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俺たちのロッケンロールデイズ!!  作者: 獅子尾ケイ
修行!生まれ変わるバンド編
19/77

第19話「マジでバンドやるなら、練習場所を確保せよ!」

 あの悲惨な初ライブからしばらく過ぎ、俺たちは本格的なレベルアップを図ろうとしていた。


「それで、やるからには練習場所を確保しなきゃだろ」


「うむ、そうだな。だが、学校で使える教室がないぞ?」


「部活動としてはやっていないもんね……スタジオを借りるにもお金がかかるし」


 放課後に集まった俺たちは机を囲み、相談し合っている。


 たしかにシゲが言うように、部活としてバンド活動はしていない。


 かなでたちみたいな、部活動の一環で教室を使えないのだ。


「ねえ晴君、聞いてる?」


 一人なにも言わない俺に、シゲはそう話しかけてきた。


「ああ、聞いてるよ。練習するためにはどうにか場所を考えなきゃだな」


 とは言ったものの、これといってできるような場所に心当たりはない。


 それはみんなも同じで、なかなか意見がまとまらないでいる。


「高村さんに……相談してみる?」


「いや、それは難しいだろう……なにせ」


 そう小野寺が言うと、みんなの視線が俺に向かう。


「あれだけいろいろ言われて腹が立ったからって、あんな嫌がらせしちゃダメだよ」


「そうかあ? 俺は、笑ったな。よくやった、仙道」


 高村からバンドのダメ出しをされた数日後、本人から呼び出しをくらった。


「……仙道」


「……なんすか?」


 部屋に呼ばれた俺の目の前には、高村。そして、大量のダンボール箱が置かれていた。


「どういうわけか、先日に大量のダンボールが届いたんだ」


「はあ、そうっすか」


「頼んだ覚えがない音楽雑誌やら、 別の八百屋からのフルーツばかりだ」


「……へえ」


「不思議だな、本人が頼んでいないのにこんなに荷物が来るのは」


「はっはっは! きっと高村さんのファンからの贈り物でしょう」


 無論、そんなことはない。


 なにせ頭に来た俺が、高村の名前と住所を書いて送ったのだから。


「……そうか、同じ筆跡で汚い字だったな。しかも着払いで送るファンか」


 ーーギロリ。


 そう冷静に話す高村だが、睨みつけるように俺を見ていた。


「これだけ大量に来ても仕方ない……仙道、半分くらい持ち帰れ」


 そして高村はダンボール箱を何個か俺にやり、それ以上はなにも言わなかった。


「特に音楽雑誌には目を通しておけ、おまえらのバンドになにかしらアドバイスが書かれているだろう」


「それで……学校に持ってきたのが、この何冊もの雑誌か」


 囲んだ机には、俺が持ってきた雑誌が並べられている。


「高村さん、よく訴えなかったね」


 雑誌を見ながら、シゲは苦笑いを浮かべた。


「だが、俺にとってはドラムの教科書みたいなものだ。何冊か頂こう」


「おっ、この雑誌の特集は俺が好きなベーシストじゃん」


 成瀬たちが気に入った雑誌を見つけると、何冊か取っていく。


「雑誌なんざどうでもいいよ、それよりも練習場所をどうするかだろ」


 話が逸れてしまったが、俺は改めてみんなに意見を求める。


「やっぱり、学校にお願いして教室を貸してもらうのが一番じゃない?」


「学校なら移動もしなくて楽だろ? 仙道、学園長に話してこいよ」


 成瀬がそう答えるが、俺は渋る。


 学園長に話してみることはできるが、問題はそこではない。


 この学園はいわゆるミッション系ってやつで、俺たちのロックをやって許されるのだろうか。


「少なくとも……鈴谷先生あたりは反対してきそうだな」


「……ああ」


 この手の音楽を嫌う鈴谷先生。


 学園長よりも、あの先生のほうが厄介だ。学園長と話すにも、鈴谷先生を通さなければならずそこが難問だ。


「どうすりゃあいいんだよー!」


 学校に提案するにも難しく、再び俺は頭をかかえる。


 ーー高村も、学校もダメ。


 このままではバンドのレベルアップなど、できそうもない。


 ーートゥルルル!


 落胆している中、誰かのスマホから着信が鳴る。


「すまない、俺だ」


 小野寺がそう話し、ポケットからスマホを取り出して電話に出る。


「もしもし?」


 席を立った小野寺は電話の相手と話し始めた。


「……ったく、今は電話なんかしてる暇はないだろ」


「まあまあ、晴君」


 電話中は静かにしてやろうと思うけど、ぐちぐち言う俺にシゲはなだめる。


「なに? そうか……となると、しばらくは神社は誰も来ないのか」


 小野寺の様子を見ながら、シゲに尋ねる。


「あいつの家って、神社か寺なのか? 毎回拝んだような手をするし、話し方が僧侶みたいだぞ」


「どうなんだろ……僕、そこまで小野寺君のこと知らないから」


 話していると、横で雑誌を読んでいた成瀬が口を開く。


「なんだ、知らねーのか? あいつの実家ってこの町で一番でかい神社なんだよ」


「え……そうなのか?」


 成瀬の言葉に俺たちは、驚く。


 俺たちが住む町にある神社は一つしかない。やたらと広く、いつも人が多い有名な神社だ。


 まさか、小野寺がその神社が実家だったとは知らなかった。


「いや、すまない。急に神社を改修工事するらしくてな、親父から連絡だったのだ」


「そうなんだね、それは大変」


「まあ、参拝客は来ないらしいからな。 いくつか建物は残すらしい」


 そう話している横で、俺はひらめく。


「そうだ! ならよ、空いた建物があんならそこで練習すればいいじゃん」


 誰も来ない。広い建物がある。


 まさにバンドの練習をするには、もっとも都合がいい場所だ。


「いやいや晴君、さすがに工事をするんだから入れるわけないよ……迷惑でしょう」


「そ、そうだよな……神社でバンドってなんかロックじゃねーよな」


「いや、そこじゃねーだろ」


 いいアイデアかなと思っていたが、シゲたちに否定されてしまう。


「ふむ……ちょっと待て、それは出来るかもしれない」


 諦めかけた時、小野寺はそうつぶやく。


「前に他校の部活の合宿で使っていた場所があったな、 そこは確か工事をしないはずだ」


「……マジで⁈」


 そう話した後、小野寺は電話をかけ直し親に相談をし始めた。二言返事で了承を得たらしく練習に使っていい運びになった。


 こうして、俺たちのバンドをレベルアップさせる場所を確保できた。


 本格的なバンド活動が、始まろうとしている。

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