表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
バトル!集う実力バンドライブ編
43/77

第43話「第二のオリジナルを完成させる!」

 放課後に秋山さんに電話をかけ、イベントに参加する趣旨を伝えた。


 ライブをやるからには、全力で立ち向かうしかない。


「いや……おめえの参加理由が、女だなんてなあ」


「うむ、不純だ」


 成瀬たちは俺を見ながら、ボソッとつぶやく。


「うるせえ! 成瀬にだけは言われたくねーわ!」


 かなでが観てみたいと言ったならば、俺はそうせざるおえない。


 まさに、これは愛なのだ。


「でも、晴君がやる気になってくれたなら、結果オーライだね」


 シゲの言葉にうなずき、俺はギターケースを背負う。


「とりあえず、今日からライブ本番に向けて練習するぞ。毎日、弾きまくる!」


 学園を出た俺たちは、楽器屋にある貸しスタジオへと向かう。


 そこでバンドの練習と、ライブにやる曲をどうするか話すのが目的だ。


「そういえば、二つ目のオリジナルはどうするよ? イベントでやんのか?」


「ああ、曲のイメージははっきりしているし、これから仕上げれば本番に間に合うな」


 楽器屋に向かう道中、シゲが作った新しいオリジナルソングについて話す。


 成瀬が言うように、この曲もセットリストに入れるつもりだ。


 敵は高村だけでなく、他にも有名なインディーズバンドがいる。


 それらに対抗するには、こちらもオリジナルで勝負するしかないだろう。


「まだ……直したいフレーズとかあるからね、間に合うかなあ」


 ある程度は形になっていても、シゲはまだ納得がいかない様子。


「それなら、みんなで完璧な最高の曲にしようぜ!」


 あの曲は、さらにいいものになる可能性がある。そのためならば、俺はなんだってやるつもりだ。


 俺は歩きながら、そう意気込んで話す。


 楽器屋に到着して、スタジオの中に入ると、さっそくギターをアンプに繋げる。


 自宅にある小さなアンプではなく、大きなアンプなだけあって、鳴らすと迫力が違う。


「やっぱり、アンプはでっかいやつじゃねーとな! スカッとする音量だ」


 俺はギターのボリュームを上げ、その音色を楽しむ。


「まだ音を出すのは早すぎんだろ、まずは新しいオリジナルをどうしていくか話そーぜ」


 ベースをケースから出さずスタンドに立てかけた成瀬は、床に座り込んで俺に話す。


「ベースラインなんだけど、ここをもっとパターンを増やしたほうがいいのかな?」


「まあ、いろいろ小技を出す意味ではいいけど、ギターと音が合いづらくね?」


「ふむ……俺のドラムも、それでは印象に残らないのでないかな」


 俺を他所にシゲたちも床に尻をついて、楽譜を囲いながら話し合っている。


 俺は頭をぼりぼりとかきなぎら、ギターを置いてみんなの話に入る。


「この曲は疾走感をさらに出したいなあと思うんだけど……なかなかいいフレーズが浮かばなくて」


 シゲは楽譜に赤いペンで二重線を書いたり、新しいパターンのリフを書き直していた。


「この曲って、歌のメロディはすでに出来てんだろう?」


 俺は楽譜を見ると、上のほうにボーカルのパートが書かれていた。


 他のパートよりも長く、ボーカルだけが完成しているように見える。


「うん、だからそれに合うようなオケを作ってみたんだけど、しっくり来なくて」


 そこでシゲは頭を悩ませるように、楽譜とにらめっこをしていた。


「なら俺が鼻歌で歌うからよ、それに合わせていろいろ弾いていこうぜ」


「え? 晴君、もうボーカルのメロディを覚えたの?」


 シゲは驚きながら、意外そうな顔をして俺に尋ねる。


 ーーったく、失礼だな! 俺だってバンドマンだ、それくらい余裕さ。


 などと思っている俺だが、全部を鼻歌で歌えるわけではない。


 メロディだけを歌っても、歌い方一つでボーカルが変わってしまうのだから。


「なら、俺もベースのパターンを変えながら弾くぜ。いろいろ試してみたいからな」


「うむ、右に同じく。ドラムのリズムも、変えながら叩こう」


 成瀬と小野寺は立ち上がって、それぞれの楽器を弾く準備を始める。


「なんにせよ、弾いて合わせてみなきゃわからねーこともあるだろ。ほら、シゲもギターを持て」


「そうだね、まずは弾いてみようか」


 俺の言葉に納得したシゲがギターを持つと、俺もマイクスタンドがある位置まで向かう。


 譜面とにらめっこして話し合うより、実際に弾いて確かめてみるのがバンドとして正解。


 たとえ未完成でも、弾くことに意味があるのだ。


「よーし、イントロから弾いていくぞ! 準備はいいか?」


 俺のかけ声を合図に、全員が弾く態勢になる。


「それじゃあいくぞー、ワンツー!」


 そう叫んだと同時に、俺たちは一斉に弾き始めた。アンプから爆音が鳴り響き、激しいサウンドがスタジオに広がる。


 ーージャカジャカ、ジャンー!


 楽譜に書かれているフレーズを、ギターで弾く。曲のテンポが速いのか、弾いてはコードチェンジを繰り返す。


「ふんふふーん! ふん、ふん!」


 弾くオケに合わせながら、俺はマイクに向かって鼻歌を歌い出した。腹に力を込め、一気に声を張り上げる。


 ーーまあ、弾いて歌ってみた感じは悪くないんじゃないか?


 シゲが言うほど、楽譜に書かれているパターンはそこまで悪くない。


 鼻歌を歌いながら弾く俺は、その思っていた。


 しかし、横で弾くシゲはどこか不満げな顔をしている。シゲだけでなく、成瀬たちも同じだった。


 ひとまずサビのところまで弾き、そこで一旦演奏を止める。


「……別にこれでいいんじゃね?」


 俺は先ほど思ったことを踏まえて、そうみんなに話す。


 きちんと曲になっているし、悪くない。


 最初に作ったBADBOY、GOODLOVEよりインパクトがあるわけではないけれど。


「うーん……弾いてみると、そう感じるけど」


「うむ、ドラムのリズムを変えながら叩いたが、なんと言えばいいのやら」


 シゲと小野寺は、なにか物足りなさを感じるようになんとも言えない様子だ。


 すると、成瀬がその物足りない理由を口にする。


「シンプルすぎるんだよ、この曲。オリジナリティはあるけどよ、なんか特徴がねー感じ」


 楽譜を手に持ち、改めて見る成瀬はそう口にする。


「こらぁ、成瀬! シゲが作った曲になにケチをつけてんだ」


 俺は成瀬に怒鳴り声を上げた。


 シゲが頑張って作った曲を、そんな風に言われて腹が立つ。


「いや……成瀬君の言う通りかも」


 シゲは成瀬の言葉を聞いて、答えた。


「多分だけどよ、ギターパートが単調だからじゃねーか?」


 ドラムやベースのパターンを変えても、曲の要はギターだ。


 どんなにいいベースラインやドラムのリズムがあっても、ギターが単調ならば曲がパッとしない。


 そう、成瀬は指摘をする。


「そうは言っても、そんな特徴があるギターのフレーズを作れるか?」


 オリジナルの曲を作る際、ギターのフレーズを一から作るのは簡単なことではない。


 シゲだって、なにか既存の曲からヒントを得て、考えただろう。


「僕……作るよ! みんなが納得するフレーズを作ってみせる」


「おいおい、シゲ。それだと、ギターパートは作り直しにやるぞ? かなり、大変じゃないか」


「うん、でも……次にやるイベントは、きっと手強いと思うんだ。だから、それに対抗できる曲を作りたいんだよ」


 シゲは今までにないくらい真剣な顔で、そう口にする。


 その言葉には、強い意志があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ