第6章 2話 屋敷
「気づいたのは半年ぐらい前からだ。財布、ライター、カフス、万年筆、ネクタイピンなどだ。現金は盗まれていない。金庫も開けられていない。先ほど申し上げた通り、共通点はない」と依頼主。
「権利書みたいなのは?」と僕が聞く。
「それは金庫の中で無事だ」
「すべてあなたの持ち物だけが盗まれた?」
「そういうことになるな」
「好きに調査をしていいぞ。あとは戸崎に任せる」
そういうと依頼主は去って行った。
戸崎と呼ばれた人は、僕たちを車で迎えに来てくれた人だ。
「ではこれから私が色々と説明させていただきます」
「よろしくお願いします」と僕が言う。
「まずはこの家にいる方々と出入りをしてる人々を。妻の奈穂様。息子の大輔様。娘の菜々様。使用人が2人いまして、男の方が私、戸崎。女性の方が今村です」
「多い多い」と芸人コンビの笑二。
「次に出入りしているのが、庭師の鮫島、料理人の田口、男性秘書の西村、女性秘書の永島です。この人たちは週3~5日ぐらい来ますね」
「また増えたあ」と芸人コンビの芸川。
「つまり依頼主を除くとあなたを入れて9人ですか」と僕が言う。
「はい。その通りです」
「お前さんは犯人なのか?」とアル中コンビの酒田。
「まさか。私は違います。もっとも証明は出来ませんが」
「じゃあ誰だと思う?」とアル中コンビの酒井。
「わかりません。私はあなたたちのような探偵ではありませんから。では次にあなたたちの部屋をご案内いたします」
そういって僕たちを3つの部屋に案内してくれた。
客室なので、ベッドなどもあった。
僕と泉はさっそく調査をしようと思って部屋を出た。
笑二と芸川「探偵~断定~鑑定~判定」
笑二「判定されるの怖いわ~」
笑二と芸川「どうも鑑定の笑二と芸川です」
芸川「鑑定ちゃうやろ」
笑二「なら断定?」
芸川「探偵やろ」
笑二と芸川「しっつれいしやした~」
芸人コンビが僕らにコントと思われるものをした。
「きびしいわね」と相変わらず辛辣な泉。
僕たちはまず屋敷を把握するために歩いて回ることにした。
後ろで、涙ぐんでる2人を無視して。
屋敷は思ったよりも部屋が多かった。
しかし誰ともすれ違わない。
みんな部屋に閉じこもっているのだろうか。
とりあえず挨拶がてら1人1人に話を聞こうと言うことになった。
まずは妻の奈穂さん。
「はじめまして。探偵の碧と泉です」と僕たちが言う。
「奥様は今回の事件をどう思っていますか?」と僕が聞く。
「不思議なことですね。主人のものばかり。誰が犯人なんでしょう」
「心当たりは?」
「全く無いですね」
「では失礼します」と僕は言って泉と部屋を出た。
次は息子の大輔さん。
「はじめまして。探偵の碧と泉です」と僕たちが言う。
「大輔さんは今回の事件をどう思っていますか?」と僕が聞く。
「どうって誰が犯人なんだろう。待遇に不満なのかな」
「心当たりは?」
「誰も犯人とは思えません」
「では失礼します」と僕は言って泉と部屋を出た。
次は娘の菜々さん。
「はじめまして。探偵の碧と泉です」と僕たちが言う。
「菜々さんは今回の事件をどう思っていますか?」と僕が聞く。
「誰がお父様のものを。ところで万年筆なんか盗んでどうするんでしょう?」
「もの次第では高値が付きますよ。安いのだと数千円ですが、高いのだと100万以上も」
「へえ。そんなにするんですか。盗まれたのは高いのか安いのか気になります」
「犯人に心当たりは?」
「ないですね」
とりあえず家族3人の話は聞き終わった。
「3人とも心当たりなしか」と僕が言う。
「そうだ碧。さっき戸崎さんに9人って言ってたけど、私から見れば10人だから」と泉。
「依頼主も入れるのか」
「もちろん。可能性ならばね」




