第6章 1話 富豪からの依頼
「たまには遠出したくない?」と僕が言う。
「どうした突然」と泉。
「都会の喧騒に疲れたというか、静かな所でのんびりしたいなと」
「いいんじゃない。だったら田舎の依頼でも探せば」
「それ、ナイスアイデア。都心から離れた静かなとこに行こう」
「じゃあ見てみますか」
「なになに、町おこしイベント?私たちの街の謎を解明して。報酬は3万円と米30kg。いや持って帰れないだろ!」と僕が言う。
「そこ?3万の方じゃないんだ。現金にすると5万円ぐらいじゃん。安すぎる」
「この前、1万円の仕事受けたじゃん」
「あれって近所だし。点数稼ぎみたいなものだし。ボランティアみたいなものだし。今の新潟だよ?交通費や宿泊費もでないんだよ」
「そう考えるときついね。別のを見よう。なになにかかしが盗まれるので犯人を捜して欲しいだって。秋田県で報酬5万」
「これもさっきと同じでパス」
「じゃあかなり近くなっちゃうけどこれは?」
「どれ?」
依頼内容 家の中から物が無くなる 犯人の特定
報奨金 成功報酬20万円
場所 山梨県○○ 最寄駅から車で40分(駅まで迎えにいきます)
注意事項 宿泊していただきます(食事と住居はこちらで用意・衣服数日分持参)
「う~ん。微妙」
「私は良いと思うな。ぶどう畑があるし」
「勝手に食べれないだろ」
「雰囲気がいいってこと」
「じゃあこれにする?」
「さっそく申し込みをしよう」
そして翌日、僕たちは電車に乗っていた。
「この駅でいいんだよな?」と僕が聞く。
「ええ間違いないわ」と泉。
待ち合わせ場所に行くと別の2人組がいた。
「降りたよな」と男A
「降りた」と男B
「駅前がまさか異世界だったとはな」男A
「びっくりやわ~」男B
「ここまでなんにもないとモンスター出てきそうや」男A
「異世界ならな」男B
「しもうた。異世界でもはずれの方やったあ」男A
「異世界に当たりはずれあんのかい」男B
「あの~あなたちも車待ちですか?もしかして探偵?」と僕が恐る恐る聞く。
「せや」男A
「今のコントどうだった?」男B
「落ちてないですよ」と辛辣な泉。
2人ががっくりしている。
そこへワゴン車がやってきた。
「お待たせしました。笑二様に芸川様。そして片山碧様に泉様」と車を運転してきた人が言う。
4人は乗り込み、目的地へと向かった。
僕は思った。
この2人は芸人コンビと呼ぼう。
芸人コンビのネタが完全に滑り、車内は気まずい空気に包まれた。
そして車に揺られること40分。
車内の冷え切った空気の中、僕たちは家というか屋敷に着いた。
そう。
家なんてもんじゃない。
これは屋敷だ。
「こちらでお待ちください」と部屋に案内された。
そこにはすでに2人組が。
驚くことに2人はビールを飲んでいる。
「あのう。なんでビールを飲んでるんですか?」と僕が聞く。
「これはビールじゃないジュースだ」とやや髪の長い男。
「君たちチェイサー(強いお酒を飲んだ後に口直しをする水や度数の低いお酒)って知ってる?それだよ」と髪の短い男。
「なら強いの飲んでるやないかい」と芸川と呼ばれた男がツッコむ。
「あのう。探偵ですよね?」と僕が聞く。
「そうだ。酒田と酒井だ。酔ってねえからな」と酒田と言う人。
「ダメだこいつら。アル中コンビと呼ぼう」と僕は思った。
「そっちはランクは?」泉。
「C」
「C」
「私たちもC」と泉が言う。
「全員同じか」と酒井。
そこへ車を運転していた人が再び来て
「それではみなさま主人に会って下さい」
別の部屋に行くと、威厳のある男性が座っていた。
どう見てもこの家の主だ。
「では依頼だが、探偵倶楽部に提出した通りだ。わしの物が無くなっている。犯人を突き止めて欲しい」




