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第13話「俺たちはロッケンローラースターズだ!」

 ーージャカジャカ! ジャーン!


 俺はギターを弾き終わり、みんなのほうを向いた。


「……どうだ? 合ってたよな、音が」


 この日の放課後、音楽室を借りて練習している俺たち。


 何回目かはわからないけど、みんなで合わせて弾いた後にそう俺は尋ねた。


「まあ、合ってたんじゃねーの?」


「ふむ……俺は良いと思うぞ」


 成瀬と小野寺はそう答える。


「シゲはどうだ? 弾けてたか?」


「うーん、よくわからないけど……曲にはなってたんじゃないかな?」


 どこか歯切れが悪い言い方で話すシゲだが、俺も似たような感想だった。


「俺たちのバンド……悪くはないよな」


 どこかしっくりくるような演奏ではなかったものの、初めて組んだバンドならこんなものだろう。


「ああ、悪く……はないな。悪くは」


「これならイベントでも大丈夫だろ、俺のベースに任せておけ」


 イベントでは特別枠での出演なのか、俺たちのバンドは一曲しかできない。


 初めてのライブであるがために、選んだ曲は初心者でも弾けるロックな曲。


 最強最高のロックバンドを目指す俺には、少し納得がいかない選曲だ。


「やっぱり、まずはバンドとしてきちんと弾けるところを見せないとね」


 シゲの一言でそう決まり、みんなも渋々その意見に賛成した。


「高村にはなにかしらのインパクトを残せるようにしなきゃだな!」


「仙道があれだけ啖呵(たんか)を切ったのだからな……俺たちも、なにかしらやらねば」


 小野寺はドラムスティックを握りながら、つぶやく。


「よーし! まあ、俺たちの演奏なら大丈夫だろ。ロッケンローラースターズのライブを見せてやろうぜ」


 俺はそう声を上げて、みんなに話す。


「ちょっと待て仙道、なんだそのロッケンローラースターズってダサい名前は」


「あ? なんだってなんだよ、俺たちのバンド名に決まってんだろ」


 成瀬が尋ねてきて、俺が名付けたバンド名だと答える。


「はああああ? 聞いてねーぞ、そんなクソみたいなバンド名でやれって言うのかよ!」


「クソはねーだろ! 俺が考えた最高の名前だぞ!」


「ふざけんな! 勝手にてめえ一人で決めんな。今すぐ名前を変えろ!」


 バンド名が気に入らないのか、成瀬はバンド名を変えるように迫る。


 だが、今さら変えるのは無理な話だ。


「イベントに出る際のバンド名はそれで通してもらったんだよ、イベントの詳細を見ろ」


 高村からイベント出演が決まった連絡の後、バンド名を教えろと再度電話が来た。


 その時、俺はすぐに名前を思いついた。


 ーーロックで輝くスターのような、バンド。


 それこそが、ロッケンローラースターズという名前だ。星のようにキラキラ光る、ロックなバンド。


 まさに俺たちのバンドにふさわしいバンド名なのだ。


「本当だ……ホームページに書いてある、ロッケンローラースターズって」


 シゲはスマホを取り出して、イベントのページを表示させると成瀬たちに見せる。


「仙道……おまえってやつは」


「くそだせえぇぇ! 俺はこんな名前でステージに上がりたくねえぞ、女の子からドン引きされるだろうが」


「うるさい! とにかくもう決まったんだ! 俺たちはロッケンローラースターズなんだよ」


 文句をダラダラという成瀬たちだが、もうこの名前でやると俺は決めた。


 イベントでは、ロッケンローラースターズがナンバーワンバンドになってみせる。


「明日も練習をやるぞ!」


 まだ不満がっているみんなに、そう声をかけたのだった。


 ーーライブイベント当日。


 気がつけば、今日がライブイベントになっていた。


 休日の夕方前、俺たちは楽器を片手にライブハウスの前に来ている。


「はっ、晴くん! ライブハウスだよ! ついにライブだよ」


 緊張してオロオロしているシゲは、落ち着きがない。


「シゲ……とりあえず静かにしろ、俺まで緊張するだろうが」


「だって、人前でやるのは初めてなんだよ? しかもいきなりライブハウスで」


「ふむ……たしかに、俺のステージはゲームセンターだったからな」


 顔色を変えずに、わけもわからないことを話す小野寺。


 たしかに、シゲも小野寺もライブハウスに来ることですら初めてだろう。


「俺のベースが輝くのは、やっぱりライブハウスだよな!」


「成瀬君は、ライブハウスに来たことが

あるの?」


「ライブはしたことはないけどな、ナンパ目的で何回かは出入りしているよ」


 ーーおめえ、ベースができるならナンパじゃなくてライブをやりに来いよ。


 自慢げに話す成瀬に、俺は若干イラつきながらそう心の中でツッコむ。


「あれ? 仙道君たちも、早く来たんだね」


「かっ……かなで!」


 同じくライブハウスにやってきたかなでは俺たちに気がつくと、声をかけてくる。


 俺と同じように、肩には大きなベース用のケースを背負っているかなで。

 その可愛さに不釣り合いではあるが、バンドマンとしての彼女も魅力的だ。


「イベントに出られてよかったね!」


「ああ、これも愛だな……結婚しよう」


「あいつ、バカなのか? 有本」


 やりとりを聞いていた成瀬は、呆れながらシゲに尋ねている。


「なにが結婚しようよ……仙道、かなでから離れて」


 上原が鬼の形相で、かなでを俺から遠ざけた。


「今からそんな浮ついたことを言って、 あんたのバンドはずいぶんと余裕ね」


「……んだとぅ?」


 挑発するような口ぶりで話す上原に、俺はそう口にするがすぐに冷静になる。


「ふっ。 俺たちだって、練習を頑張ってきたんだ! その成果を見せてやる」


 今日のイベントではお互いがライバルだ。


 闘志を剥き出しにした俺の言葉を聞いた後、上原はかなでを引っ張って歩き出す。


「じゃあ仙道君たち、頑張ってね」


 かなでは引っ張られながら、俺たちにエールを送る。


「さすが上原ちゃん……あの勝気なところも可愛いな」


「可愛いくねーだろ! 成瀬、アホなことを言ってねーで気合い入れろや」


「敵に塩を送るようなものだな、俺たちも負けてはいられない」


 すでに闘いはライブスタート前から行われている。先ほどの緊張感はなく、俺たちの闘志に火がついているはず。


「とっ、とにかく頑張って演奏しようね」


 シゲの言葉に、俺たちはうなずく。


「あのう、かなでちゃんたちは先に行きました?」


 そう怯えるような声で、俺たちに尋ねてくる女子が三人。


「あ、夏川さんたち。二人は先に中に入って行ったよ」


 シゲがそう話すと三人はぺこぺこと頭を下げて、中に入っていく。


「誰だ? あいつら」


 見たことがない顔触れに、俺はシゲに尋ねる。


「誰って、かなでちゃんたちと同じで園芸部バンドの子だよ?」


 あんな音楽とは無縁そうな見た目なやつらが、かなでたちのバンドメンバーに驚く。


「あれじゃあ、あいつらも大したバンドじゃないかもしれないな」


 かなでたちのバンドがすごいと学校では有名だが、案外そうではないのかと俺はつぶやく。


「それより、僕たちも中に入ろう?」


「ああ、行こうぜ! 最強最高のライブをやりに」


 こうして、いよいよ俺たちの初ライブとなるイベントが始まろうとしている。


 期待を胸に膨らませ、俺たちはライブハウスの中へと入っていった。

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