小林 緑は魔法少女へなるか?
丁度その頃であった。
草目たちがやってきた時には、星雲寺 叶夢の身体を支配した魔物は正体を表し緑さんと対峙していた。
「草目さん、近づいては」
緑さんはあっという間に引っぱられ、武器として所持していた日本刀を突きつけられた。
「チェッ。せっかくシャバでのバカンスを楽しもうとしたのによぉ〜〜。魔法使いってのはハエンボみたいだな」
日本刀は血臭い。彼女の身体を操って殺めてもいるのだろうか?
「緑さんを、はなして。また人を殺めたら罪が重くなるよ」
魔法で武装したリボルバー拳銃を突きつけ、吊田崎 草目がノベオリを睨みつけた。
「ギャハハ! 元はと言えばお前ら人間が羽屋沸の姫芽を無下にしなけりゃ、オレは存在してねーんだ。罪なんて存在しねーよ」
「それは星雲寺一族の責任であって、私たちのものでない。責任転嫁をするな!」
輝が怒り、同じく魔法で召喚した矢を構えた。
「こわ〜〜~。責任転嫁だとか、輝、アンタらしいな? 人の良い偽善者」
緑さんはボソッと「自業自得ではないか」、と口にした。
「三ノ宮一族と同じです。外法陰陽師たちが祝部織の一族を絶やし、あまつさえ、善意を踏みにじるとは──」
ノベオリはニタニタと笑う。
「それでこれ、オレサマの仲間だ! 分かるか吊田崎 草目! コイツは人間じゃねえのさ!」
「ハア。いや、一般的な感想を口にしただけですよ……星雲寺一族は三ノ宮一族に似ているな、と思わず」
「いいや、人間側の生ぬるい感情がお前には抜け落ちてる。ヒトの遺体を見ても何も思わず、自分自身が人質にされても何も感じない!」
「……うーん。遺品整理を生業にしていたりしますからね」
「カーッ、認めろよ! 半人!」
「普段の緑ならそんな事言わない。そりゃー、アンタの精神干渉の異能じゃないのお?」
吊田崎 草目が珍しく怒りに声を荒らげる。ドライな彼女なりに人への思いやりがあるらしい。
「ハア? コイツにはそれが効かねえよ。──中身が人間じゃあ、ねえからな」
「失礼な」
「ノベオリ! 星雲寺 叶夢の身体から出ていけ。死してなお彼女を侮辱するな」
「いいじゃないか? 食っちまったから、真似というよりはなり代われるぜ? なあ、輝?」
「いい加減にしろ」
「キャハハッ! まあ、お前らはオレに食われてしまいだ。あー、爽快だ!! たのしいなあ!」
(どうすれば良い? 案内人? )
(うーん。アレなら……、……、……)
案内人が念話で悩みつつも口を開いた。
(この前のように、魔法少女にナリマショウ! )
(はあ?? )
──アナタにはスペシャルプレゼント! じゃ〜ん! スーパーマジックアイテム! お面デス!
下手くそな狐面。画用紙にクレヨンで描いたのか……、絶妙なチープさを醸し出していた。
──ふざけているんですか?」
ピントはずれなプレゼントにさすがに語気が強まる。
──いいえ〜? ワタシは本気! これを被ればあらァ不思議! 正体不明のヒーローに大変身っ!
あの呪われた仮面は今も顔に張り付いている。大変身したら勝てるのか?
また口車にのせられるのか?
(もう! 使いこなすトいう選択肢はナイんですか?? )
あの時と同じセリフを吐かれ、イラついた。
──同化するンですよ。こう、二人三脚する様なモンでス。
(自分自身の現状維持ならば仕方ないか? けど、現状維持になるのか? 分からない。ともかく草目さんや輝さんが死ぬのは嫌だな……)




