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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
修行!生まれ変わるバンド編
24/77

第24話「作り出せ!俺たちのオリジナルソング」

「本当に……おまえが作ったコード進行なのか?」


「え? うん、いろんなパターンのコード進行を覚えたくて」


 シゲがギターを弾き終わった後に俺が尋ねると、シゲはキョトンとしながらそう答える。


 とくに難しいコードを使ったりしていないが、リフが妙に印象に残る。


「なら、それにこう合わせたらどうだ?」


 俺はすかさずギターを持ち、シゲが弾いたパターンとは違う音を弾いてみせた。


 ギターの音一つではどうにもが細く、貧弱に聴こえる。


 そこに俺が弾いた音を加えることによって音の厚みとイメージを変える。


「ほう、聴いたことがない感じだな」


「スローテンポだけど速いテンポにすれば、疾走感があるんじゃね?」


 同じくフレーズを聞いていた二人は、それぞれそう意見を述べた。


「例えばだが……こんなスピードのリズムではどうだ?」


 小野寺は口にした後に、ハイハットと共にドラムをリズム良く叩く。


 ーードンッ! カッ! ドドッ、カッ!


 やや速く。それでもどこかパワフルなリズムパターン。


「いや! もうちょっとオカズを入れたらどうよ? ダダダーン! みたいなよ」


 成瀬はよくわからない言い方で、小野寺に話す。


 いつの間にか、シゲが作ったフレーズにみんなで意見を言い合い始めた。


「よし! このフレーズから曲をみんなで作ろうぜ!」


 みんなの様子を見ていた俺は、そう叫ぶ。


「ええ……けど、この後に続くフレーズとか考えられないよ」


「いーや、おまえならできる! シゲはこういう才能があるに違いない!」


 不安そうなシゲに、俺は肩を掴んでそう力強く言い放つ。


 きっとこのフレーズから、俺たちの理想とする曲ができると思ったからだ。


 俺の言葉を聞いたシゲは、ギターを持ち口にする。


「わかったよ、僕……やってみるよ」


 そう言ってコード表が書かれた紙を取り出し、ギターを弾き始めるシゲ。


「よし! 俺たちは、このフレーズをいい感じな形にするぞ」


 俺もギターを持つと、成瀬たちと音を考え始めた。


 この日から、俺たちのオリジナルソング作りがスタートする。


 まずはシゲが作ったフレーズに、ベースとドラムを加える。


「これ、何回かループさせるとイントロにできんじゃね? イントロはベースのパターン変えるとか」


「ふむ……最初に、ドラムから始めて後からギターが入るようにしたらどうだ?」

 

「俺のギターは途中から重ねるってのはどうよ?」


 学校の休み時間、集まった俺たちはそれぞれの意見を言いながら話し合っている。


 それこそ、授業などより作曲のほうが集中しているほどだ。


 シゲは一人で他のフレーズを考えていた。その集中力は高く、俺が声をかけても気づかない。


 けれどシゲが作り出していくものは徐々に形になっていき、きちんと曲になっていく。


「有本の、意外な才能が垣間見得たな」


「ああ……将来は作曲家になれんじゃねーか?」


 成瀬や小野寺は、作業を横で見ながら話している。


「けど、おまえらも自分でパートを作れるじゃねーか」


 ベースやドラムまではさすがに本人に任せるしかない。


 フレーズに合うパートを作るのはなかなか難しく、スラスラとできないだろう。


 しかし、二人はなんだかんだでやってのけてしまう。


 イントロ。Aメロ。これらは、気がつけは形になりつつあった。


「問題は……サビだな。一番の見せ所だし、なにかしらインパクトは残したい」


 バンドの曲で一番盛り上がり、印象に残りやすいのはサビだ。


 サビが悪ければ、どんなに他がよく出来ても台無しになってしまう。


 シゲもそこに苦戦しているらしく、なかなかいいサビが決まらない。


「ごめんね晴君、なかなか決まらなくて……」


「いや、おまえはすげーよ! こんな短期間で曲を作れちまうんだから!」


 休み時間も短くなり、申し訳なさそうに話すシゲに俺はそう答えた。


「うむ! 別に締め切りがあるわけでもあるまいし、焦らずゆっくり作ればよい」


「小野寺の言う通りさ。時間をかけて、最高の曲にすればいいんだぜ」


 そう励ましながら、俺と小野寺はシゲに話す。


「ライブのイベントとかって、この時期はないん?」


 唐突に成瀬は、俺に尋ねる。


「あー、あるにはあるらしいけど……俺たちは出れねーな」


 以前に高村たちが開催した、ライブイベント。そのイベントの第二弾があると、ネットで知った。


 かなでたち率いる、園芸部バンドは出演が決まっており。高村が組むバンドもゲストで出るらしい。


「俺たちとはだいぶ差が開いてるな」


「うむ……あきらかに出遅れている」


「今はオリジナルソングを完成させるのが、俺たちの目標だ。ライブはまた考えればいい!」


「へえ、おまえにしてはまともな判断をするじゃねーか」


 本音を言えば、ライブはすぐにでもやりたい。やはり、レベルアップを図るにはライブをやるのが一番。


 だがその気持ちをグッと堪えて、俺は我慢をする。ライブよりも、オリジナルソングを完成させるほうが大切だろう。


 なにより、俺はこの曲がすげえものになると確信しているのだ。


「作ろうぜ、俺たちの曲を!」


 必ず作り上げ、ライブで披露をする。


 それが今、俺たちがなすべきことなんだ。


 ーーキンコーン! カンコーン。


 休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「ちっ……ここまでか、続きは放課後にするか」


 一旦の作業を終え、俺たちは教室へと戻る。


 教室に戻り、シゲはすぐに机で曲作りを紙に書いてやり出す。


「シゲ、あまり深く考えるなよ? おまえは、きちんと授業を受けるんだ」


 俺のように音楽しか考えていないのと違い、シゲは普通の生徒だ。


 勉強だってやらなきゃいけないし、なるべくシゲの学業に支障をきたすわけにはいかない。


 そう話すと、シゲは大丈夫と答えてまたペンを走らせる。


 俺は少しシゲに負担をかけていないか、不安になった。


 ーーそして、数日が過ぎた頃。


「……ついに、完成したんだな」


 シゲが書き上げた、楽譜を見ながら俺はそう口にする。


 何度も書き直した跡が、その努力を表されていた。


 コード進行が一つにまとまっており、曲として完成されている。


「シゲ……ありがとうな」


 きっと勉強そっちのけで、曲を作っていたに違いない。俺は、そんなシゲに感謝の言葉を口にした。


「おい仙道、さっそく弾いてみろよ」


「うむ、曲全体を聴けば残りのパートもイメージできるはずだ」


 成瀬たちは、俺にギターを弾いてみせろと話す。


 俺はシゲから渡された楽譜を置き、すぐにコードを覚える。目で見ただけで、その曲の流れを把握していく。


「晴君、どう? 変じゃない?」


「変なわけあるか……最高にイカした曲になりそうだぜ!」


 目を輝かせながら、俺はさっそくギターを持ち弾く体勢になった。


「シゲ……一緒に弾こうぜ」


 俺はそうシゲを誘う。


 一生懸命に作ったギターのフレーズを本人が弾かないで、俺が弾くのはなしって話だ。


 どうせなら、俺はシゲと一緒に弾きたい。


 シゲは俺の横でギターを取り出して、そっと構える。


「じゃあ……いくぞ、シゲ」


 そう合図して、俺とシゲは同時に右手を振り弦をはじく。


 二つのギターの音色は重なり、一つの音へとなる。


 それが俺たちが弾く、最初のオリジナルソングの音色だった。

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