人コンビがいた。
太い糸でなにやらやっている。
僕は成り行きを見守った。
サムターン回し(ドア内側のつまみを回して施錠・解錠する部分)に糸をくくりつけ、糸を扉の下にくぐらせる。
鹿撃ち帽を被った人は糸を強く引いて、内側の鍵を回すという単純な仕組みだ。
外に出てドアを閉めた後に、糸を引っ張る。
するとドアの鍵が閉まった。
密室が完成した。




