表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
活動!新たなるライブ編
33/77

第33話「高村のバンドとは?!」

 部屋に俺の弾くギターが、大音量で鳴る。


「どうよ? このフレーズ! これが、俺たちのオリジナルソングなのよ」


 俺は自慢げにそう声を荒げて、高村に話す。


「……いや、おまえなあ」


「それで、ここにジャラーン! 俺とシゲのギターが噛み合うんだ!」


 なにか言いたそうにする高村に構わず、俺は喋り続けた。


 すると、高村は顔を真っ赤にしながら叫んだ。


「なんで、おまえは俺の家に来てギターを弾いてんだ! しかも爆音で弾きやがって、近所迷惑になるだろう!」


「硬いこと言うなよー、同じロックバンドマンじゃないか!」


 怒りを露わにしている高村に、俺はあっけらかんとして話す。


 いきつけの楽器屋も休みだし、シゲたちとは予定が合わない。そんな時に現れた高村の家に上り込めたのはラッキーだった。


 こいつにはいつか必ず俺たちのバンドを、再評価してもらわないといけない。

 こうして、本人の前でギターを披露するには好都合だった。


 今まさに、再評価されるチャンスだ。


「そんな説教よりもさ、俺のギターはどうだ?」


 高村の話を聞かずに、俺はさっそく感想を求めた。


「あー、まあ悪くないじゃないか?」


「この野郎! きちんと聴いてたのか? もっといい言い方があるだろうが!」


 想像していたのと違って、あまりにも適当な感想。


 俺は納得がいかずに、ギターをバットのように構える。


「こらこら! ギターをそんな持ち方をするなよ、話は最後まで聞け」


 そう言って高村は俺をなだめた後、話を続ける。


「ギターだけ聴いて、それだけですごい曲かはわからんだろ? 今はおまえだけが弾いているんだしよ」


「……まあ、そうだな」


「けど、たしかにフレーズはいいと思うがな。 そう言う意味では悪くはない」


 高村はそう話すと、部屋にあったギターを持つ。


「しかし、俺ならそのフレーズはこうやって弾くかな。おまえはピックのアップダウンがめちゃくちゃだ」


 ギターを持つや、俺が弾いたギターのフレーズを高村は弾き出した。


「え? 聴いただけで弾けんのかよ」


「……当たり前だろ。俺はおまえより長くギターをやってるし、バンド歴も長いしな」


 そう言って、易々と俺が弾いて聴かせた曲のフレーズを完璧に再現する。


 ただ同じように弾くのではなく、ところどころアレンジまだ加えていた。


「くそ! 納得がいかねーぜ、俺が弾くよりいいフレーズにしやがって」


「ほら、ぐだぐた言ってないでおまえも別のパートを弾け」


 高村に言われ、俺はギターを構え直してシゲのパートを弾く。


 ーージャラランー、ジャンジャン!


 二つのギターから、それぞれの音色が部屋に鳴り響く。


 セッションというやつで、次第に弾くのが楽しくなっていった。


 心地よい気分で、俺のギターはより弾む。


 やはり誰かと一緒に弾くのは、こんなにもいいものだと思いながら、俺たちはしばらくギターを弾いた。


「ああああ! 今すぐにでも、ライブがやりてえぇぇ!」


 弾き終えた後、ライブをやりたい気持ちを吐露した。


 もっと曲をたくさん弾いたり、オリジナルソングを増やして披露する。


 考えはいろいろな方向へと広がるも、それがすぐにできないことが悔しい。


「焦るな焦るな、そんなバンドのライブなんて簡単にできないものさ」


「……そういえばさ、高村さんのバンドってどんなライブをやんの?」


 高村がバンドを組んでいることは、前から知っている。


 しかし、どんな曲をやるのか。どういったステージのパフォーマンスをやるのかまではわからなかった。


「俺たちのバンドか……うーむ」


 高村はなにか考え込むように、腕を組みながら首を傾げる。


 しばらく悩んだ後、一言。


「すげえライブ……だな」


「いや、意味わかんねーよ! 具体的に説明しろよ」


 曖昧な一言に、俺はそうツッコむ。


「説明するのは難しい。だが、とにかくすごいのだ!」


 そう話すと、高村はギターをスタンドに戻して立ち上がる。


「そろそろ俺は仕事に戻る! おまえもさっさと部屋から出るんだ、仕事の邪魔だ」


「おっ、おい! まだ答えを聞いてねえだろ」


 そんな俺を高村は強引に部屋から追い出さそうとする。


「仙道、俺たちのバンドがどんなライブをやるか気になってんのか?」


 部屋の前まで出されると、いきなり俺はそう尋ねられる。


「まあ一応な、だから参考までに聞いておこうって……」


 俺が最後まで言い切る前に、高村はなにかの紙を差し出す。見るとチケットのような物で、五枚ほど手に持っていた。


「来月の俺たちがやるライブチケットだ。 ライブを見れば、どういうものかわかるだろう」


 チケットには、高村たちのバンド名と日付、時間が書かれている。


「ワンマンライブだよ、この日は俺たちにとって久しぶりだからな」


「おおお……ワンマンか」


 バンドマンなら一度は憧れる、ワンマンライブ。一人組のみがやるライブで、それこそ実力と人気がなければ簡単にはできないイベントだ。


「目的はどうあれ、違うバンドのライブを見るのも勉強になるぞ」


「なるほど……それは、たしかにそうだな」


 自分たちのバンド以外にライブを見たことがあるのは、かなでたちのみだ。


 高村の中堅バンドがどれほどのものか、気になっていただけにいい機会かも知れない。


「よし! シゲたちを誘って、見に行ってやるぜ!」


 高村の家から出て、俺はまだチケットを握りしめていた。


 ただ練習するだけや、オリジナルソングを作るだけがバンドの成長ではない。


 誰かのライブを見ることも、時には大切なことだと高村は言っていた。


「いいライブができたからって、それを自慢しているようじゃあ、まだまだな」


 今日の自分の行動に、俺は苦笑いをする。


「すげえライブか……どんなライブなんだろうな」


 そう口にして、チケットをポケットに入れる。


 ーー高村のライブが待ち遠しい。


 そんな気持ちになりながら、俺は自宅へと帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ