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第6章 4話 屋敷の人たち

「なんでそれを」と大輔さん。


「私も探偵なので、ヒック」としゃっくりをしながら言う酒井さん。


「確かに借金はある。しかし明後日には返せる」


「ブレスレットを売ってですか?」


「そんなことはしない。仕事がうまくいったんだ」


「本当ですか?」


「本当だ。戸崎」


「はい」と戸崎さん。


「このブレスレットを預ける。持ち主に返してくれ」


「承知いたしました」


「誰のブレスレットか知らないのですか?」と僕が聞く。


「知らない。誰のだ?」


一同は顔を見合わせた。


演技なのか、本当に知らないのか。


そして一旦大輔さんの部屋を出ることになった。


とりあえず、ブレスレットは回収したが、大輔さんへの疑惑は晴れない。


引き続き警戒は必要だろう。


そして、「酒井さん。催促状のことをどうやって知ったのですか?」と僕が聞く。


「そりゃ企業秘密ってやつだよ。ウィスキーをボトルでくれたら教えてあげてもいいがね」と酒井さん。


僕は思った。


芸人コンビもアル中コンビも、見た目以上に侮れない。


するとアル中コンビのもう1人の酒田さんが手に持っていたスキットル(ウィスキーなどを入れる携帯容器。西部劇とかでよく見る)を落とした。


「手の震えが治まらねえ」


「大丈夫かこの人たち」とやっぱり僕は思った。


戸崎さんが依頼主へブレスレットを届けに向かい、僕たちもそれぞれ調査を再開した。


しかし捜査は(かんば)しくなかった。


しばらくすると夕食に。


僕たち探偵組6人で食べることに。


誰も口を開かず、静かな夕食となった。


「この空気バラエティだったらテロップ入るな」と笑二。


「気まずい沈黙とかってテロップがな」と芸川。


「そしてフォークが落ちてSEが響くみたいな」と笑二。


「実際は静かなだけやな」と芸川。


「今は俺らだけ編集されてない世界にいるな」と笑二。


「そりゃめっちゃ怖いで」と芸川


「どうやらコントが終わったようだ。相変わらずどう反応していいかわからない」と僕は思った。


「基礎からやり直したら?」と泉が2人に言う。


2人はがっくりしている。


「ここに来たら、ワイン飲み放題だと思ったんだがなあ」と酒田さん。


「そんな訳ないでしょ」と僕が言う。


「こんだけぶどうがあるんだ。少しぐらいいいじゃないか」と酒井さん。


「働いて買って下さい」


「では事件の報酬れな」と呂律が回らなくなってきた酒田さん。


「やっぱりこの人たちはダメだ」と僕は再度思った。


僕と泉は食後のコーヒーを飲んだ後に、部屋を出る。


なんとなく屋敷の中を一周してみることにした。


夜も深まりすっかり暗くなってきていた。


書斎の近くに来ると、泉が突然手で僕を制する。


誰かいる。


もの陰に隠れて見ていると、女性使用人の今村さんだ。


そして書斎に入って行った。


「こんな時間に何しているんだろう」と僕は思った。


しばらくすると書斎から出てきた。1冊の本を持って出てきた。


そして自分の部屋に戻った。


「なんだったんだろうね」と僕が聞く。


「ただ本を借りに来ただけなのかな」と泉。


「確かめよう」と僕が言う。


そしてノックをし、今村さんの部屋に入る。


「こんな時間になんですか」と今村さん。


「今村さんこそ、こんな時間に出歩いてどうしたんですか?」と僕が聞く。


「私は本を借りに行っただけです。読みながら寝ようと思って」


「そうだったんですか。すいません」


そして僕たちは部屋を出ようとした。


しかし昼間来た時と何か違和感のようなものを感じた。


部屋の中を見回しながら少し考える。


「どうしました?」と今村さん。


そして僕は違和感の正体に気づいた。


「机の端にある鍵はなんでしょうか?その鍵、金庫の鍵に見えるんですが……」と僕は言った。

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