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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
修行!生まれ変わるバンド編
27/77

第27話「聴け!俺が考えた歌を!言うなれば愛だ」

「というわけで! 曲の歌を作ってきたぜ」


 俺の言葉に、シゲたちはポカンとした表情でこちらを見る。


 ーーなに言ってんだこいつは。


 そう言いたげな顔で、成瀬は口を開いた。


「いや……早くね? 昨日の今日だぞ」


「まあな、徹夜して作ったからな! 俺もこんな早くできるとは思わなかったぜ」


 一仕事終えたサラリーマンみたいな仕草で俺はそう答える。


「それにしても早すぎではないか? そんな、素早く作れるものなのか?」


「晴君、具合とか悪くない? 寝不足みたいな顔をしているよ」


「問題ない! 俺はロックンローラーだからな、これしきで悪くなるわけねえだろ」


 本当は今にも寝てしまいそうなほど疲れているが、俺はそんな素振りを見せない。


 そして俺は、机に歌詞が書かれた紙とスマホを置く。


「歌をスマホに録音したからさ! とりあえず聴いてみてくれ」


「いや、この場で歌わんのかい!」


 そうツッコミを入れる成瀬など構うことなく、ボイスレコーダーアプリを立ち上げる。


 手早く操作して、再生ボタンを押した。


 数秒ほど過ぎた後にギターの音色が聴こえてきた。


「へえ、一応ギターを弾きながら録ったのかよ」


「しっ! もう少ししたら歌のパートが入るんだから、静かにしてろ成瀬」


 全員が机に置かれたスマホに耳を傾ける。


 そこへ、俺が曲のギターに合わせて歌う声が流れ始めた。


 時間にして、三分ほど。


 スマホのスピーカーから聴こえる歌と歌詞にみんなは黙って聴いていった。


 俺が歌ったところも終わり、曲がフェードアウトする。


「……どうだった?」


 無事に聴き終わって、俺は恐る恐るみんなに尋ねた。


 誰も返事をせず、なにか考え込むような態度で黙っている。


 ーーおいおい、誰かなにか言ってくれよ。


 成瀬あたりがダメ出しをするんじゃないかと身構えているが、本人はなにも言わない。


 シゲや小野寺もじっとしているだけで、なにを言おうか悩んでいるようだった。


「……まあ、悪くはねーな」


 しばらくして、最初に口を開いたのは成瀬だった。


「マジか……?」


「あ? ああ、メロはオケに合ってんじゃね?」


 まさかの反応に俺は聞き返すと、成瀬はそう答えた。


「うむ。歌が入ると曲のイメージもガラリと変わって、この曲はこういう感じなのかと思うぞ」


「本当か? バンドの音楽に疎いおまえでもそう思うのか?」


「失敬だな! 太鼓の鉄人プレイヤーの俺を甘く見るでない。だが、俺はいいと思うぞ」


 曲を聴いた感想を二人は話すが、問題はシゲだ。


 あいつの感想が、一番重要。


 シゲが納得するような歌になっているのだろうか。もし、少しでも気に入らないところがあれば、俺はすぐに歌詞とメロディを作り直す覚悟がある。


 俺はシゲに向かって、もう一度尋ねる。


「どうだ? おまえは聴いて」


 そう尋ねると、シゲはじっと俺の目を見つめる。


 その目は、今まで見たことがないくらい真っ直ぐだった。


 ーーこっ、こわいな……初めてシゲにビビッてしまいそうだ。


 心臓はバクバク。なにを言われてもいいように、俺は心の準備をする。


 そんな俺に、シゲはゆっくりと口を開いた。


「すごいね……晴君は」


 真剣な眼差しをした後、シゲはにこりと笑いながらそう口にする。


「……え?」


「一日だけで、曲にメロディを入れられるもの。しかも、きちんとオケに合うように」


「おっ、おお……そうか? じゃないよ! おまえは聴いて、これでいいのか? 気に入らないところとかあるだろ?」


「ないよ? だって、晴君が作ったメロディと歌詞だもん。そんなこと思わないよ」


 シゲが話す声は、まるで自分のことのように喜んでるふうに聞こえる。


「僕は……曲のメロディは、これでいいと思うよ。聴いててすごくかっこいい」


 その瞬間、俺は嬉しさが込み上げてくる。自分が作ったものがみんなに受け入れたのだから。


「ついに、僕らのオリジナルソングがきちんと完成したね」


「うむ! これは、俺たちの曲である」


「まあ、俺様のベースがあってこそメロディが光るけどね」


 みんなはオリジナルソングが正式に完成したことに満足げだった。


「ていうかよ、英語の歌詞なのはわかるけどよ、なんでラブソングぽいのよ?」


 成瀬は歌詞が書かれた紙を見ながら、俺に尋ねる。


「そうなのか? 俺は英語が苦手だから歌詞の意味はわからん」


「いや……それはだな」


 俺が言いにくそうにしていると、シゲはクスクスと笑いながら話す。


「これって、晴君とかなでちゃんのことを歌ってる歌詞でしょ?」


 まさにシゲが言った通りで、俺はかなでのことを想って書いたものだ。


 自分の感情を曲に伝えることを考えたら、かなでのことはしか浮かばなかった。


 曲を聴く人に、俺のかなでに対する愛を感じて欲しいから。


「……はああああ?」


 シゲの言葉に、成瀬はそう叫ぶ。


「なんで俺様がおまえの恋愛なんぞ歌った曲を弾かなきゃならねーんだよ!」


「あ? 悪いかよ! かっこよく愛を表現してていいだろうが、英語ならなおさらロックだし」


「てめぇの恋愛なんか誰も知りたくねーよ! 仙道、今すぐ歌詞だけ変えろ!」


 俺は成瀬と取っ組み合いになりながら、お互いにぶつかり合う。


「曲が完成したというのに、あの二人は争いが絶えぬな……」


 小野寺は話しながら、呆れている。


「ところで、晴君」


 俺たちを見ながら、シゲは俺に話しかけた。


「なんだ?」


「曲名って、決まってるの?」


「当たり前だろ! すでに決まっている」


 シゲの問いに、俺はそう答える。


 とびっきりかっこよく、そして歌詞に合ったタイトルだ。


 そして、俺はみんなにその曲名を伝える。


「BADBOY! GOODLOVE! それが、この曲のタイトルさ」


 バンドマンで俺みたいなクソッタレなやつでも、いい恋愛をしてやるぜという意味から付けた。


「まあ……いいと思うよ、よく意味がわからないけど」


 シゲはそう苦笑いをしながらも、納得する。


「曲名もくそだせぇぇぇ!」


 成瀬は頭をかかえながら、絶叫する。


 こいつがなにを言おうが、関係ない。俺たちはこのクールでロックな最高の曲をやるのだ。


 こうして、俺たちのオリジナルソング作りは終わる。


 そして、この曲をひっさげてライブをやろうと俺は計画している。


 この学校という、一つのコンサート会場として。

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