#4 リバと圭②
「いつの間に!! そうか、防衛局が支配されているから僕らには侵入者を検地できないんだ!! 『エッスラ(無生物)』って情報は取れたけど、ダメだ、遅延がひど過ぎてほかはわからない!」
「ケイ、中へ急いで! 外のはボクが叩きつぶすから!!」
「頼んだ!!」
エッスラは玉子に脚が生えたような小型のロボットだ。とにかく数が多い。お堂の中では光仄めく小さな少女がエッスラの大群に襲われていた。
圭は指先ですばやく紋様を描く。
「強き熱き力よ、我が身に宿れ! リバ! 投げるから踏み潰して!」
「だいじょうぶ! どんどん投げて!」
圭は手当たり次第にエッスラを引っつかんで窓の外へポイポイ放り投げる。リバはそれを受け取ってホイホイ踏み潰す。どうにか道をつくって少女のところへ。後ろへ隠れさせてさらにエッスラを手当たり次第投げていく。
ほかのところにいたエッスラも集まってきているのかまるでキリがない。
(涌いて出てきてるみたいだ……。でもそれも減ってきている……?)
「圭! 頑張って! 入口を壊さないとボクは中に入れないんだ! その代わりに外のは堰き止めて意地でも入らせないから!」
(そうか、僕は一人じゃない。弱気になってたらリバに笑われちゃうね)
どうにか全滅させると、精霊の少女はへなへなとその場に座り込んだ。
「怪我はない?」
「大丈夫です……。助けていただいて……ありがとうございました……。わたしは霞ケ浦……。でもどうぞあなたが好ましいようにお呼びください」
「それならカスミちゃんでいいかな?」
「ガウラでもいいですよ」
「カスミちゃんと呼ばせてください……。ん? この丸い緑の座布団は……?」
「あっ!? マリモちゃん!」
「マリモちゃん……?」
「マリモちゃん! マリモちゃん! しっかり!」
「きゅ〜」
(しゃべった……)
「近くに池があるんです! どうかそこまで運ぶのを手伝ってください!」
池で水をかけると、マリモちゃんは「ぽんっ」と冗談のような音を立てて球状に膨らんだ。ふわりと浮かび上がる。
「わーん、マリモちゃん、よかった!」
「きゅっきゅっきゅっ♡」
カスミちゃんに抱きつかれて、マリモちゃんはくりくりとした目を動かした。
「マリモちゃん、わたしのことを一生懸命に守ってくれてたんです。でも力尽きてしまって……そこへお二人が駆けつけてくださったんです……」
「そうなんだね……。僕は相馬圭、こっちはリバだよ」
「よろしくね〜♪」
「あらためて本当にありがとうございました。この子はわたしのお友達で、アオコのマリモちゃんです!」
(アオコなのに……?)
カスミちゃんはマリモちゃんのたぶん背中(どこが背中なのかはよくわからない)に跳び乗った。
「では、参りましょう!」
「きゅっきゅっきゅっ!」
「きゅっきゅっきゅっ♪」
リバは圭を乗せて走りはじめる。
【アオコ】
大発生すると池や湖沼の水面を緑色に覆いつくす微小な藻類の総称。決して心地よくはないニオイを放つなど、さまざまな影響をもたらす厄介もの。歓迎はされない。




