表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
抱き心地1000%の俺、なぜか女の子に「一緒に寝よ」と誘われる  作者: ピースピース


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/11

第10話 二人に挟まれて

 二人が風呂から上がった後、俺も順番にシャワーを浴び、リビングでくつろいだ。

 だけど、ゆっくりするなんて無理だった。

 理由は氷室と鈴木の服装が、油断しまくってるからである。


 氷室が着ているのは、艶やかなシルク素材のキャミソールワンピース。

 薄手の生地が、身体のラインを強調しており、肩から鎖骨、そして太ももまで、すべてが見えていた。背中なんて、ほとんど丸出しだ。

 ソファに腰を下ろしているから、裾がするりとめくれて白い太ももがさらに露になった。


 慌てて視線を逸らし、今度は鈴木のほうへと目を向ける。

 だが、そっちもダメだった。


 黒のタンクトップはピタッと体に張りついていて、下はゆるめのショートパンツ。引き締まった腰骨から健康的な太ももまでが、しっかり視界に飛び込んできてしまう。

 だが、何よりも俺の目を釘付けにしたのは、豊満すぎるバストだった。

 風呂場から聞こえてきた氷室の言葉通り、確かに、めちゃくちゃデカい。


 鈴木が動くたびに揺れるその様子に、俺は思わず唾を飲み込んだ。


「……どうしたの? なんだかさっきから落ち着きがないわよ?」


 ソファでくつろぐ氷室が、不思議そうにじっとこちらを見つめてくる。


「え、いや……」


 声をかけられた瞬間、俺は動揺して視線があちこちに動く。


「な、なんでもない」


 慌てて答えると、今度は鈴木が疑いの目でじっと俺を見つめてくる。


「怪しいですね……目が泳いでいます」


 ……視線のやり場に困ってんだよ。

 氷室は肩紐が今にも落ちそうだし、鈴木は鈴木で、胸元を隠す気はない。

 ドキドキと鼓動を早くさせてまま、しばらくして。


「ふわぁ……そろそろ寝ましょうか」


 氷室があくび混じりに立ち上がる。俺も鈴木も、そのあとに続いて寝室へ向かった。

 寝室の扉が静かに開かれると、ふわりとアロマのやさしい香りが鼻をくすぐる。

 癒される匂いだ。

 広々とした寝室に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは、キングサイズのベッド。


「はい、陽は真ん中ね」

「やっぱり……俺は端っこじゃダメか」

「ダメよ。陽は真ん中じゃないと」


 俺のささやかな抵抗は見事に却下され、結局ベッドの真ん中に寝る羽目になった。

 左に氷室、右に鈴木。

 二人とも俺に身体を寄せてきて、完全に密着状態になった。


「うーん……これよこれ、この感触。なんだかとても安心するわ」


 氷室がご満悦な顔を浮かべ、俺の左腕にすりすりと頬を寄せてくる。


「ずっと、こうしていたいわ」

「いけません。お嬢様が怠けてしまったら、私が旦那様に叱られます」

「でも、まゆだって、さっきから陽に夢中なんじゃない?」

「違います。私はいつでも朝倉陽を拘束できるようにしているだけです」


 二人とも、さらに強く抱きついてきて、俺にぴったりくっついてくる。

 左右から氷室と鈴木の体温がじんわりと伝わってくる。

 それから二人の衣服越しに押し付けられている胸の柔らかい感触。


 ……こんな状態で寝られるわけねぇだろ!?

 そんなことを思ったとき、隣からふわりと甘い香りが漂ってきた。

 氷室の髪からだ。お風呂上がりのシャンプーの匂い。


「どうしたの陽、緊張してるの?」


 氷室がふっと、悪戯っぽく微笑んだ。

 薄暗い照明に照らされた表情は、やたらと色っぽく見える。

 ……してないって言うほうが無理だろ、これ。


「ねえ、陽の好きなタイプってどういうの?」

「えっ?」


 唐突すぎて、声がひっくり返った。


「そんな驚かなくてもいいじゃない?」

「いきなりなんだよ」

「こうしてるのも退屈だし、ちょっと恋バナでもしようかなって思ったの。で? どんな女の子がタイプ?」

「そんなの、急に言われても……」

「ふぅん……じゃあ、質問を変えるわ」


 氷室は俺の肩にちょこんと顎を乗せ、まっすぐに俺の顔を見つめてくる。


「私のことは好き?」

「はああ!?」

「答えて」

「い、いや……俺たち会ったばっかだし……!」

「でも私は、陽のこと好意的に思ってるわよ?」


 氷室はそう言って、俺の胸元にぴたりと体を寄せた。


「ねぇ、分かる? このドキドキ……全部あなたのせいよ」


 そのまま、氷室は俺の胸にそっと手を添える。

 じわじわと顔が近づいてきて、唇と唇が触れ合いそうな距離になる。

 あと、ほんの数センチ。


「……私のことが好きなら。このまま……してもいいのよ?」

「え!?」

「……このまま、もう少し近づいたらどうなるかしら?」


 まってまってまって!?

 思考が真っ白になる。至近距離で見る氷室が綺麗すぎて、呼吸がまともにできない。

 俺と氷室の唇が触れようとした瞬間、氷室の目が悪戯っぽく細められた。


「ふふっ……ねぇまゆ、見た? 陽の顔」

「さすがお嬢様。完全に赤面しています。これは間違いなく、朝倉陽はときめいております」

「ふふ、大成功ね♪」

「……は?」


 状況が急展開すぎて、頭がついていかない。


「ごめんね、陽がお風呂に入ってる間に、ちょっとからかってみようってまゆと話してたの」

「まだまだですね、朝倉陽。これくらいで動揺していては、抱き枕失格です。今後は徹底的に鍛えますから覚悟してください」


 ……マジかよ。

 言葉も出ない俺を見て、氷室はくすくすと楽しそうに笑っている。


「陽ってからかい甲斐あるわね。……それじゃ、おやすみ」


 そう言って氷室は俺の腕を抱いたまま、目を閉じた。

 ……くそ。人のことをおちょくりやがって。


「おやすみ……っ!」


 悔しさを紛らわせるように、俺もそのまま寝ようとした。

 ……しかし。


 寝れない。

 しばらく時間が経ったが、意識は冴える一方だ。

 そりゃそうだ。氷室と鈴木に挟まれて、ぴったり密着状態。

 こんな状況で寝られるわけがない。

 心臓はバクバク、目を閉じようにも脳はフル回転。


 そんな時、俺の耳元に、ひそやかな声が忍び寄る。


「……朝倉陽」

「うおっ! ?」

「あまり大きな声を上げないでください。お嬢様は寝ていますから」


 慌てて隣を見ると、氷室は「すぅ……すぅ……」と静かな寝息を立てていた。


「お嬢様が就寝してから1時間が経過しました。あなたは寝ないのですか?」

「お前こそ寝ないのかよ?」

「はい、あなたがお嬢様を襲うかもしれませんので」

「信用ねぇな」

「当たり前です。お嬢様に迫られていたとき、まんざらでもない顔をしたので」

「うっ……」


 それを言われると、返す言葉がない。


「言っておきますが、お嬢様にいやらしいことをした場合、火あぶりの刑ですからね」

「怖ぇよ」


 真顔で言うな、そんなことを。


「いいですか?」


 鈴木がじっと俺の目を見据える。


「……どうしても我慢できない場合は、私を襲ってください」

「……は?」

「誤解しないでください。あなたに対して好きという感情を抱いているわけではありません。ただ、私はお嬢様のメイドであり、ボディガードでもあります。万が一、あなたの理性が保てなくて襲ってきた場合、身代わりになるのも私の仕事です」

「いや、安心しろ。俺は寝てる相手に手を出す趣味はねぇから」

「なるほど。……つまりヘタレですね」

「おい」


 俺がツッコむと、鈴木の口元がほんのり緩んだ。


「おやすみなさい、朝倉陽」


 鈴木はそっと目を閉じる。


「……おやすみ」


 返事をしたが、寝られるはずもない。

 だからせめて二人を起こさないよう、息を潜めてじっと静かに過ごすことにした。

 にしても、地味に『ヘタレ』って言われたのが傷ついた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ