第5章 1話 通学路の猫
「最近依頼少なくない?」と僕が言う。
「前より減ってるね」と泉。
「世の中が平和になったのか、ひょっとしたらランクが関係してるとか」
「ランクは関係あるかもねB以上限定とか」
「やっぱ早くBランクになりたいな」
「そうね。でも医療関係とか私たちにわからない事件には手を出せないし」
「もうさ。解決できそうなのなら、とりあえずやってみない?」
「どういうこと?」
「報酬無視とか」
「拝金主義者のあんたがそんなこと言うなんてね」
「それもこれもBランクになるためだよ」
「例えばどんなの?」
「こんなのとか」
依頼内容 通学路にいた猫が最近いなくなったので探して下さい
報奨金 成功報酬1万円
場所 東京都○○高校通学路
注意事項 私たちは未成年です 万が一声をかけて警察に通報されても責任は負いません
「なにこれ」と泉。
「見ての通りだけど」と僕が言う。
「え~となにからツッコめばいいのか」
「猫探しだよ?」
「違う。成功報酬1万円って日雇いバイトか」
「いや日雇いバイトだと1万はもらえないんじゃないかな」
「もらえるのもあるでしょ。でもそこじゃない。金額!」
「だから報酬無視って言ったじゃん」
「次、注意事項は?私は女だからいいけど、あんた通報されるよ。確実にね」
「そんなことないでしょ」
「甘い。教師や、付近の主婦とかが通報しそうだもん。リスク有りすぎ」
「でもさあ。これやるのたぶんうちらだけだよ。それで解決すればいい。大事件もこれも事件は事件だし」
「それはそうだけど……」
「決まりだね」
「あんたが捕まってもいいなら、構わないわ」
という訳で依頼を受けることにしたのだが……
翌日指定された場所に行くと、僕ら以外にもう1組探偵がいた。
女性2人組だ。
お互いまさかこの事件受ける人がいるなんてという顔だ。
その後2人は僕をじっと見てくる。
「あの?何か?」と僕が言うと。
「あなた。攻め?受け?」と片方が言う。
「なんの話ですか?」
「まさかノンケ?」ともう片方が言う。
「ノンケ?」
2人で話し合っている。
そして「あなた彼氏はいる?」
「僕、男ですけど」
「そんなの知ってるわ。いるの?」
「いるわけないでしょ」
僕は嫌な予感がした。
「ほんとはいるんでしょ?」
「だからいません」
そして予感は確信に変わった。
どうやらこの2人はいわゆる腐女子らしい。
僕はこの2人を腐女子コンビと呼ぶことにした。
それらのやりとりを聞いていた泉が「あなたたちランクは?」
「はぁ。Cだよ」と泉に対しては当たりが強い。
腐女子怖い。
そこへ5人の制服姿の女子生徒がやって来た。
「初めまして。私たちが依頼者です。この度は依頼を受けてくれてありがとうございます」と言って5人が頭を下げる。
「実はずっと通学路にいた猫がいなくなったんです。誰かがさらったのか、車に轢かれたのか。私たち心配で。それでみんなでお金を出し合いました」
1人2000円か。
高校生にとっては大きな出費だろう。
今回は金額じゃない。
この生徒たちの為に頑張ろうと思った。
「注意事項に書いた通り、何かあっても責任は取れないので」と別の生徒が僕を見て言う。
今ってそんなにやばいの?
そういや思い出した。
これが噂の声掛け事案ってやつにあたるのかと。
その後猫の特徴を聞いた。
真っ白で小型とのこと。
画像ももらった。
さっそく調査開始だ。




