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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
活動!新たなるライブ編
32/77

第32話「さて、さっそくみんなで練習だ!って……あれ?」

 停学処分となった俺は、さっそく電話をかけ始める。もちろん、相手はシゲたちだ。


 学校を休んでいるわけで、時間は昼を過ぎた頃。この時間ならば、みんなも電話に出るだろう。


 初めに、俺はシゲに電話をかけた。


「もしもし、 シゲか? さっそくだけどみんなで集まって……え、 勉強中?」


 俺の電話に、シゲは申し訳なそうに話す。いきなり停学になったから、親にいろいろ言われたのだろう。


 成瀬たちはどうでもいいが、シゲを巻き込んだのは悪かったと思ってしまう。


「まあ仕方ないか、 今日は誘わずにおこう。 となると……成瀬と小野寺か」


 スマホの電話帳から、成瀬と小野寺の電話番号を探す。


 三人でも音は合わせられるだろうと考えながら、まずは小野寺に電話をかけた。


 ーートゥールルル! トゥールルル!


 しばらく通話を繋げる音が続くが、いっこうに小野寺は出ない。


「なにしてんだあいつは、 電話くらいすぐに出ろや」


 それからも何回かかけるが、小野寺に繋がることはなかった。俺はため息をつき、今度は成瀬に電話をかけることにした。


「成瀬のやつなら出るだろう、 どうせナンパとかをしてるはずだ」


 あいつの予定はわかりきっているし、どうせナンパに失敗して暇になってるに違いない。


 そう思いながら電話をかけると、意外に早く繋がる。


「おい、 俺だ。 今から会えるか? 貸しスタジオで、 音を合わせよーぜ」


「……」


 俺がそう話しかけても、返事が返ってこない。


「聞いてんのか成瀬! なんか、 しゃべれや」


 一度スマホを耳から離し、画面を見る。

画面にはきちんと通話中と文字が書かれていた。


 しかし、成瀬の声はまったく聞こえてこない。


「んんんー、 もしもし、 誰?」


「仙道だよ! てめえ寝てやがったな、 バンドをやるって言ってただ……ん?」


 電話の相手は成瀬なはず。しかし、その声は女の声だった。


 ーーピッ!


 俺は通話ボタンを切り、もう一度スマホを確認する。間違い電話かと思って画面を見るが、やはり名前は成瀬だ。


 どういうことかと頭をひねり、俺はまた通話ボタンを押した。


 ーートゥルルル! ガチャ。


「はい……って、 これ成瀬君のスマホじゃん。 成瀬君ってば、 電話が来てるよ?」


「あん? ったく、 誰だよ……もしもし?」


 間違いなく、成瀬と女が一緒にいる。昼間まで寝ていたことを考えると、もはや答えは一つだった。


「このくそやろうが……学校クビになれや」


 そう低い声で一言だけ話し、俺は電話を切った。


 これでバンドメンバー全員に連絡をとったが、すべて空振りに終わる。


「だああああ! どいつもこいつも、 停学中を満喫してやがるな!」


 あまりにもイラついた俺は、大声を上げる。


「晴樹! 近所迷惑でしょうが、 静かに反省してな! このバカ息子が」


「……うるせえ、 ババア! こっちはそれどころじゃねーんだよ」


 俺の大声を聞いて注意をする母親に、さらに大きな声で反抗する。


 このまま自宅にいるのも腹ただしい俺は、ギターを担いで家を出る。


「ギター背負って外に出たはいいけど、 どこに行こうかな」


 しばらく歩く俺は、これからなにをしようか考える。せっかくギターを持っているのだから、行き先は一つしかない。


「そうだ、 楽器屋に行こう! 予約してないけど貸しスタジオくらい入れるだろう」


 この時間帯ならば、他に借りている人も少なくはず。ギターがあれば、一人でも弾ける。


 そう思いついた俺は、駆け足で楽器屋へと向かうことにした。


 ーー本日、 定休日。


 楽器屋に着いて店の扉に、そう貼り紙が貼ってある。


「んなバカな話があるか! なんで、 今日が休みになってんだよ!」


 誰もいない楽器屋の前で、俺は怒りを露わにする。


 これはあれか、ロックの神様が休めと言っているのだろうか。


「いや! ここまで来たら、 意地でもギターを弾いてやる!」


 みんなに声をかけるも、反応なし。自宅にいれば親がうるさくて、ギターも弾けやしない。


 そんな鬱憤が溜まる俺は、なにがなんでもギターを弾かずにはいられなかった。


「うおおおー! ここで弾いてやろうか、 誰もいない楽器屋の前で」


 俺はそう叫びながら、ギターをケースから取り出すとギターストラップを肩にかけた。


「路上で弾き語りでもするか? けど、 アンプないから生音になるな」


 ぽつんと一人、店の前でギターを構える俺は、そんなことを口にする。


 すると、向こうのほうからポリスメンが現れた。


「あのー、 ちょっといいかな? 君、 こんなところでなにをしているんだい?」


「え? 見りゃあわかるっスよね? ギターを持って弾き語りっス」


「君、 学生さん? こんな時間に、 学校はどうしたの?」


「いっ、 いや……あのですね」


 これは、まずい状況になるに違いない。


 まさに世に言う職質で、あきらかにポリスメンたちは俺をジロジロと見ている。


 もし俺が学生で、学校と家に電話をされたら停学が退学になってしまう。


 そうなったら、最強最高のロックバンドになるどころの話ではない。


「とりあえず、 暑で話を聞こうか」


 ーーこいつら、 俺を非行に走るヤンキーだと思ってやがるな。


 このままでは、最悪の事態になりかねない。


 なにか策はないかと考えるが、ポリスメンは無線を使おうと手を伸ばした。


「おい、 こんなところでなにしてんだ? 店の仕事が残ってんだろ」


 そう声が聞こえて振り返ると、そこには高村が野菜のダンボールを自転車に乗せながらまたがっていた。


「あー、 おまわりさん。 そいつ、 うちの従業員ですよ?」


「……あなたは?」


 高村はポリスメンに、自分が八百屋で働いていることを説明している。


「彼は学校を中退しましてね、 うちで雇っているんすよ」


「そっ、 そうっす」


 その場を切り抜ける嘘だとわかっている俺は高村の話に合わせる。


「最近、 不審者がこのあたりにいると通報がありましたからね。 そういうことなら、 わかりました」


 なにか納得したポリスメンたちは、特に追及することなくそう言うと、去っていった。


「ふひぃぃー、 あぶねえ」


 ポリスメンがいなくなると、俺はその場に倒れ込み、一気に緊張が抜けた。


「ったく、 なにしてんだおまえは。 警察に絡まれて」


「いやあ、 俺は高ぶった感情をギターで発散しようと」


 呆れながら話す高村に、これまでの経緯を話す。


「はあ? 停学? なにしたら、 あの学園を停学になるんだよ」


「……ゲリラライブ」


 そう話した後、高村はゲラゲラと笑い始める。


「笑うんじゃあねえ! それでも、 それなりにライブは盛り上がったんだぜ?」


 俺は笑う高村に、必死になってゲリラライブのことを語った。


「へえ、 それじゃあ多少はバンドが変わったってことか?」


 ライブやバンドのこととなると、やはり関心があるのか、高村は興味深そうにそう尋ねる。


「そうなんすよ! 俺たちのオリジナルソングで会場がぶわぁぁっと……あっ、 そうだ!」


 俺はなにかを閃いたように、途中で言葉を遮る。


「高村さん! これから、 高村さんの家に行っていいすか? いや、 行くわ」


「……は?」


 有無を言わさずに、高村を引っ張って俺はズカズカと歩き出した。


 ーーこいつに今なら俺たちが作ったオリジナルを聴かせれば、 なにかしら新しい道が開けるはずだ。


 そう思いながら、俺は高村の家に向かう。

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