第31話「祝!停学、さあ活動しようぜ」
ーー仙道晴樹、他の三名を停学処分とす。
ゲリラライブを敢行した翌日、学校へ来てみたらそう学園室で読み上げられた。
無論、理由は明白で無断で学園の侵入及び、ゲリラライブをやったからである。
「ははは! ロックンローラーなら停学は当たり前だよな」
「いや……どう考えても停学はやばいだろう」
学園長や担任に怒鳴られ、きつい説教を食らった後、教室でそう俺たちは話す。
「ていうかよ、 なんでバレたんだよ! 誰かがチクッたのか?」
「バカねえ、 全校集会でいなかったのはアンタらだけでしょう? だからバレたんでしょうが」
上原が呆れたような口調で、俺に話す。
「あんたは停学で構わないけど、 有本君を巻き込んだのは罪ね」
「うぐっ……」
上原が言うように、あくまでバンドのメンバーであるシゲまで停学にしてしまったのは申し訳ない。
真面目に学校生活を送っていたシゲにとっては迷惑な話だろう。
「上原さん、 僕なら大丈夫だよ? 晴君と一緒だしさ」
「あんたねぇ……」
シゲは気にしていない素振りで上原と話している。そんなシゲに上原は、さらに呆れていた。
「けど、 仙道君たちがいなくなるのは……ちょっと寂しいかな」
横で話を聞いていたかなでは、少し寂しそうに小さくつぶやく。
「俺だって寂しいんだよぅぅ! ああ、 停学したくねえー!」
かなでの言葉を聞いた俺は、そう叫びながら床でバタバタと暴れる。
「あんなライブをしたんだから自業自得でしょ。 かなで、 あんたもそんなことを言わなくていいのよ」
「でも、 ライブはすごいよかったと思うよ。 友達もみんなすごいって驚いていたもの」
かなでは話題を変え、俺たちのライブについて話し始める。
たしかに朝、登校していた時にやたら視線やなにか噂をしているような小声を耳にしていた。
「そうだ! かなで、 俺の作った歌はどうだった? 響いたか? 胸にグッと来たか?」
「え? うーん、 かっこいい歌詞だったよ。 英語だもの」
ーーいや、 そこじゃなく俺の想いをだな。
そう思っても、かなでには伝わっていないようだった。
「ははは……だが、 俺たちの演奏にみんなが魅了されたってことだからいいか!」
俺の熱い気持ちがかなでに伝わらなかったが、他の生徒に曲の良さは伝わっていることに満足して、そう口にする。
「ふっ、 まあ女子は俺様のベースに酔いしれていたな。 そうだろう? 上原さん」
成瀬はキザったらしい口調で、上原に軽くウインクをする。
「……は? キモッ」
そんな成瀬に冷めて引いたように、上原は言い放つ。
しかし、学園でライブをやった成果はあったことは間違いない。
あれだけインパクトのあるゲリラライブは高校生ではなかなかお目にかかれないはず。
「だが、 先生方にはあまりいい印象にはならなかったな。 この手の音楽は好まないものなのか?」
「この学園にいる先生なんかロックとは無縁だろうしな、 鈴谷先生みたいに讃美歌とかしか聴いてねーんだろ」
小野寺の疑問に俺はそう答え、改めてまだまだバンドの力ってやつを出せていないことに気づく。
「鈴谷先生で思い出したけど、 あんたら先生には本気で謝りなさいよね」
「あ? なんでだよ」
「この学園始まって以来の悪夢だわ、 アーメン! って言って口から泡吹いて倒れたのよ」
「ははは! あのシスターがか? そりゃあ、 傑作だ」
上原の話に、俺は腹をかかえて大笑いをする。あのシスターには、少し刺激が強すぎたに違いない。
「でも仙道君、 鈴谷先生にはきちんと謝ってね?」
「よし、 今すぐ謝ってくるわ! かなでにそう言われたら謝らずにはいられない!」
「……単純すぎやしないか? 仙道は」
「あれが、 晴君だから……ね」
授業開始のチャイムが鳴ると、みんなはぞろぞろと机に向かう。
「俺たちは停学だしな、 学園を出るか」
停学を食らった俺たちは、しばらくは授業を受けることはできない。
そう話した俺たちは、先生が来る前に教室を出ようとする。
「仙道ー! 停学が明けたら学校に来いよー! また、 ライブやるのを待ってるぜ」
クラスメイトのみんなが、教室を出る俺たちに向かって叫ぶ。まるで戦地に向かう兵隊を送り届けるような風景だ。
「次はゲリラライブじゃなく、 正々堂々とステージでライブをやるぜ!」
俺はみんなに見送られながら、そうデカい声で答えた。
ーーさらば学舎、 また会おうぜ。
みんなの声援を受け、俺たちは教室を後にする。
「けどよー、 停学中はなにしてようか」
玄関に向かう廊下で、成瀬はそうぽつりとつぶやく。停学期間は長い、学園にも来れないとなるとやることがない。
「俺は、 神社の仕事を手伝おうと思っている。 有本はどうするのだ?」
「んー、 僕は自宅で勉強をしていようかな」
みんな、それぞれ停学中にやることを考えている。
「なら俺は町に出てナンパでもしよっかなー、 暇な年上のお姉さんも狙い目だな」
「成瀬君、 それバレたら退学になっちゃうよ……」
みんなが話している横で、俺は大きくため息をつく。
ーーはあ、 みんななにを言ってやがんだ。
せっかくの停学で、言わば毎日がお休みな状態。ならば、やることなど一つしかないだろうに。
そう思った俺は、ピタリと足を止めてみんなに向かって口を開く。
「なに夏休みの予定を話すようなこと言ってんだ! 俺たちがやることなんか決まってんだろ」
「……え?」
俺の言葉にみんなは一瞬、嫌な顔をした。まさかと思っている全員に、俺はにやりと笑い話す。
「バンド活動をやる! 俺たちには、 それしかない!」
バンドマンならば、時間がある時に活動をするのは当たり前だ。こんな絶好のタイミングはない。
「はああああ? おめえはバンドしか頭にねぇのかよ」
「成瀬のバカが! 当然に決まってんだろうが!」
さらなるバンドの実力を上げるべく、俺は停学処分中に音楽活動をやるのだ。
はあっと深いため息をつく成瀬たちは、俺に構わずに歩き出した。
「ったく、 そんな毎日やってられっかよ」
「うむ! その通りだな」
「わかったわかった! 週五日にしてやるから、 バンドやろうぜ!」
呆れて話す成瀬たちに駆け寄りながらそう口にする。
「バイトかよ! ハードワークすぎんだろうが、 バンドバカが!」
こうして俺たち全員は停学処分となり、
その間にバンド活動をやることにした。
もちろん、こいつらを説得してからだが。
俺の頭の中には、バンドのことしか考えていない。
ーーライブハウスとかに出れねぇかな、 イベントないか調べよ。
そんなことを思い浮かべながら、先に行ってしまったみんなを追いかけた。




