第2章 5話 息子と秘書と娘
僕たちは息子の部屋へ向かった。
なんとか借金について聞き出せないかと。
息子は食事の後の皿などをテーブルの上に置いたまま、ネットで株価の動きを見ている。
「失礼します」と僕が言うと、息子は少し不機嫌な顔をした。
「なんのようだ?」
「いえ、なにか情報がないかと思いまして。株ですか?」
「ああそうだ」
「こういうのって、儲かるときは大きいけど、損するときも大きいんですよね?」
「まあそうだな」
「あなたはどちらですか?」と僕は鋭い口調で聞いた。
「私はどちらでもない。株関係にはあまり手を出さない。今も暇だから見ているだけだ」
「そうなんですか」
「でも大儲けしたいですよね?」
「誰でもそうだろ」
「お金があれば色々困りませんからね」
「なにが言いたい?」
「いえ。僕も儲けたいなって話です」
「私はお金に困っていない」
「そうなんですか。ここのみなさん、みんな困っていないんですかね?」
「妹(娘)は困ってるんじゃないか。歴史や文化財保護なんて金がいくらあっても足りないだろ」
「それはそうですね」
「後は秘書だな」
「十分な手当をもらっていないんでしょうか?」
「いや。もうすぐ解雇って噂だからな」
「そうなんですか。理由は?」
「知らない。噂を聞いただけだ」
「お母様はどうでしょう?」
「知らないな。もういいだろ。出てってくれ」息子はちょっと喋りすぎたって思ったのか、渋い顔をした。
仕方がないので部屋を出た。
「どう思う?」と僕が聞くと
「妹(娘)と秘書のことは本当かな。だとしたら新しい遺言書が気になるでしょうね」と泉。
「そうだね」
「そういえば妹(娘)は新しい遺言書、はっきり気にしてるって言ってたわね」
じゃあ次は妹(娘)のところへ行くか。
部屋に着くと、お茶コンビと話をしている。
3人で話が盛り上がっていた。
「どうしたんですか?」と僕が聞くと
「お茶の文化は歴史や文化財保護と関係があるのよ。茶道や茶の製法技術などは文化庁が支援を行ったりしてるのよ」と茶頭さん。
「へえ」
「茶畑なんか、文化的景観として評価されてるの」と娘さん。
「すごいですね」
僕は語彙力が乏しいと思った。
でもこれでは話を聞けない。
「お茶コンビ、調べる気あるのかよ」と思った。
「お父様やお母さまから支援金みたいのは出ないんですか?」と紅野さん
「親には頼れないわ。でも欲しいのは事実ね。母は無理だけど」と娘さん
「そうなんですか」と茶頭さん。
「母は会社役員とかではないし、それに母は自分専用口座を……まあ無理って話よ」
自分専用口座?と僕は聞き逃さなかった。
どうもみんな隠したりなにかしているようだ。




