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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
バトル!集う実力バンドライブ編
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来たるライブ本番の前にリハ!そして、スタート

 実際にライブをやるステージへと上がり、俺たちはリハを行っている。


 スタッフ数人を含み、淡々とこなしていった。


「あの……なんか、怒ってます?」


 ギターの音を確認しながら弾く俺に、スタッフが困り顔をしながら尋ねてきた。


「あ? 怒ってませんが、なにか?」


 ぶっきらぼうな口調で返事をすると、そそくさとスタッフが去っていく。


「晴君、さすがに敵意をむぎ出しちゃダメだよ」


「ふっ、顔が鬼みたいになってるぞ? 見てみな」


 シゲがそう話すと、横にいた成瀬がポケットから手鏡を取り出して俺に見せる。


 写っていたのは、眉間にシワを寄せて睨みつけている俺の顔。


「ったく、リハから戦闘モードになってんなよな」


「いやあ、ついな! スタッフもグルかと思ったら、むかついてよ」


 成瀬たちに呆れられながら、俺は顔を元に戻してステージから観客席を見つめる。


 あと数時間後には、ここで俺たちはライブをやる。


 古川たちのバンドより、すごいライブをやると言ったものの、いざステージに立っていると緊張感が出てきた。


 しかし、俺はそんな緊張感をいい風に捉える。


「よし! 気合いが入ってきたぞー!」


 マイクに向かって、俺の叫びがステージに響き渡った。


「あいつ、大丈夫なのか?」


「ははは……晴君はいつもああだから」


「うむ! 実に仙道らしいな、やつの背中から闘志が滲み出ている」


 せっかく気合いを入れたのに、後ろのほうからヒソヒソと声が聞こえやがる。


 ーーったく、おまえらも気合いを入れやがれ。


 などと思う俺を他所に、みんなはそれぞれ楽器の状態を確認し始めた。


 黙ってやっているが、小野寺が言う背中から闘志をみんなからも感じる。


 順調にリハを進めていくと、ステージの出入り口から古川たちのバンドが現れた。


 どうやら、次が古川たちのバンドがリハを始めるらしく、やってきたようだ。


 ーーあの野郎……俺たちのリハを見てたのかニヤニヤしてやがる。


 古川は腕を組んで、壁にもたれかかりながらステージに立ち俺を見ている。


 幸い、実際に弾いた曲は聴いていない。

俺はやつのほうを見て睨みつけた。


「どうしたの、晴君。 あれ? 古川君たちだ」


 シゲも気がついたようで、そう口にする。


「へえ、あれが古川ってやつか。まあ、俺様のほうがハンサムだな」


「ふむ……それはどうかわからぬが、改めて見ると女子が好みそうではある」


 バンドは顔が良ければいいというものではなく、演奏で魅せるものだ。だが、女性のファンを勝ち取るには、それも必要でだろう。


 言いたくないが、古川のバンドはみんな美形男子だ。しかも、演奏も他よりレベルが高いはず。


 ーーちっ、メジャーデビューするバンドってのは、顔がいいやつらばかりだな。


 すかした顔をして、スタッフと話している古川たちに俺は再び苛立つ。


「じゃあ、ロッケンローラースターズさんのリハはこれで。お疲れ様でしたー」


 リハを終え、ステージから降りる俺たちと入れ替わるように古川たちがこちらに向かってくる。


 それと同時にスタッフの数も多くなり、まるでVIP待遇だ。


 会場の出入り口に向かう際、すれ違う古川に声をかけられる。


「よう、晴樹。お疲れさん、最強バンドのリハは完璧だったか?」


「あ? んだとう……」


 あきらかな挑発に、俺が反応するとみんなに止められる。


「仙道、ここで争う必要はない。俺たちは、本番で勝負するのだ!」


「まあ、勝ち負けはねーだろうけどよ。潰すくらいの意気込みでやろうや」


「うん! 頑張ろうね」


 みんなはそれぞれ、そう口にすると俺を引っ張る。


「古川! てめえらより、すげえライブをやってやるからな!」


 俺は最後にそう吐き捨てて、中指を立てる。


 たとえ、メジャーデビューのために開かれた八百長ライブイベントだろうが関係ない。


 ーー最高のライブをやってやる!


 俺たちが、今日のライブで一番輝いてみせるのだ。


 楽屋に戻ってきた俺たちは、ライブ本番になるまで待機することになる。


 本番の出番が来るまで、念入りに曲をチェックする。


「そういえばよ、俺たちの出番は四番目じゃん? まさか、高村より後にやるとはな」


「たしか、高村さんたちは二番目にライブがスタートだったね」


「となると……トリはやはり」


 小野寺がそう口にした後、俺が代わりに答える。


「古川たちのブラッディナイトムーンだ……イベント的には最後にメジャーデビューを告知するっていう筋書きだろう」


 俺たちはあくまで、かませ犬。


 いくらライブをやろうが、最終的には古川たちが得をする。


 だが、やるからには全力で演奏をやる。


 そして、俺たちが出演バンドの中で最高だったと思い知らせてやるのだ。


「俺たちにはオリジナルがある! カバーなんかより、自作曲で勝負だ!」


「いや……晴君、多分みんなオリジナルをやるんじゃないかな?」


「んぐっ! そうか……だが、おまえが作った曲が一番だ!」


 高村や古川たちもオリジナルをやるのは当たり前の話。


 けれど、どんな曲だろうがシゲが作ったやつが最高に決まっている。


 自信がなさそうに話すシゲに、俺はそう言葉を返した。


「うむ! その通りだ。後は俺たちが完璧に弾き、曲の良さを感じさせられるかに限る!」


「つーかよ、くっちゃべってねーで本番のために最終打ち合わせしようぜ」


 成瀬はセットリストが書かれた紙を手でヒラヒラさせながら、俺にそう話す。


「そうだな! ついでに、軽く合わせて弾こうぜ」


 俺はギターをスタンドから持ち出し、肩に背負う。


 今は、本番までには完璧な状態にしなければならない。時間になるまで、打ち合わせと練習を始めることにした。


 ーードンッ! カッ! ドンドン、カン!


 しばらくみんなで話し合いながらギターを弾いていると、響くような爆音が聞こえてきた。


「うおっ! すげえ、でかい音だな」


「なんだろう? ちょっと、僕が見てくるね」


 シゲはそう話すと、楽屋を出て確認しに行く。そして、すぐに慌ててシゲが帰ってきた。


「たっ、大変だよ! ライブがもうスタートしているよ!」


 時計を見ると、時刻はすでにライブが始まっている時間だ。


「なに、もう始まってんのか! それで会場は? みんな、盛り上がっているのか?」


「さすがに、ステージの中まで見て来れないよ……晴君」


 ライブイベントが始まり、ステージがどんな状況か俺は気になった。


 もしかしたら、一番手のバンドがやる演奏に観客が沸いているかもしれないからだ。


「ついに……始まったか。まごまごしていると、すぐに俺たちの出番だな」


「そんな気にする必要ねーだろ。ステージに立てば、どんな感じかわかんだろ」


 ライブが始まっても、成瀬たちはいつも通りだ。


 たしかに、小野寺が言うように俺たちの出番はすぐにやってくるだろう。


「時間ギリギリまで、練習だ! ほら、楽器を持ち直せ」


 一分でも時間が惜しい俺は、そう声をかけ直してみんなに楽器を持たせる。


 そして、そうこうしている間にその時は来た。


「ロッケンローラースターズさん! もう少ししたら、セットチェンジなんで!」


 忙しそうにするスタッフが楽屋に来て話すと、俺たちはステージへ向かう準備をする。


「よーし! いよいよ、俺たちのステージだ! やるからには成功させるぞ!」


 すべての準備が終わり、待ちに待った俺たちのライブが始まろうとしている。


 みんなも気合いが入っているようで、それがひしひしと伝わってくる。


「それじゃあ、観客が待つステージに向かうぞ!」


 このイベントにでかい風穴を開けるべく、俺たちは楽屋を後にする。


 ステージ脇へと着くと、目の前で高村たちがライブをやっていた。


 ーー相変わらず、いい曲を弾いてやがる。


 姿は見えないが、きっと観客たちを沸かせているのだろう。


 そう思いながら、セットチェンジをするのを待った。


 高村たちの演奏が止み、ステージから退場すると、こちらに向かって歩いてくる。


「……なにか言ってやらねえとな」


 ライブを終えた高村に、俺は感想の一言を言うつもりでいた。


 だが、こちらへ歩く高村の顔はひどく落ち込んでいる。


 いいライブをやっていたであろうと思っていただけに、楽屋で会っていた自信に満ちた表情はない。


 その異様な雰囲気に、俺は驚いた。


「仙道……このイベントは、あまりにもひどいぞ」


 すれ違う瞬間、高村は俺に小さくつぶやいた。


 おそらく、高村もこのイベントが仕組まれたものだと感じ取ったように思える。


 だからといって、あそこまで落ちるものだろうか。少なからず、観客の意識を変えることは高村バンドでもできただろうに。


「大丈夫っすよ、俺たちがその空気を変えてやりますよ!」


 そう高村に返事をした俺は、ギターを背負う。


 たとえ、八百長イベントだろうが俺たちのライブを見せつけてやる。


 そう強く思いながら、俺たちはステージへと歩み出した。


 だが、この後に高村が言っていた言葉の意味を知ることになる。


 俺たち、ロッケンローラースターズのライブがスタートしようとしていた。

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