第4章 5話 最後の依頼
聞き込みは芳しくない。
この街にいるかも分からない。
僕と泉は公園で休憩を取った。
「これ無理じゃね」と僕が言う。
「諦めないで、まだ何かあるはず」と泉。
「役所とかで教えてくれないかな」
「無理に決まってるでしょ。ただでさえ今の時代個人情報に厳しいんだから」
「じゃあ老人ホームとかでも教えてくれないのかな」
「それだ!」
「どれだ?」
「老人ホーム。行ってみよう」
この街には老人ホームや介護関係の施設がいくつかある。
片っ端から聞いて回った。
そして4つ目の老人ホームで反応が。
「小林さんですね。あなたたちはご家族の方か何かですか?」と係の人りの人。
「いえ。私たちは飛田今日子さん、現在は小林さんですが、あなたを探すよう依頼された探偵です。依頼主は高校時代の同級生です」と僕が言う。
「でも家族とかではないなら」
「たぶん、2人は恋仲の関係だったと思いますよ」と泉。
「それならお会いいただいても構いません。小林さん、最近元気がないんです」
僕たちは小林さんと面会をした。
「あなたは旧姓飛田今日子さんでしょうか?」と僕が聞く。
「ええ」
「あなたを探してる人がいます。会ってくれませんか?」
「どなたでしょう?」
僕が依頼主の名前を告げる。
小林さんは「是非会いたいです」と言う。
「ただ、自分はもうここから出られない。申し訳ないが来て欲しい」とのことだった。
早速戻り依頼主に報告。
依頼主と僕たちはタクシーで老人ホームに向かった。
2人が顔を合わせる。
「ずいぶん遅かったわね」と小林さん。
そして学生時代の話をしている。
僕たちは隅にいたのだが、会話が聞こえてくる。
学生時代、依頼主の友人が小林さんに告白をして振られたこと。
小林さんは依頼主が好きだったこと。
依頼主は友人のことを思い、小林さんのからの想いを知っていながら踏み出さなかったこと。
卒業式で、小林さんが「私を迎えに来て」と言ったこと。
その後、依頼主も小林さんを好きでいながら、会いに行かなかったこと。
そして70年以上過ぎ、ようやく会えたのだ。
面会を終え、僕たちは依頼主の家へ戻ることになった。
帰りのタクシーで「片山碧と泉、女性を探して欲しい依頼完了しました」と連絡を入れた。
戻ってくると、僕らに向かって「あなたたちは誰ですか?」と言う。
「え?」
息子と娘にも「どなたですか?」と聞く。
アルツハイマー型認知症が突然悪化したのだ。
僕らはみなやるせない気持ちになった。
依頼主にとって、長年の心残りが解消され、気が緩んだからなのかもしれない。
僕たち探偵はそっと家に戻って行った。
「なんか悲しい出来事だったね」と僕が言う。
「そうね」と泉も言葉が少なげだ。
「でもこれで3つの事件を解決。あと2つでBランクだ」
「そういえば碧、あなた気づいていた?」
「何が?」
「プロレスコンビが歩道でまた職質されていたのを」




