表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
対バン!オタクとライブで勝負編
59/77

第59話「やつらに果し状を送る!戦いはすでに始まるいるぜ!」

 果し状をオタクバンドたちが通う学校へ送るため、放課後にみんなで集まって書くことになった。


「別に手紙じゃなくて、学校のホームページにあるお問合せから送ればいいんじゃねーの?」


 紙に書いていた俺に、成瀬はだるそうに話す。


 やつらの学校をネットで調べている時、たしかにお問合せファームみたいなページがあった。


「今どき、わざわざ手紙を書くやつなんかいねーだろ。それに、なんだ……そのきたねー字は」


「うるせーな! 果し状っていったら、筆ペンで豪快に書くだろう。なあ、小野寺?」


「いや……仙道。俺でもさすがに、書かないぞ」


 神社の息子である小野寺ならば、わかってくれると思ったが違ったらしい。


 俺の書いた字を見ながら、みんなはさらに顔を引きつっている。


「晴君……対バンのお願いを書くのに、倒すとか相手の悪口しか書いてないよ」


「いや、有本。おまえは、この字を全部読めたのがすごいな」


「あ? やるからには、これくらい書かなきゃダメだろ。なめられるわけにはいかねーからな」


 バンドマンとして、相手に隙を見せるわけにはいかない。演奏だけでなく、こういった態度も必要だ。


 書き終わった俺は、紙を封筒に入れる。そして、ポストに入れようと立ち上がる。


 ーーガシッ!


 すると、力強い重みが肩にかかる。


「待て、仙道……」


 小野寺は俺の肩に手を掴み、なぜか俺を止めた。その力は、次第に強くなっていく。


「もしかして、その手紙を本当に送ろうとしているのか?」


「あ? 当たり前だろ、そのためにさっきから書いてたろうが」


 シゲは無言で教室の扉の前に立ち、成瀬は俺を囲うように近づいていた。


「さっ、仙道。その手紙を俺に渡せ」


「なんで、俺が熱く書いた果し状をてめえに渡さないといけないんだよ……成瀬」


「まあまあ、いいから。ささっとよこせ」


 成瀬は俺から手紙を奪おうと、手を伸ばした。反射的に俺は取られまいとして、封筒を持った手を遠ざける。


「てめえら、なにをしようってんだ! せっかく書いた俺の手紙をよう!」


「決まってんだろ、破り捨てんだよ! そんな内容を書いたバンドの一人と思われたくないんだよ」


「いいじゃねーか! 相手は、オタク野朗だぞ」


「もしかしたら、相手校の女子をナンパするかもしれねーだろ! イメージってもんがあるんだ」


 成瀬の手を払いながら、俺は懸命に奪われまいと暴れる。揉み合う形で、俺と成瀬の攻防が始まった。


「こら! てめえ、離れろ!」


「おまえこそ、いい加減に諦めろ! 相手に送るのは有本に任せておけばいいんだよ」


「馬鹿野郎! バンドのリーダーは俺だそ」


 バタバタと暴れ回っていると、手に持っていた手紙がどこかへ飛んでいく。


 ヒラヒラと舞い、教室の扉を塞いでいたシゲの足元に落ちた。


「よし、シゲ! それを俺に渡すんだ。今からポストに入れてくるからよ」


 俺がそう話すと、シゲはにこりと笑う。


 ーーさすが、シゲだ。やっぱり、おまえは俺の味方だもんな。


 シゲだけは成瀬たちとは違い、俺のバンドに対するロックな気持ちを理解してくれているはずだ。


 オタクバンド野朗共に、挑戦状を叩きつける俺と同じ想いに違いない。


「ごめんね、晴君」


 シゲはそう答えた後、封筒を手にして笑顔でビリビリと破り始めた。


「シゲェェェー! やめろおおおお!」


 俺の叫びも虚しく、書いた手紙と共に、封筒は細かく破かれた。


 結局、俺の書いた手紙はなかったことにされ、代わりにシゲが向こうの学校にメールで送ることになった。


「ふう! こんな感じでいいんじゃないかな?」


「うむ。丁寧でわかりやすいし、向こうにも失礼がないな」


「さすが有本だな! これなら、俺らの学校も納得するだろ」


「……っ」


 俺を抜きにして、三人は書いたメール内容に納得している。


 いかにも、シゲが書いたくそ真面目な文。それは、ロックバンドらしからぬものだった。


 ーー仲良しこよしで、ライブを一緒にやるんじゃねー!対バンっていうのは、いわば戦いなんだよ。


 どうにも納得いかない俺は、そう思いながらシゲたちを見つめる。


「では、その内容で送信しよう。有本、送信ボタンをクリックするのだ」


「そうだね、送ったら向こうからの返信を待つだけだから」


「後は……こっちの学校をどうにかしないとな」


 このままでは、なんら普通の他校と交流する名目で話が進んでしまう。オタク共と、お遊びバンドのイベントになりかねない。


 そう思った俺は、勢いよくみんながいるところに割って入った。


「そんな文章でいいわけねーだろう! どけえぇー!」


「え、晴君?」


 シゲが持つスマホを素早く取り上げて、俺は流れるような速さで文字を打つ。


「おまっ! なにしてんだよ」


 そんな俺を引き離そうと成瀬たちが動くが、もう遅い。


「よし……送信っと!」


「てめえ、仙道! なにしやがった!」


 送信ボタンを押し終えた俺から成瀬はスマホを取り、送信画面を見る。


「仙道……てめえ、やりやがったな!」


「成瀬君! 晴君はなにをしたの?」


「ふむ。有本が書いた後に、仙道が文章を追加したらしいな」


 ーー俺たちは最強最高のバンドを目指す! 貴様なんぞは、俺たちのバンドがぶっ潰す。


 という文字が、最後に添えられていた。


「晴君……これじゃあ、丁寧に書いた意味がないよぅ」


「いいんだよ! 送っちまったんだから、これでよしだ」


 こうして、俺が追加で書いたメールがオタクたちのいる学校へと送られた。後は、やつらからの返事を待つばかり。


「さあ、戦いは始まったぞ! バンド練習だ」


「……このくそったれ野朗が」


成瀬たちの冷ややかな目など気にせず、俺はギターを取り出す。


 オタクバンドたちとの対バンが、この瞬間から始まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ